ざかざか文章だったり会話文だったり5分クオリティだったり
★2012/06/08
「君は僕を、あいしてくれるの」
「僕を、ぼくと言うたった独りの人間の、本質を、ぜんぶを、あい、愛して、くれるの」あなたは言う。酷く歪めた顔で、今にも消え入りそうになりながら、一音一音、しっかりと言葉を発する。頭に直接響いてくるあなたの少し高い声は、鼓膜を心地良く震わせるのだけれど、早鐘の様に鳴り響く心臓が、伸ばそうとした手を躊躇わせた。

「彼は、あいしてくれた」
俺だって、声にならない音はあなたには届かない、伝えたい言葉は、幾万とあったはずなのに、本能が拒否する、あなたが拒絶する、否定された言葉は、音にするだけ虚しいのだと、少ない人生で理解してきたつもりである




リハビリ……


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★2012/01/28
伝えたかった言葉がある。伝えなければいけない言葉がある。けれど、伝えてはいけない言葉である。たった一言なのだ。記憶の中のあどけない自分は屈託の無い笑顔ですんなりとその言葉を口にする。それがさも当然と言うように、さらりと口から溢れ出るのだ。年が過ぎ想いを重ね、まるでどんよりとした不純物の様に爛れきったしまった今では、その言葉はとても陳腐で酷く軽いものに聞こえてしまうけれど、それでも自分の中で多大な質量を保っているのは確かである。どんなに綺麗な理屈を重ねようと、所詮ただの言い訳でしかないのだけれど。



それでも、これだけは言えるのだ。あの頃の二人は世界で一番幸せで世界で一番愛し合っていたのだと。



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★2011/12/20


愛したいと思うのだ。目を見つめて手を繋いで抱きしめて、全身で君を感じたいと思うの、に、現実というものはなんて残酷なのだろうか。君の世界中の闇を吸い込んだ黒い瞳から生まれ落ちる、透明無垢な雫を見送りながら、僕は考える。言葉にならないぐにゅりとした何かがひたすら頭を駆け巡り、目眩がした、くらり。
「ごめんなさい」
「…何に対して」
君はこちらを見ない。すら、と上を向いた睫毛がふるりと震える。控えめに開かれた唇は美しいのに、そこから漏れる声は出し尽くして枯れ果てていた。
「貴方の名前を、呼んでしまいました」




くらら。没



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★2011/08/26
春に書こうと思って中途半端に放置したぶつ※昴と創史が付き合ってる




「………ふ、む…」
「ん…………っ、」
舌をかり、と歯でかじられる。悔しいことに愛しい恋人は大変キスがお上手だ。
負けじと上顎をなぞれば舌の裏をたどられ、不覚にも声がもれる。
そのまま下からじゅるりと唾液ごと絡め取られる。ごくり音が聞こえると同時に控えめに、しかし男子らしく出っ張った喉仏が上下するのが感じられて、それが酷く興奮した。
<3時頃/春休み/寮でなく実家/創史の部屋ベッド/創史.壁を背にベッドに腰掛け/昴.膝にまたがり/写真立て3つ(兄弟の写真.4人.二人新しいの)/青い長めのカーテン>
「……っふ!…んんっ…………!」
やられっぱなしは頂けないので、息継ぎのタイミングにそれを許さず更に深く噛みついた。びくり、と強張った体と離れようと肩を押す腕も離さないようさらにぎゅうぎゅうと抱き留めて、ひたすらに唇を貪った。先程のお返しにと舌を甘噛みしてから唾液ごと吸って嚥下する。それはまるでいちごみるくの様に甘ったるいわけもないが、じん、と喉内が熱くなる。次第に抵抗し続けていた腕から力抜け、肩に乗せられたらだけの指がぴくり、としたところで銀糸を引かせながら唇を離した。<ベッドのスプリング(きっと低反発)/高級そうな毛布/おいやられた羽毛布団ブラコンお兄さん(敏感肌)からのおさがり/ここで服装を突っ込むのは遅いだろうか>
「……っ!ぷはぁっ!」
「…はぁっ…はぁ…」
二人して抱き合ったままお互いの肩口に色気もなく大きな息を吸って吐いてをしばらく繰り返しす。これではまるで獣の様であるが、強ち間違えではないのかもしれない。
ぎしり、と二人を乗せたベッドが軋む。<ベッドの足元/カーペット?春だから上着脱いで床に脱ぎっぱとか靴下も良いかも>
「お前さいあく…頭くらくらする」
「俺もだ」
「はぁ…創史って絶対馬鹿だろ」
「昴には負けるけどな」
「なんだと」
ようやっと顔をあげた昴は目元と口周りを潤ませていて、無意識に右手の親指でそっと拭った。目を伏せながらくすぐったそうにくすりと笑っているところを見ると怒ってはいないようである。またこてん、と昴の額が肩に乗せられた。若干体温が高い気がするが、それはお互い様だろう、<昴の描写きっとプール帰り/バイトばかりで久しぶり!太った?/幼少期との対比微妙に回想ここで琢磨に一言/すきだ>
「なんか一気に疲れた…」
「でもちゅうするの好きだろ」
頭の位置は代えず首だけでゆっくりと合わされた目線はまた少し濡れていて、<萌えが足りない>
「そうしが、すき」
その瞳に吸い込まれるように、塩素のせいで少し色素の抜けた髪に指を這わせながら、また唇を寄せた。



