ハロウィン(後)
※CP:朝ルル。
※前中後編の後です。
※朝比奈にはゼロバレ済みで、恋人同士です。
※時間帯はすでにハロウィン過ぎてるんじゃ?というのはスルーの方向で。
※よく考えたら朝ルルってコレが初めてじゃね!?とUPした後に気づいた。(マテ)
※それでも良ければどうぞ!*
ハロウィン(後)
「とりっくおあとりーと!」
「へ? …な、ルルーシュ君!?」
いきなり、朝比奈の背後に抱きついてきたのはルルーシュだ。
…いや、普段なら決してしないだろう行動にも色々と突っ込みたいのだが、何よりも驚いたのは…。
「ど、どうしたのその格好!?」
「…にあわない…?」
パーティーの時の格好のまま、朝比奈の前に現れたルルーシュ。
顔を真っ赤にして、いつもは強い眼差しを持つ瞳を潤ませて、どこか不安げにコテンと首を傾げて聞いてくる姿に、朝比奈は思わず鼻血を出してしまうかと思った。
「いや、すっごく似合うけど! …もしかしてとは思うけど、その格好でゲットー歩いてきたの!?」
「ん〜…だって、しょうごさんにあいたかったし…」
何処となく拗ねた様に唇を尖らせるルルーシュに、朝比奈はその唇を思わず塞ごうとした己を自制した。
…今、ルルーシュにそういう意味で触れたら、途中で止まることが出来なさそうだったから。
「とっ、兎に角、部屋に行こう!!」
朝比奈は声がひっくり返りそうになりながら、ルルーシュを抱えて(うわ、いい匂いがする…!)ゼロの部屋へとダッシュした。
ルルーシュの匂いにクラクラして、思わず首元にむしゃぶりつきたくなったのは朝比奈だけの秘密である。
小難しいパスワードを入力して、ゼロの部屋へと入る。
勿論、ルルーシュは未だに抱えたままだ。
「…ふぅ。良かった、誰にも会わなくて」
その心は、ゼロの素顔がバレるよりも、今の色っぽい姿を他の者に見せたくない、である。
(人間って、自分の欲望に忠実だよね!)
そして、改めてルルーシュの姿を見た。
深い紫のドレスに、肩にかけられたマント。
―― 何故女物なのかはあえて聞かない。似合ってるから。
長くストレートの黒髪のウィッグは、毛先だけパーマがかけられていて、僅かに細くしなやかな身体に絡まっている。
―― …それが、また艶っぽさを演出していて、素肌への絡みを髣髴させられてしまう。
元々美しい顔には、更に色気を増すような化粧が施されており、見惚れるほどの美人さんにしか見えない。
―― 唇のルージュが、口付けを誘っているようにしか見えないから!
極めつけが、薄っすらと色づいたバラ色の頬と、どこかうっとりした表情に、潤んだ瞳。
―― まるで、情事の最中のような…これで堕ちなかったら男じゃないね(断言)。ルルーシュ君、色っぽ過ぎ…!
ルルーシュを、熱い眼差しで見つめる朝比奈は、ふとルルーシュからの嗅ぎなれた臭いに気づいた。
「…って、コレってお酒!? ルルーシュ君、お酒飲んだの君!?」
じゃあ、さっきまでの可愛らしい言動は酔っ払い?
「むぅ。俺は酔ってなんていませんー」
あ、こりゃ駄目だ。 ルルーシュの答えを聞いて、朝比奈は即座にそう思った。
酔っ払い程、自分は酔っていないと言うものである。
そして……
このあまりにも可愛い言動は無茶苦茶ヤバイです。 それ以前に、恥ずかしがりやなルルーシュが、朝比奈が抱えたままなのを許すはずがない。
…どうやら、朝比奈は(自分では気づいていなかったが)かなり気が動転していたようだ。
「ん〜…正直、今の君ってばかーなーりー美味しそうなんだけどねぇ…」
今現在のルルーシュは、その全身全てで朝比奈を誘惑している。
正直、このままベッドに押し倒したい。
…でも、酔っ払いを襲うのも気が咎めるし、酔いから醒めた後のルルーシュの事を考えると、今はこのまま寝かせてあげた方がいいのだとわかってる。
「…俺はただ、君の身体だけが目的なんかじゃないからねぇ…」
朝比奈はゆっくりと、ルルーシュの身体をベッドに横たえた。
どうやら、朝比奈が考え込んでいる間に、ルルーシュは睡魔に襲われていたらしく、うとうととしている。
寝ぼけまなこなルルーシュを微笑ましく思いながらも、想いを込めて額へと口づけた。
「トリック オア トリート…ねぇ。俺はもう十分、いたずらされた気分だよ」
翌日、ゼロの部屋で目覚めたルルーシュが、己の格好に思わず悲鳴を上げそうになるのを堪える姿があった ―――――。
(な、な、な……!? どーしてこんな格好でここに!?)
(あ、ルルーシュ君目が覚めたんだ?)
(へ? しょ、省吾さん!? なんで一緒のベッドに…!?)
(えー、ルルーシュ君覚えてないの? 昨日、君が誘ったんだよ…?)
(さ、誘…!!???)
(あ、混乱してる。可愛いなぁ…あ、酔いが醒めたんなら襲ってもいいかな?)
(…って、なんで脱がそうとしてるんですか!?)
...End
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