いたずら心




今日は恋人兼上司である彼の家に突撃訪問!ってな感じで合鍵で扉を開け部屋に入っていくと静まり返った部屋。




「クラサメさーん…?」


名前を呼んでも反応がない。



「あれ?今日は家に居るはずなのに…」


部屋を回ってみるとシャワールームの方から水の音がする。




「クラサメさん?もしかしてシャワールームに居ます?」


その声に反応して水の音が止まり反応が返ってくる。



「ユリアか?すまない、すぐに出るから部屋で待っていてくれ」

「はーい」


返事をして部屋に行こうとすると、視界に入ったのはいつもクラサメさんがつけているマスクだった。


いつもマスクをつけている彼、ちょっとしたイタズラ心が芽生えたのだった。



「(マスクつけちゃえ!)」






マスクを自分につけ、部屋でクラサメを待つユラ。

そこへマスクをしていない髪が濡れたままの姿のクラサメが戻ってきた。




「……あっ」

髪の毛にまだ水滴がついており、いつもつけているマスクがない。

そんなクラサメの姿に目を奪われた。




「……ユリア」

「はい?」


「何をしているんだ?」

「何、ってクラサメさんのマスクをつけて遊んでます!」



馬鹿なことをしていないで返してくれ、と言いながら片手を出し近寄ってくるクラサメ。




「クラサメさんはそのままで居てくださいよ!いつもと逆になりましょう!」

「なんの意味がある」


「え、ただ私がクラサメさんのマスクをつけたいだけです!」

「……いいから、渡してくれ」

「えぇー、どうしようかなぁ?」



完全にイタズラ心に火がついたユラはマスクを返さずにクラサメのマスクをつけながら楽しんでいた。




「そんなに返して欲しいですか?」

「あぁ」

「ちょっとぐらい良いじゃないですか!」

「いいから、返してくれ」


「どうしよっかなぁー?」

「…………」



何かを考えているのか突然無言になるクラサメ。





「クラサメ…さん?」




怒ってしまったのかな?と不安になり少しクラサメの近くに寄り、顔を見上げると突然マスクをずらされ視界がクラサメの顔でいっぱいになる。
唇には温かく柔らかい感触。




「………え…っ?」




いつの間にかマスクを奪われており、何事もなかったかのようにいつものようにマスクをつけているクラサメ。





「クラサメさ…ん、今、………え?」


「………お返しだ」


そう言いフッと笑いながら洗面所へと消えていく。



やはり上司の彼には叶わないユリアであった。






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初ちゅー設定!

からかってやろうと思ったら返り討ちにあったヒロインちゃん!

余裕の表情で消えていったクラサメさんも内心ドキドキだったら萌え禿げるw


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