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  026 キスよりフェラがマシな理由


過去描写において主人公が凌辱というにはほのぼの(?)としたことをされています。
襲われている描写がダメな人は気を付けてください。





 
 萎えたりしないかと見続けるもののA兄さんは変わらずに立派。
 失礼しますと頭を下げてぺろぺろするのか足で踏みつけたりするべきか。
 
 あ、飲まないといけないのか。
 エロによるエロのためのエロエロな設定。
 きっと俺を試してるんだ。
 俺の我慢の限界を神か何かが試してるんでもなければこんなに試練が襲い掛かるはずがない。
 
「彗星に物欲しそうな顔をされるとそれだけでクるものがあるな」
 
 A兄さんの発言に思わず身体の重心を後ろに下げる。
 だってこれはもう気のせいなわけもない直球なセクハラ。
 セクハラってよりセックスアピール?
 俺のどこに反応するんだ!!
 物欲しそうな顔なんかした覚えないですから。
 どうしたらフェラ回避できるか悪あがきをしようとしてただけだ。
 キスよりフェラの方が気分的にマシだけど物理的にA兄さんの巨根怖いっていうのがある。
 こういうのをハイパー兵器やエクスカリバーとか言うんだろ。
 宝刀とかも言ったりするから立派なチンコは兵器だ。
 
「見てるだけでイっちゃう?」
 
 気を取り直して俺はA兄さんとチンコを交互に見る。
 見てるだけで射精したらそれでノルマ達成だよね。
 そう思うと楽勝な気がした。

 どっちにしろ精液ごっくんなのかもしれないけど顎が痛いとかにならないなら俺はいくらでもA兄さんの股間を見つめよう。
 自分との違いが安心するような切ないようなチンコ様。
 指で裏筋を撫でたりしつつA兄さんの反応を見る。
 チンコの血管がぴくぴくしててグロい。
 大人チンコって本当、卑猥でグロくて凶器だ。
 Dのはもう少し細身で綺麗だった気がする。
 この違いはなんだろう。年齢なのか、使い込みなのか。
 でも、A兄さんは童貞っぽいから生まれ持ったものかもしれない。
 兄弟で結構違うものだと思いながら俺はひたすらチンコを観察した。
 巨根すぎると女の人は嫌がるって言うからA兄さんもきっと苦労しているはず。
 そう思えば凶悪に見えていたA兄さんの勃起チンコもかわいいかもしれない。嘘。全然かわいくない。大きすぎる。
 
「ねえねえ、すぅちゃん……下に座って」
 
 ベルトルが俺のシャツを引っ張る。
 下は勝手に変更されてもシャツはシャツのまま。勝手にひん剥かれなくてよかった。
 脱がせる労力を考えたら下のが断然楽だから、それだけの理由かもしれない。意識のない人間の服の着せ替えなんて重労働だから必要じゃなければしないよね。寝ている間に汚されたりとかしたら話は別だろうけど。

 ほとんどベッドで埋まった部屋なので床に座るとなると出入り口のあたりになる。
 Dがクッションをくれるので有りがたくもらいながら床に座る。
 ベッドのシーツが床までだるだると伸びている。
 シーツはベッドの下に入れるものだとばかり思っていたから意外だ。
 昨日A兄さんやベルトルが脱ぎ捨てた服が近くにある。
 
「やっぱこのぐらいの高さがいいねー」
 
 ベッドの上に立つベルトルに意味が分からないでいるとA兄さんがベッドの端に腰掛けた。
 Dは立ち上がって俺に近づく。
 何だか嫌な予感がする。
 三人ともが自分のチンコを片手に持って俺を見ている。
 これで危機感を持たない方がおかしい。
 
 ここで「朝ごはんまだー」とか空気読まない発言が出来れば一人前かもしれないけど無理だ。
 ギラギラした眼差しでチンコを擦りだす三人に俺はビビるしかない。
 もうなんなの、この空気。
 朝だよ? 殺伐としすぎてる。
 欲望にドロついた熱狂的なものを感じる。

