手塚×柴崎+堂上班
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「あ、手塚!あの人また来てるよ。」
そう言って指差した郁の人差し指の先には、ここ数日見かけるようになった青年が、書棚に本を戻している柴崎に話しかけていた。
最近来はじめたというわけではなく、最近になって注視するようになったため。
「柴崎ってば業務時間内はしっかり営業用の口調と笑顔だからなー;
ピシャッと断れないのよね…。」
「…まあな。」
恐らく柴崎のこと、優しい口調の中に強かに断りの意味合いを混ぜているであろうが、相手が鈍ければ意味はないだろう。
自分のことのように困り顔で言う笠原に、返せる言葉は短い。
まさに不機嫌で余裕がないことを物語っているがどうでもいい。
「あ」
笠原が小さく悲鳴をあげたのと、自分が走り出したのはほぼ同時。
なかなかに煮え切らない柴崎に焦れた男の手が伸びたのだ。
呆気に取られた笠原だったが、二人の間に割って入った手塚の様子を遠くから眺めて小さく笑みを溢した。
「なんか、手塚って柴崎のことになると身体で反射的に行動するようになりましたよね。」
後ろにいた小牧と堂上に言うと、
「始終身体で反射的に行動するやつもいるけどな。」
と堂上は呟いた。
横にいた小牧が声を抑えて笑ったのを堂上はギロリと睨むと、レファレンス業務へとさっさと戻るのだった。
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手柴恋人期間
始終身体で反射的に行動するのは昔の篤さんもですよね、小牧教官(笑)
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