01−創りましょう。

  ロイドは寂しかった。
――― 最愛の人がいないから。

  ロイドは哀しかった。
――― 最愛の人が亡くなってしまったから。

  ロイドは悔しかった。
――― 最愛の人と共に居れなかったから。


――― だから。
  だから、ロイドはそれらを紛らわす為に、とあるものの制作に着手したのだった。





01−創りましょう。






「うーん…やっぱり、食事は食べれた方がいいよね。あの方は料理がお上手だったし、何よりもやっぱり一緒にプリン食べたいし!」

「最初はあの方の情報を入れるとしても、追々自分で思考出来る方が、よりらしいよね。…んじゃ、超AIでも搭載するとしてー」

「動力は…サイズを小さくする為にも、やっぱりサクラダイトだよねぇ…エネルギー補給は…食事で大丈夫なようにしないとね」

「あの方ってば少食でいらっしゃるから、他にも何かエネルギーの補給出来るものも…あ、光エネルギーシステムってあったよね。アレにしよっと!」

「ボディの肌は…あの方の吸い付くような決め細やかな素材って無さそうだよねぇ…仕方ない、いっちょ培養してみようかな。…専門外だけど、あの方の為なら何でも出来るからね」

「髪は…」

「声は…」


  その作業は秘密裏に行われ、ロイドの想いの深さを知っているセシルも手伝い、そして ――― ついに、完成する。











「………出来た。H−CB01、“お人形さん(ドール)”」


  その姿は、まさしくルルーシュだった。

  肌理きめ細かく、触ると吸い付くかのよう。
  髪も漆黒で艶々のサラサラ、今は閉じられている瞳も深いアメジスト。
  手も足も身体も細く、スラリとした肢体。
  紛う事なき、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの姿がそこにあった。


「…ルルーシュ様」


  すでに、超AIにルルーシュの情報は登録してある。
  ルルーシュの思考パターン、知識、嗜好、その他etc...ロイドが知りうる限りを詰め込んだ。
  身体も、完璧に仕上げてある。
  最初は動きにぎこちなさがあっても、徐々に慣れるだろう。

  後は、起動するだけ……


「…………っ、」


  ……ただ、それだけが難しいと知る ―――――。
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