お風呂でバッタリ☆炭治郎13歳編

※炭治郎13歳。11月頃で1章64話以降の時間軸。
※しょーもない下ネタ、炭治郎のキャラ崩壊、ギャグ注意。いっそパラレルワールド扱いでお願いしますと言いたいくらい書いてて恥ずかしかった…。本当にごめんなさい









「桜さんありがとう。この後はお風呂掃除お願いしてもいいかしら?」

昼前。洗濯物を干し終わり葵枝さんに報告すると、もう一つお願いをされた。それに快く首を縦にふり、すぐにお風呂場に向かうと、誰もいないはずの浴室から聞こえてくる水を流す音。
誰か先に掃除をしてくれているのだろうか?と、お風呂場の戸を引くと、僅かな蒸気が逃げクリアになった視界の先に、髪を洗い流し終えたところの炭治郎君がいた。
木製の腰掛けに座り、こちらに背を向けた全身裸の炭治郎君が振り向く。
私に気付いた炭治郎君は、ぽかんと固まった後、手に持っていた風呂桶を落とした。風呂桶が音を立て、私の足元で円をかきながら止まったところで、炭治郎君が叫ぶ。

「え!!桜さん?!!」

それからは早かった。炭治郎君は前に掛けてあったタオルで大事な所を隠し、両手は胸を隠すようにクロスさせた。(君におっぱいはないから隠さなくてもよくないかい?)時間にすると、僅か1秒の出来事である。

「あ、炭治郎君お風呂入ってたんだ?」
「炭で、汚れたので」

そういえばさっき炭焼きの仕事の最中に、おにぎりの差し入れに行った時に、全身真っ黒にしていたもんね。だから、昨日の残り湯で身体を洗っていたのか。

「桜さんいつまでいるんですか…」

茹で蛸のように全身を紅潮させ、恥ずかしさからなのか若干涙目になりながら身体を隠す姿を見て、イタズラ心がむくりと沸き上がってくる。

「…そうだ!」

ちょっとしたイタズラを思いつき、むふふと笑いながら、腕をまくり、着物の裾を上げ裸足になって浴室に足を踏み入れる。

「旦那様、お仕事お疲れ様です。お背中お流ししますね」
「い、いいです!」
「ぜひ、やってほしいと?」
「遠慮してるほうのいいです!」
「まぁまぁ。日頃の感謝を込めて丁寧にお流ししますよ!」

ひーと悲鳴を上げる炭治郎君の後ろに膝立し、掛けてあった別のタオルと石鹸で炭治郎の背中を洗っていく。

「お加減いかがですか〜」

ひっとか、あっとか言葉にならない悲鳴を上げて真っ赤に固まり耐えている炭治郎君がおもしろ可愛くて、笑いを堪える。

「もうやめて……」
「はいはい。お湯で流したらお終いだよ〜。…っぷ」

「早く終わってくれ…」と息も絶え絶えになっている炭治郎君に、最後の最後に我慢できずに吹き出してしまう。

「えっと風呂桶は…」

風呂桶が浴室入口に転がっているのを思い出し、立ち上がって手に取り、炭治郎君の方に振り向き一歩を踏み出した所で、足元の石鹸のぬめりに滑ってしまう。

「あ」

それからは全てがスローモーションだった。

顔面から床にキスをしそうになった私に気付いた炭治郎君は、立ち上がり右手を伸ばして私の左手を掴んだ。もちろん炭治郎君の左手は大事な所をガードしているタオルを持っている。そのおかげで、顔面と床の強烈なキスは防げた。

私はと言うと、右手に持っていた風呂桶を、足を滑らせた瞬間空中に投げ出してしまう。倒れる直前、フリーになった右手は反射的に目の前の物を掴んで引っ張った。その掴んだ物が、炭治郎君が左手で押さえていた白いタオルだった。

左手は炭治郎君に持たれ、左肩だけ上がっている状態で床にうつ伏せになる形で倒れた。………右手に白いタオルを持ったまま。


風呂桶が床に落ちた音が静寂の中によく響いた。


ごめんなさいをするときは、きちんと目を合わせましょうね。と保育園で教えてもらって以降、謝る時は自然と目を合わせる癖がついていた私は、咄嗟に顔を上げようとしてしまった。その瞬間、炭治郎君の大きな悲鳴が響き渡った。

















炭治郎君が布団に顔を押し付けて鼻をすすっている傍で、私は土下座をしていた。

「あの、ごめんなさい。でも……見てないよ?……本当だよ」

本当だ。炭治郎君の悲鳴が煩くて、顔を下げた瞬間に炭治郎君がダッシュで浴室から出て行ったので、本当に見ていないのだ。

「そーゆー問題じゃないよ?桜おねえちゃん?」
「これは由々しき事態です」

炭治郎君と私の間に立ちふさがり、仁王立ちする禰豆子ちゃんと花子ちゃんに、再度頭を下げる。

「この度は、大切なお兄様の純情を汚してしまい、誠に申し訳ございませんでした。ちょっとした出来心だったんです」
「謝ってすむ問題ならケーサツはいらないよね?」
「はい。その通りでございます」
「どう、責任を、取るつもりですか?桜さん」
「出来る限りの事はなんでも致します」
「お兄ちゃんを傷物にした責任は、出来る限りなんでもすると……そう仰るんですね?」
「はい」
「顔を上げてください」

禰豆子ちゃんに言われ、顔を上げると、真剣な顔の禰豆子ちゃんと、わくわくと目を輝かせた花子ちゃん。視界の隅に、今だ布団に顔を押し付けたままの炭治郎君が見えた。

「こういった事態の時の責任の取り方わかりますね?桜さん」
「はい………。もし炭治郎君が傷物にされたと感じたなら、責任を持って炭治郎君を」












「お嫁に貰います」
「いや、逆。全部、逆」

花子ちゃんのツッコミが冴え渡った。








※大正コソコソ噂話※
炭治郎さんは、お風呂場で桜さんの事をちょうど考えていたんだよ。炭焼きの仕事をしている時に、葵枝さんや禰豆子さんと一緒に楽しそうに家事をしているのを見た&おにぎりの差し入れを持ってきてくれた桜さんに、改めて「なんかこーゆーのいいな」って思ったのを思い出していたんだよ。だから考えている時に、本人がお風呂に入ってきてびっくりしたんだよ。炭治郎さんは、炭治郎さんの炭治郎さんを頑張ってタオルで押さえていたんだよ。
禰豆子さんは面白がって、花子さんは最大のチャンスだと思っていたんだよ。炭治郎さんはこの後3日間桜さんと顔を合わせられなかったんだよ。…ごめんなさい。


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