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  017 俺とベルトヤカの末っ子?


 現在、俺はショタっ子にぺろぺろされている。
 A兄さんはどうしたって思うじゃん??
 
 俺の部屋らしい寝室にA兄さんが連れて来てくれた。
 そこでどうするのかと思えばキス。
 
 キスはやめろと何度も言っているだろ! 心の中で!!!

 俺の苛立ちをA兄さんは感じたのかなだめるように頭を撫でられたり背中をさすられた。
 乱れたリーゼントを手櫛でただのオールバックにしたA兄さんはメチャクチャ格好良く男の色気がムンムンだった。
 髪型の違いってすごい。
 というよりもリーゼントは残酷だ。
 水色の髪は綺麗だからリーゼントにするために固めるのはよくない。
 リーゼント反対!!
 
 A兄さんが「角度に気を付けないと髪が邪魔になるからな」とか言い出したが聞き流す。
 それに頷いちゃったりしたら俺がキスしたいみたいになるじゃん。
 俺とキスするよりもリーゼントを取ってくれてよかった。
 リーゼントを大切にして俺を放っておいてくれ。
 髪をセットし直すから待ってろって言われても淋しくないよ。
 
 こっちの動きを体格差で封じ込めてちゅっちゅっと、ええい、やめろぉ。
 この嫌がっている顔が見えないのか!?
 気持ちよさそうにしてるとか言ってるんじゃない。
 ちょっと慣れない行動に酸欠気味なだけなんだからね。
 別に照れてなんか――って、服の中に手が入って来た!!
 
 A兄さん、暴走しすぎなんでストップってかブレーキどこだ!! と俺が心の中で騒いでいたらDが登場。ノックもなく扉があいた。ペットにプライバシーはないのか!? お前の部屋は俺の部屋っていうノリか?
 もう少しペットのことを労わるべきだと抗議しようとしてDの隣にいる十歳前後の美少年の存在に気づいた。
 家族がA兄さんだけなわけもないから弟だろう。
 ベルトヤカの家族を紹介するって話だったのに俺はA兄さんにお持ち帰りされるように寝室に連れてかれたわけだ。そんなの良いわけないだろ。Dは長男だからA兄さんに逆らえないんだろうか。
 ベルトヤカルールとかあったりする?
 年功序列……ならA兄さんだけを頭の先にフランスパンつけてる髪型にするわけない。兄さんがリーゼントするならみんなリーゼントするだろう。美女顔のDのリーゼント。似合ない。まだナース服とかの方が似合う。いいや、体格はしっかりしてるから似合ってもオカマバーのお姉さんみたいになるのかな。男だって一見してわかるけど綺麗だからこれはこれでアリみたいな。
 
 Dの隣の弟くんは水色の髪を前髪ぱっつんでボブヘア。マッシュルームカットよりも普通にかわいい。
 たとえマッシュルームだとしてもかわいかっただろうけど水色の髪のせいもあって芸人風味は抜けないだろう。
 サスペンダーつきの半ズボンで白いシャツ姿。
 
 ベルトヤカは統一感のないファッションなのかA兄さんを基準にするべきなのに弟たちが反抗しているのか。正装がリーゼントなら誰でも反抗するかもしれない。
 
「オレはリトルフラウ・ベルトヤカ。みんなにはベルトルって呼ばれてるよ」
 
 A兄さんに半裸にされている俺に「よろしくね」と近づいてくるちびっ子。
 ベルトヤカの人間は空気を読まないのかもしれない。
 
 というか、まさかのアルファベットなし。
 ある一定の年齢になるとアルファベットがもらえて名前がバージョンアップするんだろうか。
 
「俺は溝口彗星」
「どう呼んでほしいとかある?」
「彗星で――」
「すぅちゃんね」
 
 なんだそれ、と思ったけどベルトルが幼さと無邪気さを前面に出して「いいよね?」と笑いかけてくるから俺は当然のようにOKを出した。
 十歳ぐらいの子供に俺は物すっごく弱い。
 俺が嫌だとか言おうものなら泣いたり俺を悪人にするんだろ。
 いいよいいよ、俺は全面降伏ですよ。
 
 そう思ってベルトルが俺に引っ付いてくるのも「ちびっ子に好かれる俺カッコいい」みたいなよく分からない優越感の中にいた。
 
「すぅちゃん、結構、身体鍛えてるんだ?」
 
 そんな事実はなかったけど言われるとそんな気がしてきて「そう見える?」と自分の身体の線をなぞる。A兄さんはDと一緒に俺の部屋のテーブルでお茶を飲んでいる。
 いつの間にかお茶会セットを移動させたらしい。
 何だかおかしいと思いながらベルトルに全裸にされて気づいたら手を縛られていた、蛇で。
 白と黒の蛇がそれぞれ俺の右手と左手に絡みつき二匹の蛇自体もグルグル絡み合う。
 縄で縛られているわけじゃないので両手を力いっぱい外側に引っ張ってしまえば蛇が絡んでるぐらい何とかなるかもしれない。
 でも、白と黒の蛇が身体を絡ませ合って仲良さそうにキスしてる。
 俺を巻き添えにしているとはいえ「久しぶりだな、お前」「会いたかったわ、あなた」と再会を喜んでいるような蛇を俺が引き裂くことは気分的に出来ない。
 
 そして、両腕を蛇によって頭上で一本にまとめられた俺は脇の下を晒している。
 普通ならそれがどうしたって感じなんだけどベルトルが興奮した顔で脇の下に顔をうずめる。
 幼い少年が変態みたいなことするんじゃないと叫びたいのに舌でぺろぺろ舐められて俺は震えた。
 悪寒とか寒気とかじゃない。
 
 快楽的な何か。
 
 え? それはさすがにヤバいよね。
 ショタにぺろぺろされてハァハァ言ってるとかアウトだ、アウト。
 
 そう思ってるのにヘソを舐められて足を大きく開かされて太ももの内側もぺろぺろ。
 
 居たたまれなくて視線を彷徨わせていたらお茶を飲みながらA兄さんとDはこっちをガン見してる。
 酒の肴ならぬ、お茶のお供?
 ゆるく立ち上がっていく俺の愚息よ、静まりたまえ!!!
 ショタのぺろぺろに屈するなかれ! 
 
 

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