攻めがちゅうって言うの萌えませんか

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★2011/04/19
男前風紀委員長×おかん副会長

「さむ、」
「…お前なんで夏服なんだ」
「生徒会室にカーディガン置いてきたんだよ…」
「……はぁ」
ひやりとした廊下をひたひたと歩く。廊下に並べられたロッカーには最近鍵がつけられた。窓から指す光はまだ爛々としているが、そろそろ真っ赤に染まりだすだろう。三階の階段を登り切った場所にある黒板は、消したばかりのようで少し白い跡が残っている。そして隣には、当然のように君がいる。
何があるわけでもなく、ただ今日は久しぶりに食堂へ行こう、どうせなら三人で帰ろう、となったため、二階の風紀室から三階の待ち合わせ場所である2-Sの教室に向かっているだけである。
隣を歩く一回り小さい伊織は、半袖の、きちんと襟と袖にノリがきいた白いカッターシャツから覗く腕をすり合わせている。初秋とは言えもうすぐ日も暮れだす時間帯であり、寒いのは目に見えて分かるはずであるのにと、怪訝な目を向ければ伊織はそっぽを向いて俯いた。ゆらりと後頭部で括った髪が揺れる。見える白い首筋は鳥肌がたっていて、おもわず注視した。
「だって生徒会室って四階だし日当たり良いし、……わっ、」
「言い訳は良いから、着てろ」
「でも、」
「俺は長袖だから良いんだ」
「はやて…」
左胸に校章をあしらったデザインで灰色のVネックカーディガンはなかなか厚手で、防寒には最適なのだが、その分まだ気温の高くなる昼間だと汗ばむこともあり、なんとも極端であった。
「見てて寒い。…風邪なんてひかれたらキスできないだろう」
「っ!」
「ほら、黙って着る」
「……………ありがと」
身に付けていたカーディガンを無理矢理言いくるめて羽織らせれば、(何年たっても初な反応をする、かわいい)顔を真っ赤にしながらも袖を通した。当然の事であるが伊織の物よりもワンサイズ大きいので袖が少し余っている。伊織は恥ずかしいのか持て余したのか、袖を指先で遊ばせていて、ふと見た指先は、頬と同じくらい赤く染まっていた。この寒い中を半袖姿で生徒会室から風紀室まで書類を運んできたのだ。二学年の生徒全員に配るものだったので、量もそれなりにあった。指先が冷えるのも当然である。躊躇い無く右手が伸びた。
「ちょっと…颯、」
「誰も居ない。教室までだ。すぐ着くから良いだろう」
普段彼が身に付けている物と全く同じデザインとはいえ、恋人が自分の物を身につけているというのはなかなか良いものであって、本当は抱きしめたい衝動に駆られたのだが、手を繋ぐだけで自重することにした。生徒会室からすでにもう教室にいるであろう神を待たせるのは後々面倒だからである。
「…仕方ないなぁ」
長い睫毛を揺らし伏せ目がちに呟く伊織は口元をゆるめてふんわり笑った。ぎゅっ、と握るようにした伊織の左手を、恋人結びに変える。遠慮がちに答えてくれた指先は、やはり冷たかった。避けられた目線とは裏腹に縮まった二人の距離と、若干遅くなった歩調はきっと気のせいではないだろう。日が、赤くなり始めた。

「神のやつ…」
「神だからしょうがないって…あいつ人を待たせるのが趣味みたいな物だし…」
手を離すのを名残惜しく感じながらも教室のドアを開こうと手を伸ばした時、伊織の携帯から軽快なメロディーが聞こえた。聞き覚えのあるそのオルゴール音は、神が勝手に自分専用に登録した曲で、伊織と神の祖母が生前作曲した曲らしい。なんとなく懐かしいメロディーが、優しく耳に残る。横から覗きみたメールの内容はたった一言、件名の欄に遅れる、のみであった。らしいと言うかなんと言うか、思わず大きな溜め息が漏れるのは仕方のない事だろう。どかどかと教室に入り一番奥の後ろの窓際、創史の机にどかりと体重をかけた。
「ちゃんと椅子に座りなよ」
「お前が座れば良い」
「…颯はほんと真面目なのか不真面目なのか分からないよね」
「伊織は真面目な部分と不真面目な部分が極端だな」
「………」
「………」
しばらくお互いに睨み合っていたが 先に折れたのは伊織だった。睨むといっても伊織のそれは身長差と若干恋人の欲目が混ざり合い上目遣いでまるで強請ってるようにしか見えないのでまず勝負にもなっていないのであるが。伊織は音を出さずに椅子を引き綺麗に座った。目線だけでそちらを見ればかちかちと両手でメールを打っているようである。かち、と右手の親指で真ん中のボタンを一度押してから、ぱちん、と携帯を折りたたんだ。
「だいたい神は寮生じゃないだろう、利用出来るとはいえなんでわざわざ寮の学食に」
「今年から創史が寮に入っちゃったから寂しいんだってさ」
「創史が?何で今更」
「昴が心配だからって。ゆうきも一緒に」
「……神とは大違いだな」
「それとも、俺が甘やかしすぎたのか…」
「…なんだそれ」
「だってずっと一緒に住んでて一緒に行動してたし、あいつ叔父さん達の前では良い子ぶってるから…いつも神を叱るのは俺だったし」
「……それはなんだかムカつくな」
「え…………んっ!」
「っ……ふ………」



途中で飽きました






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★2011/04/12


なんとも言えない味がするね、でも、それは絶対君ではなくて、なんとも言えないんだけど君でないことは確かで、ということはどういうことか、僕は馬鹿だから堂々巡り、でも君じゃあなくて、つまりそれは他の何かであるはずで、君じゃないからならなんだと言われれば、君ではないよというしかないのだけれどそれはつまり、

「浮気?」
「なに言ってんの」



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