 ベッドに腰掛けて視線を俺に向けてるA兄さんのチンコの射角を考えれば狙いは俺の顔。
 飛距離は分からないけどこのままここに居れば間違いなく俺の顔が落下地点。
 Dはもろ俺の横顔あるいは首筋にぶっかける気でしごいてる。
 耳元で擦ってる音が聞こえるようでくすぐったい。
 ベッドの上に立ってるベルトルも俺に向かって飛ばす気だ。
 サイズは見た目通りDや俺よりも小ぶりだけどちゃんと勃起してる。
 そしてやる気満々なところを見るに精通も終わってるんだろうね。
 俺が十歳の時はまだだった気がするけどベルトルが本当に十歳かは分からないから同じに考えられない。
 
「すぅちゃんって汚したくなる顔してるよねー」
 
 そんなこと言われたのは……実は初めてじゃない。
 悲しくも痛ましい事件によって俺は異世界に来る前に顔射体験というかぶっかけ体験をしている。
 
 キスは神聖なもの、なら同じ口を使うフェラは良いのか、精液飲むのは男のプライド的に許せるのかって普通なら思う疑問だけど俺からするとキスは全然したことがないから特別でフェラも精液を飲むのもやりたくないけどキスと天秤なら諦められるレベル。
 
 
 中学の後半、火内優成が急に構いだしたからか俺は急に注目されることになった。
 その流れの一つでよくあるのか分からないけれど集団に囲まれてのリンチからのレイプ。
 俺に勃起するやつは頭がおかしいと思っても事件は起きてしまった。
 赤滑くんとはその時にまだ知り合いではなかったのが大きいかもしれない。
 正義の使者である赤滑くんは暴力的でも優しいから俺がトラブルの中にいたら助けてくれる。察知能力も高い。
 でも、中学の時はまだ俺は赤滑くんと関わり合いがなかった。
 
 何の授業か忘れたけれど教室から教室に移動している最中の話。
 
 俺が忘れていた筆記用具を同じ教室の美少年が届けてくれた。
 なんて優しいのかと感動して心まで綺麗な美少年にお礼を言っていたら二人して空き教室に引きずり込まれた。
 立ち止まっていたのが悪かったのかもしれない。ちょうど他の生徒は歩いて次の授業の教室を目指していた。俺は美少年に声をかけられたところで止まってしまって話している内に周りに人気はなくなっていた。

 引きずり込まれた教室の中にはガタいのいい人間が十人ちょっと居て俺の目の前は真っ暗になった。
 何も言えず出来ない俺を他所に美少年は俺よりも小さな背丈なのに男らしく俺を庇ってくれた。
 
『俺になら何してもいいから、こっちの子に酷いことしないで』
 
 俺の名前をもしかして知らないのかなと思いながら美少年に庇われて震えていた。
 無理矢理にヤッて騒がれるよりもマシだと判断したのか美少年に何かできるチャンスにテンションが上がったのか軽くOKする強姦魔たち。

 当たり前だけど俺よりも美少年がいいという真っ当な意見に後押しされて引きずり込まれた教室の隣の部屋に美少年は連れて行かれた。美少年の心配をしながらこの状況で引き離されるのが怖くて俺は美少年を見つめていた。
 その時も美少年は俺を元気づけるように「大丈夫だから」と言ってくれた。男前すぎる。
 顔は綺麗でうっかりすると美少女に見えるぐらいにかわいらしいのに性格的にどこからどう見ても男だった。

 自分よりも体格がいい人間に複数で囲まれる経験なんかない俺は混乱の極みでどうやったら助かるのかと自己中なことばかりを考えていた。人は緊急事態において本性が出ると言うけれどそれなら俺の本質は保身に溢れるクズなんだろう。自分が追うことになる気頭が軽くなることばかりを考えていた。
 美少年ゲットしてウハウハなら関係ない俺を解放してくれとゲスなことを思っていたのだ。
 俺の側に残ったのは多分四人ほど。
 そんなにいる必要なんかないって言いたいところだったけど何も言えるわけがなかった。
 自分がこんなに臆病だと初めて知った。仲間内で話しているだけで俺に矛先を向けてこないので安心していたら隣の教室から絶叫が聞こえた。ホラーというか目の前にある大事件。テレビのサスペンスドラマじゃない。事件は学園で起きている。
 幽霊よりも生きた人間の方が怖いというのはどこかで聞いた台詞だと頭の片隅で思いながら俺は泣いた。俺のいる教室がある程度静かなせいで隣の美少年の様子が途切れ途切れに聞こえてくるのだから震えるしかできない。
 
