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  025 目の前にある巨根という現実


 
 すっかり目覚めた俺はベルトヤカの兄弟三人と巨大なベッドで一緒に寝たことを思い出した。
 寝心地は悪くなかったし、寝る時に変なちょっかいを出されたりもせず爆睡した。
 疲れていたしね。
 
「おはよう、ございます」
 
 なんとか、それだけ口にする。
 三人からそれぞれ朝の挨拶を貰いつつ俺はこの非日常を日常として処理していかなければいけないと改めて自覚する。
 全裸のA兄さんとベルトル。美女顔に似合いすぎるネグリジェ姿のD。
 これは毎朝の光景だろう。別に好きな格好で眠ればいい。裸族だっていい。
 ベッドはいずれ別々にして欲しいけど、家の中とはいえ安全確認が済んでないから一緒に寝るのは今のところOK。
 俺の部屋にベッドがあったから一人で寝るのは想定してるだろう。
 昨日は流されたし、しばらく流れに乗っているつもりだ。
 起きたら禿げてたりしたらイヤだからね。
 
 顔ぐっちゃぐちゃ、と笑いながらベルトルに指摘されつつ俺は視線を彷徨わせる。
 
 レースのカーテンの外に光があるのは朝だからか、ライト的なものが外にあるからか。
 白い毛玉が風に乗る綿毛のように動いてるなんて目の錯覚だ。
 俺もどこかに風に吹かれて飛んでいきたい。
 
 現実逃避以外どうしろっていうんだよ。
 
 大人しくA兄さんの凶悪な兵器に触れるのか?
 先っぽをぺろぺろするぐらいならともかく大きさ的に口に含むのは無理。
 ずる剥けチンコとか巨根を有難がる風潮こそが今の俺をピンチにしている気がする。
 小さくてもいいと皆が思えればA兄さんのチンコの巨大化を止められたかもしれない。
 
 怖気づいている俺に気づいたのか唇にチンコを擦りつけるものの口の中に侵入させてこない。
 A兄さん的に紳士的な行動なんだろう。
 無理矢理突っ込まれたら噛んじゃうからちょっと体勢を変えさせて欲しい。
 自分の唾で咳き込みそうだし。
 
 起き上がろうとする俺をA兄さんは邪魔しない。
 どさくさに紛れてシーツで口元をぬぐいつつ俺はベッドの上に座る。
 違和感があったので下半身を見るとチンコベルトが進化していた。
 黒の革っぽい素材のベルトって感じだった昨日から一転してレース素材のかわいらしいものにかわっている。白いレースってだけでかわいく見えるけどやってることはチンコガード。
 
「棒を入れてるから縛ったりしなくても漏れないでしょ」
 
 俺の疑問に気づいたのかベルトルが教えてくれた。
 射精も排尿も出来ない俺のチンコは果たしてチンコと呼べるのか。
 チンコの形をした別の何かな気がする。
 レースでチンコだけを包み込まれている俺の下半身。
 チンコを覆っていればそれでいいっていう考えがこの世界に萬栄してるんだろうか。
 なんでこんな、靴下をチンコに被せたみたいなことになっているんだ。
 
「嫌か?」
 
 嫌だとA兄さんに訴えたら改善してくれそうな気がするけどニヤニヤしてるDからは嫌な予感しかしない。
 A兄さんの後ろから顔をのぞかせたベルトルの手に白いレースのブラジャー的なものが見える。
 チンコガードとお揃いですか?
 俺が不用意な発言したらブラをすることになるとかじゃないよね。
 アブノーマルに突き落としてくるのはやめてくれないかな。
 
「えい兄さんはどんな下着つけてるのかなって」
 
 現在、全裸な人に聞いてみる。
 この話の流れで服を着てくれたらしめたもの。
 
「基本的につけないな」
 
 そうなんだ。ノーパン文化なんだ。今すぐ改善しろよ!!
 あぁ! 王様からして全裸というか自分の毛皮だけで生活してるからダメなのか!?
 着物の時はノーパンだって言うから実はパンツは必要ないのかもしれない。
 でも、ズボンの時にノーパンだと擦れて痛くならないのかな。
 慣れればなんてことないのか?
 それともノーパンであるせいで巨根になった?
 逆に巨根だからパンツに収めるには窮屈なのか。
 
 A兄さんのチンコをガン見しながら俺は悶々と考えてしまった。


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