遙かなる時空を越えて2
5000Hitのお礼SSの「遙かなる時空を越えて」の続きです。
…どこに貼り付けようかと悩みましたが、記念企画ページに追加することにしました。
勿論、星影様のみお持ち帰りOKで。
…多分、続きます。そして、書き上げれるかは不明です…(マテ)
(でも、このまま終わらせてもいいかも知れない…)
※CP:ライルル
※リク内容(確認):ライルルで、逆行orトリップもの。原因はしー様で。
※捏造万歳、ルルーシュに幸せな世界。
※時間はR2の…TURN5、ラストです。
※勿論、「遙かなる時空を越えて」の続き。
※それでも良ければどうぞ!*
「ダンスパーティー…だよね、これ」
「その割には、見覚えのあるKMFの必要性が理解出来ない。
こういうパターンは、大抵が学園祭の後夜祭の率が高いんだがな…」
静かな屋上から、ざわめきに包まれている校庭を見下ろしているライとルルーシュ。
何か行動を起こすにも、兎にも角にも情報が必要である。
だが、こうしているだけでは詳しいことはわからないため、移動しようかとも思ったのだが…。
「…C.C.の言っていたことから察するに、もしかしたら(もしかしなくても)、ルルーシュがもう一人いるかも知れないんだけど」
「…もう一人の俺と鉢合わせなんてしたら、何が起こるかわからんな…」
難しい顔して悩む2人。
恐らくだが、過去ではないだろう。
ルルーシュに、こんなイベントの覚えがないのだから。
C.C.が言っていた、“もう1人のルルーシュ”を助ける為にここへ送られたのだとしたら、ルルーシュがいないはずがなく、ルルーシュは今まで行われてきたイベントのすべてが頭に入っているため、記憶にない筈もなく。
それはイコールで過去ではない、ということになる。
「信じられん…未来か、それともパラレルワールドだとでも?」
「いや…未来だとしたら、僕達が干渉したら色々と不味いことが……誰か来る!」
「!!」
とっさに建物の影に隠れた2人は、屋上へと上がってきた人物の姿をみて目を見張った ―――――。
遙かなる時空を越えて2
日本には、ことわざで“噂をすれば影がさす”と言うものがある。
その意味は、『人の噂をしていると、当の本人が突然現れるものである(参照:大辞林)』というものだ。
そして…今のライとルルーシュにとって、それは的を射たものだった。
『まさしく、噂をすれば、な状態だな』
『冗談では済まされないよ、それ。…どこかに電話をするみたいだね』
小声で話す2人の視線の先では、こちらの世界のルルーシュが、何処かへと電話をかけようとしている。
ボイスチェンジャーをつけているのを見て、やはり、こちらでもゼロなのだと察した。
「……また君に借りが出来たようだな」
こちらの世界のルルーシュ(※紛らわしいので、これからは【ルルーシュ】と表記)の口調から、黒の騎士団ではなさそうだ。
また別の…“ゼロ”と対等な存在が入ったのならばまた違うのだろうが。
「…では、もう一つ頼んでもいいか?
―― 大宦官に連絡を取って欲しい」
その名称に、2人はピクリと反応した。
大宦官と言えば、中華連邦の官僚のことである。
『…と言うことは、相手は中華連邦の者か?』
『他に、大宦官なんて名称が出てくる国なんて僕は知らないけど…』
『俺もだ』
その会話の間に、【ルルーシュ】は通話を終わらせていた。
それを眺めながら眉根を寄せて考え込むルルーシュに、ライは新たな気配を感じてルルーシュに伝える。
『ルルーシュ、スザクが来る』
『スザクか…何かわかるかも知れんな』
【ルルーシュ】が携帯を仕舞ったと同時に、スザクが屋上へと現れて【ルルーシュ】へと声をかけた。
その視線は、まるで“ゼロ”を前にして入るように冷たい…。
「ルルーシュ」
「っ! …主役はメインステージにいてくれよ」
一瞬驚いたが、【ルルーシュ】は平常心を装ってスザクへと振り向く。
…なにやら、以前(…と言うよりも、ルルーシュ)よりも更に強く警戒しているような…。
「ん? …いや、皆、楽しんでいるみたいだから」
苦笑して断っているが、【ルルーシュ】に向けるその視線は、やはり冷え切っているようだ。
ライ達の世界のスザクなら、間違ってもそんな器用なことは出来ないだろう。
ライとルルーシュは思わず顔を見合わせる。
「それに、話したい事があってさ」
「なんだい?」
柵へともたれながら、【ルルーシュ】は校庭を見下ろした。
スザクの話しを聞く体勢に入ったようだ。
「僕はね、ナイトオブワンになるつもりだ」
「おいおい、それは帝国最高の騎士…」
【ルルーシュ】が呆れたように言おうとしていた言葉を遮り、スザクは続ける。
「ナイトオブワンの特権に、好きなエリアを一つ貰えるというのがある。
僕はこのエリアを…日本を貰うつもりだ」
【ルルーシュ】は無言で、スザクへと向き直った。
【ルルーシュ】の視線の先にいるスザクの表情は真剣で、それはスザクの本心からの言葉なのだと誰に言われずともわかるだろう。
建物の影から2人の様子を伺うライとルルーシュには、話の流れが読めていない。
【ルルーシュ】の今の立場も、スザクの立場も知らないのだから…。
それでも、2人のピリピリとした空気だけは読めた。
「僕は、大切な友達と、かけがえのない女性を失った。これ以上、誰も失わないためにも力を手に入れる。
…だから、もう日本人に、ゼロは必要ないんだ」
「ふぅん、間接統治か。保護領を目指して?」
「答えは…この人に」
スザクは携帯を取り出し、どこかにかけだした。
スザクの突然の行動に、【ルルーシュ】は戸惑う。
「え?」
「来週赴任される、エリア11の新総督だ」
「ただの学生が総督と?」
顔をしかめる【ルルーシュ】を他所に、スザクの携帯をかけた相手が出たようだ。
「枢木です。…はい。今、目の前に。…はい」
【ルルーシュ】に手渡される、スザクの携帯。
スザクの視線は、相手を観察するかのように冷たく冷静だ。
一方…建物の影から2人の様子を伺っていたルルーシュとライは、話が見えなくて苛立っていた。
しかも、携帯で話されては余計に話が見えなくなるだろう。
それに苛立ったらしいルルーシュが、なにやら自分の携帯を弄り出した。
何処となく不安になり、様子を見守っていると、ルルーシュがニヤリと笑う。
…かなり、極悪人な笑みだったというのを付け加えておく。
「困るんだけどなぁ…そんな偉い方なんかと」
そう言いながら、クルリと後ろを向く【ルルーシュ】。
時同じく、何処からか(本当に何処からなのかと訊きたい…)イヤホンを取り出したルルーシュが、ライにも耳に付けろとジェスチャーをした。
そして、ライがイヤホンをつけたと同時に、【ルルーシュ】が携帯を耳へと当てて…息を呑んだ。
『もしもし…お兄様?』
「!?」
『お兄様なのでしょう? 私です、ナナリーです。総督として、そちらに…あの、聞こえていますか、お兄様?ナナリーです!』
【ルルーシュ】と同じく、携帯から聞こえてきたナナリーの声にルルーシュとライは驚いた。
まだ、この世界の情勢を知らないルルーシュと、ライ。
この2人がどう動くかによって、この世界の流れは変わっていくことになる ―――――。
*