「一周年記念
単語リクエスト企画」
リクエストされた単語はラストに掲載。
先に知りたい方は「
一周年記念部屋、単語リクエスト企画」で確認してください。
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弟は俺に似て平凡な容姿だが無神経なほどの無邪気さから独立学園においてオモチャにされていた。
オモチャというのは語弊があるかもしれない。
珍しい生き物として俺の弟は扱われている。
一番の理由としては容姿の平凡さと常識を知らない立ち振る舞いという無知さ。
これは二つとも弟自身は悪くないと思っている。
だから兄としてそれとなく庇ってやろうと思っていたら思わぬ展開になってしまった。
独立学園というのは各王家が資金を出し合い設立した王族に連なる人間たちが通う場所だ。
国同士が戦争をしていたり国の内部で争いがあっても学園は中立を貫く。
基本的に学園内で外の軋轢は持ち込まないというのが建前としてある。
大国の王位継承権第一位の人間であっても生徒という立場では平等と言うことになっている。
もちろん、そんな簡単に割り切れるものではないので国の微妙な力関係は学園内で派閥を形成している。
人種として多種多様であるが王族としての常識を教え込まれた人間が通う高度な教育を受ける場所だ。
頭が幸せな感じになっている弟は異端児でしかなかった。
思い出すと俺が小学校に通っているのを弟は羨ましがっていた。
家庭教師をつけられるだけで外に出歩くことが出来ない自分に苛立って泣きわめいていたのは昨日のことのように思い出せる。
弟が特別わがままだというよりも周囲が弟が病弱であり精神的に追い詰められると体調を崩すことを知っていたから甘やかし続けていたのが全ての原因だ。
自分の弟のことなので悪くて出来そこないだとは言いたくない。
それでも、普通の世界でも金持ちのわがまま息子と言われるような姿だった弟からすると今の世界は噛み合いすぎて最悪かもしれない。
俺と弟は誘拐された。
身代金の受け渡しとかなんとか話をされている中で俺たちは気づくと異世界にいた。
無一文の状態で子供ふたりが言葉もわからず生きていけるほど、どこの世界も甘くない。
異世界で死にかけた俺たちだったが奴隷にされるだけで済んだ。
弟は誘拐されたときにすでにストレスから発熱して意識は朦朧としていたので死にかけの子供として安く買いたたかれ、俺はそこそこの貴族の研究材料として買われた。
弟が幸運だったのは買われた先で甲斐甲斐しく世話をされて体調不良は治りその家で一般的に奴隷として受ける屈辱など知ることなく育てられた。病で伏せた妻に犬を飼うような感覚で子供の奴隷を夫が買い与えたようだ。犬が家族というのは異世界でも同じだったようで弟は変な扱いは受けなかった。
ただ犬だと思われていたので生きていくために必要となる常識を教えられることはなかった。
弟は病弱だったこともあり寝たきりになっている妻側の心細い気持ちを思って弟なりに頑張ったらしい。
その中で病気が治るという薬草を発見して神の子と呼ばれるようになり王族しか入学できない学園に編入してくることになる。
弟は神の子でもなんでもなく無謀のかたまりのラッキー野郎でしかなかったが周囲から受ける賛辞を真に受けて惨事の扉を開くことになった。
編入した学園の価値や自分が身分としては奴隷だと知らずに神の子であり偉いと思い込んで、そういった立ち振る舞いをするようになった。
知り合いがいないことで虚栄心に火でもついたのかもしれない。
言葉を額面通りにしか受け取らず自分は何でもできると万能感に酔いしれた。
俺は厨二病なんだとすぐにわかったが異世界では知られていない状態らしい。
放っておけば治る病だが周囲が面白がって弟を煽りたきつける。
おだてられて木に登った後に梯子を外された弟がどんな行動に出るのか気になることもあって俺も俺で積極的に止めに入るタイミングがない。
自分が兄だと言い出すタイミングもなかなかないことも俺が傍観者に回っている原因の一つかもしれない。
弟と違い俺はまあまあ過酷な人生を送っていた。
引き取られた先には俺以外にも子供たちがいて貴族の実験材料にされていた。
貴族は男を妊娠させたり、任意の相手を多淫症にする薬なんかの開発に日々勤しんでいた。
子供の肉体を改造して売りに出すのではなく本当にただ自分の妄想が机上の空論ではないと証明したいだけらしい。
