「よい、しょっと」

沖田さんが怪我を隠していて今屯所では治療をしているだろう。焼きそばパン買ってこいと言われて屯所を出て行ったが、とりあえず焼きそばパンいっぱい買っていこうと思いスーパーに来ている。
重いカゴの中身はお茶はジュース、ジャンプに焼きそばパン、とりあえずこの辺をカゴに入れた。
買い物を終えて屯所に戻ろうとしたら、目の前にふわふわの銀髪が目に入った。

「あれ、銀さん!」

「あ、名前」

銀さんはスーパーの中をキョロキョロしながら探し物をしているようだった。

「どうしたの?探し物?」

「いや、いちご牛乳をな」

「あっちじゃない?」

「お、サンキュー」

いちご牛乳を手に取りじっとラベルを見つめる。

「…どうしたの?」

「……いや、カロリーとかよ、気になって。最近新八がうるせェんだよ」

「ふふ、そうなの?」

そんなたわいもない話をしながら銀さんを見た。本当にかっこいいな…。というかこの人が、私の彼氏かー…いやでもなんか、その、変な感じだし、そわそわする。
そういえば銀さん今日なんか変だ。

「銀さん、どうしたの?今日キョロキョロしてるし、なんか変だよ?」

「え!?そ、そーお?」

「うん」

「…その、よー…」

「うん」

「今度、ウチで呑まなねェ?」

「…え、いいの?」

「い、いいに決まってんだろ!」

「じゃあこの日は?」

私はスマホを見せてカレンダーを開き日付を指さす。銀さんは大丈夫だ、と返事をした。

「その日の夜ご飯なんか決めてる?」

「いや、全く」

「じゃあ夜ご飯買いに行こうよ、軽くなら私も作れるよ」

「マジ?じゃあその日に大江戸スーパーで待ち合わせしようぜ」

「うん、わかった」

銀さんと話しながらレジへ向かいお金を払う。ちゃっかり銀さんはいちご牛乳をカゴに入れていた。本当にちゃっかりしている。

「銀さんじゃあまたね」

「おう」

手をひらひらと振りながらいちご牛乳片手に万事屋がある方に向かう。
私は買ったものを屯所へ届けにそちらの方へ向かう。








今日たまたまスーパーに来たら名前がいた。よいしょとカゴを持ち商品を手に取る。誰かと来てるのか?と思ったがそんなことはないらしい。話しかけるべきか、でもどんな風に?てかなんで俺こんなキョロキョロしてんだよ!

とりあえず近くに行こうとしたら名前が銀さん!と名前を呼びながらこちらへ来た。うお、すげぇ犬みたいな感じで目が輝いてるのがわかる。
色々話しながらふと思った、俺は名前とデートらしいことをしたことがあまりない。いつも新八や神楽がいることが多く2人でというのはかれこれ3ヶ月くらいはなかった。

少し前、呑みに行ったことがあるがこいつは酔うとへろへろになってそのまま連れて歩くのは本人も疲れるかもしれないと考えた。
…デート、というか呑みに誘おうか、と思ったが上手く言おうとしてもどうやっていえばいいんだ!?と心の中の俺は頭を抱えていた。

「銀さん、どうしたの?今日キョロキョロしてるし、なんか変だよ?」

ドキッとして、声が裏返りそうになったがどうにか変にならずに言えた。
そしてその流れで万事屋へ呑みに誘おうことに成功した。嫌な顔されるんじゃないかと、少し思ってしまったが心配はなさそうだった。

色々話したあと、名前は真選組に届けると言ってスーパーを離れた。
少し、楽しみが増えた。










「沖田さん、入りますよ」

「んー」

屯所へつき、沖田さんの部屋の前で声をかける。襖を開けると沖田さんは包帯が巻かれた胸板や太ももなどを庇うように布団から起き上がった。

「あ、いいですよそんな」

「うるせェ」

「はいはい。はいこれ、焼きそばパンとか色々買ってきました」

スーパーで買ってきたものを渡すと驚いた顔をされた。あれその顔初めて見た。

「…マジで買って」

「ダメでした?」

「いや」

「ちゃんと焼きそばパン買ってきたんですよ、それとジャンプ!安静になるのかなと思って」

「…ほんと、迷惑っつーもんでさァ」

「え!」

袋の中身を覗きながら話していたらそう言われて、ドキッとしながら沖田さんを見たら、沖田さんは袋の中身を見ながら微笑んでいた。

「…たくさん食べて、元気になってくださいね」

「ん、わかりやした」

微笑む沖田さんを見ていたら、手が動いた。
甘栗色の頭を手で撫でていた。

「………」

「………あ!すいません!」

「…なにすんでィ新人のくせに」

「ご、ごめんなさい!きょ、今日は失礼します!」

手をパッと離して沖田さんが怒っている声で私に言うから慌てて沖田さんの部屋を飛び出た。私ばかだー!絶対次会ったとき怒られる…!
今日は早く家に帰ろうと屯所を後にする。



名前が出て行った後、沖田の自室にはしん、と言う空気が漂っていた。

「あの新人……」

沖田は名前に撫でられた頭をふわりと触り、ふと懐かしい気持ちに駆られる。

ー総ちゃん、また怪我したのね。気をつけないとダメよ。
そう言われながら頭を撫でられた懐かしい面影を思い出す。

「…姉上…」

焼きそばパンを齧りながらため息をつく。






-下手の考え休むに似たり-
(よい考えも出ないのに、あれこれ考えるのは、時間の無駄だということ)






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