愛おしいアロマでおやすみなさい。きっといい夢をみれるわ

※1章64話と65話の間の話





「できた〜!名付けて、桜と禰豆子の合作アロマポプリ1号〜」

パチパチ〜と拍手をしてくれる禰豆子ちゃんに、イエーイとピースを返す。
出来上がった二つの内、一つを禰豆子ちゃんに渡して、二人で手の平のそれを鼻に近づけ、大きく鼻で息を吸った。全身に行き渡った優しい香りに、自然と体の力がふにゃりとゆるみ、顔が綻ぶ。

「ん〜いい匂い〜…」
「ね〜…」

まったり癒し顔の禰豆子ちゃんに、同じ表情で同意する。何度も深呼吸して、香りを堪能してから、それを見る。
私の手の平には、禰豆子ちゃんが作った禰豆子オリジナル刺繍入りの白い巾着。巾着の中には、この間東の町の薬屋に売ったハマゴウや薬草で不要となった花の部分が入れてある。

大量のハマゴウの花の処遇に悩んでいると、ハマゴウの花の優しい香りは不眠に効果があると聞いた事があると、禰豆子ちゃんが言うので、可愛い巾着に入れて、アロマポプリにしようと提案し、二人で作ったのだ。枕元に置けば、睡眠用のアロマにもなるし、見た目も可愛いので、インテリアとしても使用できる。ちなみに禰豆子ちゃんは色違いの桃色の巾着だ。

「かわいいね」
「はい、なんだか女の子って気分です」
「ふふ、その表現わかる気がする」

おしゃれが限られる大正時代、特別に生活にゆとりがあるわけではない竈門家では、こういった些細な物が、とても可愛く、すごく女の子らしいアイテムに思えた。

「今日、寝る時に横に置いてみようよ」
「幸せな夢みれそうですね」
「あ、炭治郎君!ねぇ、こっちきて。これ見てみて〜」

禰豆子ちゃんと縁側に座りながらお話をしていると、外で何かの作業をしていた炭治郎君が見えたので、手招きをする。
目の前に来た炭治郎君に、巾着を自慢げに掲げ見せて、むふふと笑う。

「可愛いでしょう?禰豆子ちゃんが作ったんだよ〜」
「禰豆子が?すごいな」

お兄ちゃん顔で禰豆子ちゃんを褒める炭治郎君。その反応に禰豆子ちゃんも嬉しそうにしていて、この和やかな光景を眺めているだけで、お花が自動的に咲いてしまいそうな程の幸せな空気を感じた。

「でね。この中に、何種類かお花が入ってるんだけど、ほら、ね。いい匂いでしょ?」

炭治郎君の手は土で汚れていたので、巾着を鼻元に持っていき嗅いでみてと、仕草で促す。炭治郎君はくんくんと匂いをかいで、

「好きないい匂いです」

と言って、ほわっと優しい笑顔を見せた。
今日も温かく穏やかな一日が、ゆっくりとすぎていく。




※大正コソコソ噂話※
28話で炭治郎が、桜が咲かせた花について、「すずらんの匂いと、桜さんの匂いがする」と言っていますが、桜が咲かせた花は、すべて桜の匂いもします。炭治郎はそれを含めて、無意識で好きないい匂いと発言しています。ただのお花だったら、いい匂いで終わりです。


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