冬の寒さも落ち着き梅の花が咲き始める今日この頃は。1月も終わり2月になりました。2月と言えば

「バレンタイン?」

「バレンタインネ!チョコ作るんでしょ?」

神楽ちゃんがお団子屋さんに来て私に話しかけた。神楽ちゃんは少し照れながら話していく。

「ぎ、銀ちゃんと新八にあげたい、ナ、とか」

「…そしたら私作るのお手伝いさせてほしいな」

「も、もちろんアル!」

キラキラっと輝いた目になり私を見る神楽ちゃん。たぶん1人だと何を作ればいいかわからないから、近くの女性すなわち私に話しかけたのだろう。
じゃあ今度のお休みの時アパートで作ろうと予定を合わせて解散した。
そうか、神楽ちゃんあげたいのかぁと心がほわほわっとした。可愛すぎる…。






バレンタインのチョコを作る日、朝から神楽ちゃんは1人で私のアパートへ来た。

「神楽ちゃん、ようこそ」

「お、お邪魔しますヨ…」

神楽ちゃんは少し緊張している様子だった。私はスマホで何作る?と聞くと、ケーキみたいな、あいつらが驚くやつが作りたいとのことだった。

「うーん…そしたらこれは?」

「おお!コレうまそうアル!コレがいいネ!」

スマホの画面に指を刺してコレ!と言った神楽ちゃん。これなら簡単にできそうだし見た目も味も美味しいだろう。
神楽ちゃんとのお菓子作りは楽しかった。力加減がうまくいかないところもあったものの、なんとか美味しそうにできた。

「ん?なんか数多くアル…」

「これは銀さんと、新八くんと、お団子屋さんの親父さんに」

「…それでも結構余るネ」

「ふふ、秘密」

「名前も罪な女ネ」

「そんな言葉どこで覚えたの…」

出来上がったものを事前に買っておいたラッピング用の袋とリボンをかけて無事完成した。私は袋に入れて神楽ちゃんと2人でアパートを出た。







一方万事屋の銀時、新八は、バレンタインが近いからとソワソワしていた。ソワソワを隠していた。

「…はぁ…世の中はチョコレート会社の陰謀に引っかかりやがってよォ。俺なんか引っかかんねェからね、うんうん」

「そ、そうですよね!僕たちはある意味正しいのかもしれませんね!」

「そーそー」

「…悲しいですね、銀さん」

「そーさな、新八…。あの名前からもくれねェし…、俺たち付き合ってるんだよな?もうこれ付き合ってるってどんな状態?ってかこれ普通の仲良い友達みたいな状態じゃない?なぁ新八」

「僕はわかりません」

「………はぁ…」

ガラリ、と万事屋の扉が開き、2人はドキリとした。まさか、バレンタインか!?なんてワクワクして玄関に向かったら、名前と神楽がいた。








「銀ちゃん!バレンタインネ、コレ!」

神楽ちゃんは手に握られたラッピングされたものを2人に渡した。

「…こ、これ…チョコか?」

「僕もいいの?神楽ちゃん」

「……いいアル…」

「神楽ちゃんが一生懸命作ったんだよ、銀さん、新八くん」

私はソファーに座りながら説明した。神楽ちゃんは恥ずかしいのか頬を染めて俯いていたが、2人と手に渡ったそれはとても可愛く見えた。

「…これ、なんだ…?」

「これはフォンダンショコラって言うやつで食べるとわかるんだけどチョコがとろーって出てきておいしいよ」

「食ってみていいか、神楽」

銀さんは神楽ちゃんにやさしく聞いた。神楽ちゃんはコクリと頷き、それを見た2人はがさりとチョコを出してパクりと食べた。

「うぉ!うめぇ!」

「これおいしいよ神楽ちゃん!」

「…あ、当たり前ネ!」

「ふふ、私からもひとつづつどうぞ」

もう一個私からと言う程であげたら、幸せそうな顔でそれを見た。

「お、名前も、ありがとうな」

「いいえ、神楽ちゃんが手伝ってくれたからよかったよ」

「ありがとうございます、名前さん」

私は2人に渡してソファーを立った。

「あれ、どこ行くんだよ」

「…秘密」

そういうと万事屋のリビングを去った。

「名前残りのチョコは団子屋の親父に渡すって言ってたアルヨ」

「…ふーん」

手についたチョコを舐めながら神楽の言葉を聞いていた銀時。







チョコを片手にお団子屋の親父さんと女将さんに渡したらこんなのいいのに、ありがとうね。と言われた。よかった、喜んでくれて。
そしてその足で真選組に向かう。

「すいませーん!」

「はいはいーって名前ちゃん!」

「あ、近藤さん!こんにちわ。今大丈夫ですか?」

声をかけたら素振りをしていたのか少し汗をかいている近藤さんに会った。

「おう、大丈夫だよ。なんだい?」

「今日バレンタインじゃないですか、なので近藤さんと土方さんと沖田さんにこのチョコレートを」

「え!いいのぉ!?ありがとう!トシと総悟呼んでくるから待ってて!」

私の返事を待たずにトシ!総悟!と庭から叫んでいた。いやそれ2人とも驚かない?と思ったが、「どうした近藤さん」と普通に出てきた。いや普通かよ!

「コレ!名前ちゃんが俺たちにチョコくれたぞ!」

「え、そんな気を遣わないでくれてよかったのに」

「いえ、いつもお世話になっているので。フォンダンショコラっていうチョコです。中からチョコがとろっと出てくるやつなのでぜひお茶かコーヒーと食べてください」

「ありがとうな、苗字さん」

「いいえ」

「なんでィこの塊」

「沖田さん!」

後ろからぬっと出てきて私の手にあるチョコをヒョイっと取って食べた。

「……これ生じゃね?」

「生じゃないですよ」

「あとコレ…」

紙袋をそのまま近藤さんに渡した。近藤さんは紙袋の中身を見て、これは?と言う顔をしていた。

「人数がわからなかったんですけど、他の隊士さんたちに…。たらなかったらすみません」

「こ、こんなにいいの!?ありがとう名前ちゃん」

「いえ、お口にあうかもわかりませんが…」

私は紙袋を見てそう言った。紙袋の中身はプレーンのクッキーだ。神楽ちゃんと作るときついでに作ったものだ。結構多めに作ったから美味しければいいなと思い渡した。
渡せたので失礼します、と3人に言って屯所を出た。

夕方になってしまったから早めに帰ろうとアパートへ進めた時後ろから話しかけられた。

「新人」

「沖田さん、どうしました?」

「……チョコ、やっぱり生ですぜ」

「そう言うやつですって」

「…うまかった」

「………よかったです。また作りますね」

「次はクッキーな」

「わかりました」

そう会話をして屯所を離れた。沖田は名前の後ろ姿を見えなくなるまで目で追っていた。




-蟻の甘きにつくが如し-
(蟻が甘いものに群がるように、利益のある所に人が群がることのたとえ)







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