小春日和が続く今日この頃、私は真選組にて鍛錬を続けています。最近は沖田さんがサボっているので土方さんや近藤さん、山崎さんに教えてもらっています。
しかし、沖田さんは教えてくれないので、今日は沖田さんにどうしても教えて欲しいことを考える日にしようと思います。

「ってことなんですけど」

「いやなんで、ってことなんですけどって。俺は相談役かよ」

「まぁまぁ、そんなこと言わずに考えてあげようじゃないかトシよ」

「そうですよトシ」

「おい苗字さんよ、俺と歳が同じだからってトシってなんだよ」

「え!名前ちゃんトシと同い年なの!?見えない!チョー可愛いよ!」

「本当ですか?ありがとうございます近藤さん!近藤さんも産まれたてのゴリラにしか見えません!」

「ねぇそれって褒めてるの?」

「というかなんで沖田さんは私に教えてくれなくなったのでしょうか…」

「たぶん…」

「多分…?」

「めんどくさいだけだろう」

「え!それで!?」

「もう鍛錬して30日以上は経過しているから余計だろう。もう苗字さんは1人でできると思ったから手放した、という可能性もなきにしもあらずだ」

「…そう、ですか…」

「しかし本人に聞くのが1番だろうな。ちなみにいつぐらいからだっけか?」

いつぐらい…、頭を捻り出しながら教えてもらっていない期間を指折りながら数える。

「えぇと、今日で10日目です」

「10日…10日前は…」

「10日前は真選組で浮浪浪士どもが立てこもっていた時に1番隊が突入した時だ」

「浮浪、浪士…?」

「所謂攘夷志士だ」

「…まさか」

「…………当時真選組内部での死亡者、怪我人者は居なかったはずだ。怪我と言っても大きな怪我と言うことだ」

「…私行ってきます!」

「お、おい苗字さん!?」










「沖田さん、入ります!」

スパン!と沖田さんの自室に向かって一言断りを入れて襖を開ける。
目の前にはいつものように寝転ぶ沖田さんの姿があった。

「なんでィ、断りの返事も待たずに部屋あけんな」

「………沖田さん」

「…なんでィ」

「怪我、しましたね」

「…この俺が?」

私は沖田さんの胸をドン!と強く押すと痛そうな顔をして倒れた。
私の後ろをバタバタと近藤さんと土方さんが追いついてその光景を見る。

「い…!」

「…斬られたんですか」

「………うるせェ」

「おい総悟、なんで言わなかった。お前は斬り込み隊長だ。お前がいないと誰がやるんだ」

土方さんは救護、総悟を見ろ!と屯所へ叫んだ。近藤さんはおろおろとしており心配そうに見ている。

「沖田さん、怪我をしたら皆さんに言ってください…お願いします…」

なんか、この人。

「沖田さんが居なくなったら、どうするんですか」

あの人に、似てる。

「………旦那みたいに?」

「…銀さんは…」

沖田さんは胸を押さえながら立ち上がり私の額にピン!とデコピンをする。

「旦那じゃあるまいし、ちゃんと頼る時は頼りまさァ」

「…本当ですよ、沖田さん」

「んじゃあ とりあえず新人は焼きそばパン買ってこいよ」

「…ふふ、わかりました」

さっと立ち上がり沖田さんの隣へ行く。
救護の人が包帯や何やらを持って沖田さんの部屋に布団を引きはじめ「沖田隊長、用意できました」と呼びかけていた。
近藤さんと土方さんは近くに行き、傷の深さを見るのだろう。

私は沖田さんの看病の道具や暇つぶしになるようなものを買ってくるとしよう。

でも、なんだろう、この胸のざわめきは。

そのざわめきを胸に伏せながらコンビニまで歩く小春日和の今日この頃。





-明日ありと思う心の仇桜-
(いつ何が起こるかわからない、人生や世の中の無常をいった言葉)








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