神とオレンジと魔女と
過去web拍手のお礼SSです。
神ルルの番外編。
特殊設定なので、お気をつけ下さいませ。
※CP:Cルル…?
※神ルル番外編。
※「神との再会」の後。…でもすぐ後とは限らない(マテ)
※オレンジ投入!(爆)
※それらを踏まえてご覧下さい。*
神とオレンジと魔女と
その女の姿を見るのは、かれこれ数ヶ月ぶりだった。
「久しいな、オレンジ」
「…C.C.、その呼び名はルルーシュ様への忠義の証であって、貴様からバカにされるような呼び名ではないのだが」
だから、気安くその名で呼ぶでない。
ジェレミアが、開口一番で自身を“オレンジ”と呼んだC.C.に、眉間に皺を寄せながらも告げる。
勿論、C.C.はそれを理解していて、その上でからかうために呼んでいるのだが、生真面目なジェレミアには理解が出来ないらしい。
…そして、そんな反応をするからこそ、面白がられてまた呼ばれる悪循環だともいえる。
「何を言う。貴様は自分がオレンジだと自覚していて、その上で貴様をオレンジだと呼ぶのだから、間違いではないだろう?」
名前と言うものは、元々その者を表す記号。
呼ばれて、それが自分のことだと理解が出来るのならば、例えそれがナンバーだろうと、それこそC.C.のようにイニシャルのようなコードネームだろうとも、象徴的な記号だろとも、別に構わないだろう。
そういうC.C.に、ジェレミアは苦虫を噛み潰したような顔で沈黙した。
今更、それこそ何百年と生きてきた魔女に、何を言っても聞き入れる訳がないというのは、さすがのジェレミアも理解してきたようだ。
「…で、今回は何のようだ?」
「何がだ?」
「〜〜〜! だから、わざわざここまで訪れた用事はなんだと言っている!」
イライラと怒鳴りつけてくるジェレミアに、C.C.は相変わらず不遜な態度で踏ん反り返っている。
…ジェレミアとアーニャの暮す家のリビングで。
「私が来たらいけないのか?」
「…貴様、前回訪れたときに、何をしていったのかを忘れたのか?」
勿論、覚えている訳がない。
もし覚えていたのなら、こんな堂々とした態度でいられるはずもないのだから。
…いや、もしかしたら『私はC.C.だからな』、で終わるのかも知れないが。
「…何かあったか?」
「貴様っ! 私の大事なオレンジの木(収穫前)を、面白そうだとかぬかして揺さぶり、出来の良さそうだったオレンジの実(収穫前)を散々落として駄目にしただろうがー!!!!!!」
まさしく、その様子は怒髪天。
まだ、純血派の頃や、ルルーシュが皇帝になって周り中が敵だった頃のピリピリしている時とは違い、オレンジ農家になってからはとんと見なくなった姿である。
ジェレミアの後ろで様子を眺めていたアーニャは、相変わらず無表情で「…すごい。髪が上向いてる…」と感心していた。
その怒りを正面から眺めているC.C.は、そんなこともあったかも知れんなぁと嘯いている。
…が、その視線はあらぬ方を向いており、しかも表情は面白がっているのが丸わかり。
それが、嘘だというのが傍目からでもすぐにわかる。
「それで! …なんの用だ」
「…もう収まったのか。つまらん」
「貴様を楽しませる為に怒り続けるのは癪だからな」
フン、と吐き捨て、ジェレミアは無理矢理怒りを静めた。
C.C.は、まぁいい、とジェレミアに向き直り、ニヤリと笑う。
「オレンジも、逢いたいだろうと思ってな」
「だから、気安く呼ぶなと………え?」
例の如く、オレンジと呼ばれて反論しようとしたジェレミアの前に、キラキラとした光が集まり、人の形を形成した。
それは、ジェレミアがかつて、心の底から敬愛し、従った己の……。
「ま…さか、ルルーシュ様…!!?」
『……久しぶりだな、ジェレミア』
――― 我が騎士よ…。
そこに、かつて悪逆皇帝とも呼ばれた、神聖ブリタニア帝国第99代皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの姿があった ―――――。
(…すまない、ジェレミア)
(何を謝られることが…)
(C.C.のことだ)
(そ、それは…)
(苦労をかける。本当に…)
(る、ルルーシュ様のせいではありません!)
*