 隣の部屋の男たちがこっちに来たら同じことをされるかもしれないという恐怖もあるし、美少年を見捨てたような罪悪感もあるしで俺はしゃくりあげていた。
 俺のガチ泣きにドン引きしたのか頭を撫でられたり飴を貰ったりして何だかおかしな待遇を受けた。
 嗚咽がある程度収まると床に押し倒されて身体を押さえつけられて涙を舐めとられたりシャツのボタン外されて首筋や胸のあたりを舐められもした。
 仕草は不思議と荒っぽかったり乱暴なところはなかったけれど怖かった。
 
 カチカチと歯と飴が音を鳴らす中、俺の両手はそれぞれ男のチンコを握る形で手を勝手に使われた。
 怖いし混乱していて手に力なんかはいらない。
 だから、チンコの持ち主が俺の手に自分のものを重ねて動かしても自分の手だと思えなかった。
 俺の胸とか鎖骨にチンコを擦りつけることも理解できないし俺の髪の毛にチンコ擦りつける奴は常識を疑った。
 
 噛まれるとイヤだと言うようなことを言いながら四人はそろって俺にチンコを擦りつけながら射精した。酷いことしてないから大丈夫だって笑ってたあいつらは心底おかしい。ポジションチェンジをしながら四人で俺のことを白濁液でドロドロに汚してくれた。一回出して賢者モードに突入すればいいものを俺が精液で汚れた姿に興奮したと言いながら勃たせる男たちは頭のネジが外れていた。
 
 指を口の中に入れられて強制的に口を開かされてそこに誰かが射精するとみんなで拍手する。口という的に上手く当てることができたということなんだろう。感覚的にどうにも受け入れがたいやりとりの中で時間の経過とともに俺は精液で汚されていった。気が狂ってるとしか思わない。俺に口の中の精液を飲み物と嚥下させて興奮の度合いを増していく彼らは完全に理解の範疇を超えていた。
 
 何処にでもいる平凡だと罵られるならともかく「ぶっかけたくなる顔」「汚したい顔」「これこれでエロい」とか言われる俺の衝撃は大きい。今までもらったことのない評価だ。

 青臭い匂いと味に嘔吐感がこみ上げるのに口の中にあった飴やジュースで中和された気持ちになったり隣から聞こえる絶叫に涙腺は潤み続けて逃げ出そうとする気力は湧いてこなかった。
 
 ちなみにこのショッキングな出来事は巡回していた警備員さんのおかげで終わった。
 
 処女は守られたものの白濁液まみれにされて俺かわいそうとか思っていたら大間違い。隣の教室から出てきたボコボコに殴られた跡のある美少年に絶句した。下半身が痛むのか変な歩き方になっている美少年は歩くたびに白濁液が床を汚していた。
 引き裂かれた制服にボロボロの身体なのに美少年は「ヤられてはないよね?」と俺に聞いてくれる優しさを持ち合わせた地上に降り立った天使だった。
 頷くことしかできずに美少年を気遣う言葉も吐き出さない俺に「無事なら良かった」と微笑んだ美少年は菩薩だ。俺のことなんか気にする余裕なんかないぐらいに満身創痍に見える美少年だったけれど「初めては好きな人とベッドがいいよね。あいつらに挿入はやめてあげてって頼んだんだ」と笑う。
 
 この状況で他人を思いやれる美少年は尊敬に値するけれど俺はとてもできないと思った。
 そして美少年の惨状を思えば男にぶっかけられたぐらいどうでもいい気がしてきたので俺の中の黒歴史ではあるけれど悲しいのも痛いのも美少年なので俺は何も言えない事件としてこれは終わった。
 怪我のこともあって美少年は転校することになったけどその理由は普通の生徒には特に知らされないままだった。夏村流水には何処から漏れたのか心配されたけれど美少年のことを思えば自分の身に起きたことを酷いことが起きたと言えなくて被害者の筈なのに罪悪感を覚える始末。
 
 ぶっかけやフェラは嫌悪感より「これで済むなら全然マシ」って思うものになってしまった。
 
 俺はちょっとズレてるかもしれない。
 

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