俺は怯えて嫌がる子供たちを尻目に協力する頭のいい子供を演じた。
平凡な見た目であるせいで俺に対する貴族の改造への期待値が低かったので何だかんだで助手の位置に収まることになった。
貴族はかわいらしい見た目の少年が妊娠して大きなお腹を晒したり、美形な男前がはしたなく喘ぐことを目標としていた。
結論から言うと実験は成功したが下剋上も成功した。
研究者である貴族は自分の理論を試すことに熱意を傾けているためそれ以外のことが雑だった。
助手として手助けするように見せかけて自分の今後を見越して俺はいろいろと手を打った。
その中の一つが就職だ。
異世界だとはいえ元の世界に戻れないなら自活するしかない。
自分が研究の材料として買った奴隷たちから逆に実験として薬を盛られて男ながらに妊娠することになった貴族は快楽のとりこで奴隷たちの言いなりになっていた。だから、貴族の屋敷に残ったほうが楽だったかもしれない。
それでも、貴族と奴隷たちの歪みきった愛憎と快楽の宴に参加するには俺はまだ幼かった。
そのため俺は貴族が片手間に行っていた研究を自分のものとして発表することにした。
貴族の名前を前面に押し出したのが良かったのか支援者は複数あらわれ、俺は理論が実証可能であることを証明した。
多淫症の薬を百倍ほどに薄めて媚薬として売り出したり、男相手にしか勃起しない王に男を妊娠させる方法を教えたりという活動のおかげで各国での俺の覚えもよく奴隷の地位を返上するまでになった。
相談役という形で俺を永久に雇いたいという囲い込みを狙った打診が複数の国からあった。
辞退したら暗殺の可能性があったので弱り切っていたところに独立学園で養護教諭にならないかという提案があった。
保健室の先生は安定していると思ったので依頼を受けた。
学園に所属するということはどこかの国ひとつに肩入れをするわけではないので表面上、誰もが納得してくれた。
だが、弟が神の子として、もてはやされたり本来は学園に入学してこない王族が新入生の中にいることを思うと俺を諦めていないか、監視しなければならないと思っている国がある。
気が抜けないとはいえ五体満足で日々の暮らしに困っていないので俺は十分幸せだ。
ただ弟には自分が異世界にいると理解してもらいたい。
しっぺ返しを食らって痛い思いをするのは弟だけとは限らない。
なんだかんだで俺は弟を助けてしまうだろう。
俺に恩を売って自国に迎え入れようと思っている奴はまだギリギリ国益を考えていると思えば許せるが、人の弟と知った上で当て馬にしようとしてくる奴は絶対に許さない。
俺に相手にされないと分かって弟に手を出そうとしている生徒会長なんて最悪の部類だ。
これが昔に美少女のような顔で「私の子供を産んでください」と頭を下げてきた相手だと思うと泣けてくる。
年齢として数年しか差はないはずなのに俺は教師で相手は生徒。
それがプライドを傷つけたのか心を病ませたのか知らないが普通の価値観と優しさがあれば俺と会長の関係はマシなものだったはずだが今は冷戦状態とでもいえる膠着状態。
会長が卒業する数年後までに事態は変わるのだろうか。
弟の行く末も含めて気の抜けない日々は続く。
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※「
厨二病、当て馬」NG「
虐め、暴力」という単語リクエストからでした。
異世界でも(微妙に)非王道学園みたいなノリは結構好きです。
それ以上に面食いで有能な貴族の孕ませられ生活も気になったり。
両性に改造された奴隷とか耳たぶを引っ張ると絶倫になりまくる体質にされた奴隷とかに愛憎ぶつけられているんだと思うとエロい話だと思ったりします。
奴隷に復讐されて当然だと思っているのと多淫症になっているので輪姦されて気持ちいいからヤられまくりになっている貴族。
棒あつかいされていると憤る奴隷側と罪悪感があって謝罪の気持ちから言いなりになる貴族というすれ違い構図はメインで書きたいですね。
貴族はやや童顔な中年おっさんで女性嫌いの童貞でマゾ属性あり。
(攻めに「そんなのでオレに突っ込む気だったのか? もっと自分を知っといたほうがいいぜ」とか言われて犯される受け)
弟主人公で厨二病なアホの子とヤンデレ王子様というのも機会があれば書きたいような気もします。