あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひなまつり

そんな歌が江戸のかぶき町にも聞こえてくる今日この頃。懐かしい…と心のどこかで思いながら今日も仕事に励む。
そういえば、と今朝のことを思い出した。





「ほら」

「え?」

朝の真選組での稽古のあと、土方さんと近藤さんからピンクの袋に入ったあられをもらった。その袋の真ん中に貼ってあるシールを見るとひな祭り、なんて単語と一緒に可愛い絵が書いてあった。

「あの…これ…」

「やる」

「えぇ…?私土方さんと同じくらいの歳なんですけど…」

「もらっとけって」

「そうそう!名前ちゃんは女の子でしょ?だからさ!」

「…ありがとう、ございます」

手にのるかわいい袋。懐かしいと思いながらも感謝の気持ちを再び2人に伝えるとニコニコしながら今日もお疲れ様!と近藤さんに言われた。土方さんはクールに、ん、と返事をした。
そうか、雛祭りかと思いながら過去の思い出を探る。そういえば身近に女の子がいたことを思い出す。そうだ、と頭の中で計画を立てた。








「ではお疲れ様でした!」

「はいよ、あ、名前ちゃん。はいこれ」

「え?」

仕事が終わった後、買い物へ行こうとした時に親父さんと女将さんに呼び止められた。
手を出して、と言われて手を出すとパックに入った蛤をもらった。

「え、これ…」

「蛤だよ。今日は雛祭りだろう、だから家で食べておくれ」

「俺たちの…大切な子供なんだから、これくらいお祝いさせてくれよ」

親父さんと女将さんはニコニコと微笑みながらパックに入った蛤を持たせてくれた。今の時期の蛤は高いのに、なんて思ってそれをじっと見た。ありがたい、こんな私のために。

「ありがとうございます…!お家で食べますね!」

「あぁ、たくさん食べて、また明日待ってるね」

「はい!ありがとうございます!」

心がほくほく温かくなりながら大江戸スーパーへ急ぐ。早く買って万事屋へ行かなければ。

「喜んでくれるかな…」



万事屋へ到着して銀さんに断りを入れて台所を拝借する。ちなみに神楽ちゃんは遊びに行ってるらしいがもうすぐ帰ってくるかも、と銀さんに言われて急ぐ。

「えーと…これやって…それと…」

トントンと包丁が鳴る音が万事屋へ響く。急がなくては、と思い料理を作っていると、銀さんが「おーおー、今日はまた豪勢なことで」なんて言いながら台所へ入ってきた。

「俺何手伝えばいい?」

「え、手伝ってくれるの?」

「そりゃそうだろ、もう神楽帰ってくるし早く作るぞ」

「…うん!」

銀さんは薄焼き卵を作りながら、私は多量のお刺身を作りながらせっせと準備する。早く、あの子が喜ぶ顔を見たい。









「うわぁあ!これどうしたネ!?なんか誰かのお誕生日アルカ!?」

食卓に並ぶちらし寿司や蛤のすまし汁、そしてケーキにカラフルなあられが食卓に並ぶ。
神楽ちゃんは目を輝かせながら私たちを見る。

「今日はひな祭りって言って女の子の健やかな成長を願う日なんだよ」

「ひな、まつり…?」

「そうだよ、だから神楽ちゃん食べてね」

新八くんもケーキを切り分けながら話す。新八くんにはケーキをお願いしていたのだ。

「じゃあ名前もアル!」

「わ、わたし?でももうこんな歳だし…」

「女の子にはかわんねぇーだろ」

わたしの頭をぐりぐり撫でながら話す銀さん。新八くんも「そうですよ!」なんてニコニコしながら話している。

「…そう、だね!」

「そうアル!私たちのお祭りネ!」

「んじゃ、いただきます!」

「「「いただきます!」」」

万事屋での、ひな祭りな1日でした。





-桃の節句-






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