季節は春から夏に近づこうとしている日に突然事は起こった。
最近銀さん見かけないなぁと仕事をしながら思っていたとき、新八くんと神楽ちゃんがお団子屋さんに来たのだ。
「名前さん!」
「名前!」
「いらっしゃい、って2人ともどうしたの?」
「銀さんが…!」
「銀ちゃんがいなくなったアル…!」
「……え…?」
*
数日前私と銀さんが万事屋で呑んだ時から銀さんの様子がおかしかったらしい。
コホコホと咳をしながら鼻をほじり、ジャンプを読んでいたらしい。しかし、ちょっと出るわと言ったっきり万事屋には戻っていないと。
「…銀さんが…?」
現在万事屋で2人と定春はしょぼんとしながら話している。
銀さんが?どうして…?なんか、出掛かっているような気がする。
「名前…私、どうしたら…」
「…大丈夫だよ。銀さんから戻って来るよ」
「名前さん、銀さんの行く場所に心当たりはありますか?一応一通りは行ったんですけど…」
「…ないかな…。私のところにもきてないし…」
「そう、ですか…」
新八くんは暗い顔を浮かべて、神楽ちゃんは泣きそうな顔をしている。
「…とりあえず、今日万事屋に依頼は来てるの?」
「あ、はい…。少し先のおばあさんの家に買い物を届ける依頼です」
「そっか…。そしたらそれをこなそう。いつか帰ってくるよ、大丈夫、私も手伝うよ。それにもしご飯食べたくなったら作りにくるし、私のアパートに泊まっても良いからね。だから、元気だそう!」
「はい…」
「うん…」
辛い、よね…。2人は悲しそうな顔をしながら仕事へ向かった。
私はとあるところに向かって万事屋を出る。
*
「よし…」
アパートに急いで帰ってきてもこもこパジャマに着替える。
このパジャマは想いが強ければ強いほどその場所に行けるらしい。だから、現代から現代ではなく、過去や未来もいけるとしたら。
「お願い…5年後の世界に、銀さんやみんなの手助けをしたい…!」
そう手を握りながら行きたいと願った時、今まで感じたことのない眠気とだるさが襲ってきた。気持ち悪い、と意識を失う様に床に倒れた。
どうか、5年後の世界にと願いながら。
-棒ほど願って針ほど叶う-
(大きな望みがあっても、叶うのはごくわずかだということ)
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