本日も晴天なり、晴天なり。ぽかぽかと小春日和が続く毎日、それは幸せと共に食欲も刺激されるわけでありまして、今日は銀さんとラーメンを食べに来ている。

「私は味噌ラーメン!銀さんは?」

「じゃー俺もそれで」

「はいよ!」

メニューを見ながら味噌ラーメンを注文した。私の銀さんはカウンターでラーメンをワクワクと待ちつつことの経緯を思い出した。

昨日夜たまたまテレビを見ていたらラーメン特集をしていてテレビの中のラーメンに目を奪われた。それはもうラーメンが光り輝くの如くだ。
そして次の日、スマホを取り出し銀さんに連絡したら「行く」の返事だ。今日は依頼も無く、付いてくるわと言われたが多分奢ってもらうことを目的についてきたのだろうと薄々感づいたが、まぁ…いいかなと思い一緒にいるという流れだ。そんなことをぼぅ、と考えていると「はいお待ち!」と熱々の味噌ラーメンが私と銀さんの前に出てきた。

「お、うまそー!いただきまーす」

銀さんは割り箸をパキリと折って麺を啜る。この人はご飯も美味しそうに食べるなぁと横目で見る。神楽ちゃんには敵わないけどね。
私はバックのポーチから前髪クリップを出して前髪を留めて、いただきますと呟き割り箸を割る。あ、変な風に割れちゃった。

「…名前、なにそれ」

「え、割り箸?私昔からの割り箸割るの下手で」

「ちげェって。その前髪のやつ」

「…前髪クリップ?これ可愛いでしょ?犬なの」

「いやちげェって!なんで留めてんのって話だよォ!」

銀さんはラーメンの煮卵を食べながらツッコんだ。私は前髪にあるそれを触りながら銀さんに言う。

「だってラーメン食べる時髪の毛邪魔じゃない?だから、かな…」

「ふーん…」

ズルズルとラーメンの麺を啜る。うまい!うますぎる…!最高!こってりな味噌ラーメン最高すぎる…。
もぐもぐと食べていると銀さんは私をじっと見てきた。

「……煮卵いる?」

「え、くれんの?」

「違うって。なんで見てるの?」

「…いや、あの、そのよ」

もぞもぞ言いながらチャーシューを食べる銀さん。どうしたんだろう…。うーん…。あ、わかったかも。

「前髪クリップする?」

「………ま、まぁ?名前が、銀さんに付けたいってならいいけどォ?」

「…ツケタイナー」

「おい棒読みやめろ」

「ふふ、嘘。付けてあげるね」

私はポーチからガサゴソと前髪クリップを出し銀さんのくりくりの天パの前髪を留める。
……20代の男の人がこれ付けてるって可愛いな。

「はいこれ。……ふふ、銀さん可愛い!」

「…おめェもな」

「……………えっ…」

お、お前もなって?え、本当に?てか銀さんが私のことを可愛いって!?

「も、もっかい!言って!」

「はぁ?やだよ、ほら早く食えって麺伸びるぞ」

「う、えっと、えっ」

ずるるるると麺を吸いながら銀さんの言葉を思い出してドキドキする。…なんか、ほわほわするね、心が。

そんなことを思いつつその日は解散した。
次の日銀さんから電話がかかってきて「ラーメン行かね?」と言われた。いいよと答えて万事屋へ向かうと玄関に新八くんと神楽ちゃんがいた。

「こんにちわーって、2人ともどうしたの?」

「名前!ずるいアル、銀ちゃんと2人でラーメン食べて!私も食べたいネ!」

「あ、なるほど。じゃあ行こう神楽ちゃん」

「ほらおめーら、いくぞ」

銀さんは眠そうな顔を向けてブーツを履く。神楽ちゃんは傘を広げながら早くー!と言って私の手を引っ張る。新八くんは「すみません僕たちも」と言ってきたがそんなことないって、と答えた。
万事屋から歩くこと数十分、ラーメン屋に着いた、が。

「アレ…ここって」

「んぁ?ここ、北斗心軒…!?」

「知ってるんですか?名前さん」

「う、うん!あの…か、桂さんがたまにくるお店だよね…?」

「そーそー、ほら入るぞ」

北斗心軒の暖簾をくぐると1人の店主さんがいた。いらっしゃーい!と元気な女性の声がした。

「ラーメンくれや」

「はいよ!…て銀さん!珍しい事もあるんだねぇ」

「僕たち今日はお金あるんです」

「名前!名前も早く座るヨロシ!」

「う、うん」

銀さんの隣にストンと座る。銀さんは普通の顔でここの店主幾松さんと話している。
ちらりと彼女を見るとすごく美人で横顔でも綺麗なのがわかった。ここの世界の人たちはみんな美人で綺麗で凄くない?こんな人たちと私いるのってなんか場違い感が凄い…。
気恥ずかしくなり俯くと、幾松さんが「あら、そちらの子は?」と銀さんに聞いた。

「こいつ最近…つっても1年くらい住んでるか。江戸に引っ越してきた名前だ」

「あ、えっと、えと…」

「あら、素敵なお嬢さんだね。初めましてあたしはここのラーメン屋の店主、幾松って言うんだ、よろしくね名前さん」

「あ、えと、苗字名前です…!よろしくお願いします!」

「可愛い子じゃないか。さぁて、ラーメンもうすぐでできるよ!」

幾松さんは私に挨拶しながらラーメンをテキパキと作っていた。
テーブルにドン!と出来上がった黄金色に輝く汁と美味しそうな具材が乗ったラーメンを各人の前に置いていく。

「美味しそう…!いただきまーす!」

「いただきますネ!」

新八くんと神楽ちゃんは割り箸をパキリと割り麺を勢いよく啜る。
ズルルルルル!と啜る音はどんな音よりもとてもいい音だった。

「あ、名前、アレくれや」

「アレ…?あぁ、えぇと…」

ゴソゴソとバックを探ると出てきたそれを銀さんの前髪にパチリと留める。ふふ、何回見ても可愛い。
私も銀さんと同じキャラクターのものをつける。

「「いただきまーす」」

ズルル!と吸った麺は小麦の味がして美味しく、そしていい歯応えがあった。スープももちろん美味しい絶品だ。

「あれ、銀さんなにつけてるすか」

「あ?これ?前髪クリップ」

「新八くんも付ける?あるよ」

「なになに?私も付けるネ!」

「神楽ちゃんには、うさぎさんのあるよ」

「わぁ!やったアル!」

席を立ち新八くんの前髪と神楽ちゃんの前髪にかわいいキャラクターものの前髪クリップをつけるとみんなお揃いな感じが出て可愛かった。

「なにやってんだいあんたら」

なんて言いながらもふふ、と笑う幾松さん。

「なにしてんだ銀時、それに苗字殿も」

「あれ!?いつの間に桂さん!?」

「桂じゃないヅラだ!間違った桂だ!」

[久しぶりだね名前ちゃん]

「エリザベスも久しぶり」

「んだよヅラァ、これしらねェの?前髪クリップ」

「前髪クリップぅ?知らん、皆んなつけおって。仲睦まじすぎるぞお前ら」

桂さんは前髪クリップをお揃いでつける万事屋の3人と私を見て笑いながら話した。
皆んなお揃い、なんてなんか可愛いと思うのは私だけだと思う。
その後ラーメンを食べるときに前髪クリップが定着した万事屋3人と私だったのであった。




-揃いも揃って-
(同じ種類のものが揃っていることを強調して言う言葉)





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -