現在朝の4時23分、場所は屯所です。
沖田さんに着いてきて沖田さんの自室にいましたが少し寝ろと言われて20分から30分寝ていた。スマホで確認するとそれくらいの時間が経っていた。

「…さむ……」

少し寝たからか頭がスッキリしてきた。
隣で沖田さんもアイマスクをしてすやすや寝ていた。……トイレ行きたい…寒い…てか沖田さんだけ布団に入って寝てるよ…ええ?
とりあえずと沖田さんの隊服の上を拝借し少し乱れた着物を直して廊下に出る。

さすがにこの時間だから誰もいないかな…と思って廊下をうろうろしていたら「え?」と声がした。

「あ…山崎さん、おはようございます」

「え、あ、おはようございます…、ど、どうしたの?」

「お手洗いってどこですか…」

「あ、厠はそこ曲がって扉入ると見えるよ」

「ありがとうございます…!」

うう、さむい…と肩を震わしながトイレへ向かった。



一方山崎退は混乱していた。

「…沖田、隊長の部屋から出てきた…」

「(えええええ!?沖田隊長の部屋から出てきたよ!待って…苗字さんって旦那と付き合ってるんじゃなかったっけ!?ど、どうして沖田隊長の隊服羽織ってしかもなんか着物も着崩れしてたし、ま、まさか!まさか!?)」

あわ…あわ…と混乱していると「山崎ィ…」と声をかけられた。

「ひょわ!って沖田隊長!」

「新人は?」

「あ、厠だって言ってました…」

「そーかィ」

「お、沖田隊長…まさか苗字さんとそのつ、つつつ付き合って…!?」

「………捉えたいようにすれば」

「えええええー!!??」








ジャーと厠の水を流して手を洗う。冷たい水が頭をより鮮明にする。
昨日のことは私が完全に悪い、しかもこれじゃ幼い子がただこねてふて寝している状態だ。

「バカみたい…」

私が不安に思うことすらバカだ、そのことにも腹が立つ。

「どうした新人」

「…!、沖田さん…」

「そんな死にそうな面すんじゃねェや」

「………それは…」

「旦那の喧嘩したんで?」

「…私が、悪いんです」

とりあえず、と沖田さんが用を足すから出ていけと言われてふらふらと沖田さんの自室の前の縁側へ腰を下ろす。
私はどうしたいのだろう。

「はースッキリしやした。で?」

「…私は、どうすればいいんでしょうか」

「どう、とは」

「銀さんってみんなの中心というか、あの人の背中を追ってみんな追いかけていくじゃないですか、それと共に銀さんの近くにいるのには、その分力があるわけで…。
でも私はその力すらないし、どうすれば…」

「なんで自分に力無いって決めてんでさァ」

「え…?」

「そんなもんつければいい話でさァ」

「…つける、あ!」

「そ、鍛錬」

「なるほど!」

「んで?ほかには?」

「えぇと…あ、あの昨日の手とか繋いで欲しかったし…その…」

「…本人に言えばいい話でさァ、はい終わり」

「いや雑!」

「そんくらい方がいいんでさァ」

「そう、ですか…」

「んで、鍛錬の話、どうするんで?」

「あ…えぇと…道場…?護身術…?でもどこにいけばいいんですかね…」

「はぁ…そしたらこの俺が付けてやりまさァ」

「お、沖田さんが!?」

「何か文句ありやすか」

「いえ!」

じゃあ…と今度時間がある時稽古をつけてもらうことにした。じゃあ土方さんや近藤さんにも伝えておくんで早く帰れと言われた。え、ひどい…。
とぼとぼと万事屋へ謝りに行こうと歩いていると向こうから銀髪のふわふわが歩いてきた。

「…あ…」

「…名前…どこいたんだよ。ここかぶき町、わかってんの?掻っ攫われるの心配しろよ…」

「ご、ごめんなさい……」

「……ん」

手を出されて私はその手と本人を見て考えてしまった。

「繋ぐの、繋がねーのどっち」

「つ、繋ぐ!」

「ん」

大きな手をぎゅっと掴むと、さらにぎゅっと包まれた。今なら言えると思う。

「銀さん、ごめんなさい」

「…なにが」

「………夜の話…」

「不安って?」

「うん…」

「じゃあちゃんと話そうぜ、お互い他人同士なんだからその辺すり合わせて寄せていかねェとな」

「うん…」

万事屋へ向かう道中、ぽそぽそと話す私とそれをきちんと聞いて返事をする銀さん。

「銀さんは、私がそばにいて、嫌じゃない?…ごめん…これがめんどくさい女の台詞みたいで…」

「そんなことねェよ。……嫌じゃねェよ」

「…ほん、と…?」

「ん」

「えぇと…あと、…昨日嫉妬しちゃって…ごめんなさい…いい歳した人がこんな嫉妬とか見苦しいし…その…それで銀さんに当たってしまってごめんない…」

「………名前が嫉妬するって事はそれほど俺のこと好きなんだろ?」

「そ、れは…」

さらりとそういうことを言う銀さんの顔は朝日で逆光してわからなかった。

「俺もそうだよ、だからちゃんとして欲しいことお互い言おうや」

「…うん…、じゃあ、その…」

「お、早速?」

「えぇと…その…よ、万事屋へ、行ったら…抱きしめてっ…ください……」

風の音か、または私の声か、同じくらいの声量でつぶやいた私の声は銀さんに届いただろうか。

「…ん、名前がいいって言うまで抱きしめてやんよ」

「ぅ……」

ニヤリと笑う銀さんとぼっと顔が熱くなる私。このドキドキは、やっぱり銀さんが好きなんだと再認識した。




-恋は曲者-
(恋は理性を失わせるから、恋をした人は常識では考えられないような、とんでもないことをするおそれがあるということ)




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