真選組の鍛錬と共にお団子屋の仕事が慣れてきた3月下旬。本日は万事屋からご飯食べにこいと銀さんから電話がかかってきたのだ。
珍しい…なんて考えながらスマホの画面を閉じる。そうだ、たまにはおしゃれをして手土産を持っていこうと考えながらお団子屋の仕事に励む。
一方万事屋では。
「って事で名前が今日万事屋に飯を食いこいと誘った」
「銀ちゃんやるアル!名前喜ぶアルカ!?」
「そうだね、多分喜ぶんじゃないかな」
神楽は紙に色々文字を書きながら話をまとめる。そして新八は買い出しの材料などを銀時と相談して決めていた。
「んじゃあ、おめェら、よろしくな」
「「おう!」」
「わん!」
万事屋に3人と1匹の声が響いた。その声の意味をまだ名前は知らない。
*
よし、と呟き万事屋へ急ぐ。メイク道具をお団子屋まで持ってきて仕事が終わった後メイクをしてお団子屋を出たら親父さんと女将さんに「名前ちゃんかい!?」なんて驚かれた。普段はあまり化粧をしないせいでそんな驚かれる…らしい。
万事屋へ晩御飯を呼ばれていて、なんて話すとニコニコしながら「帰りは銀さんに送らせるんだよ」なんていう。江戸での父と母の様な2人を見て笑って頷きお団子屋を出る。
楽しみだとニコニコしながら万事屋へ急ぐ。早く、みんなに会いたい。
「こんばんわー!」
万事屋に着き玄関を開けながら叫ぶとしん…としていた。電気はついてるものの人がいない様な感じがした。
「あれ…」
でも上がって待っていようとリビングへ続く襖を開けるとパンパン!というクラッカーの音がした。
「わ!?」
「名前!こっちに来て1年、おめでとうアル!」
「名前さん、おめでとうございます!」
新八くんと神楽ちゃんはニコニコした笑みで私を迎えてくれた。
「え、え!?」
「名前がこっちきて1年くらいデショ?見てみて、料理も!」
「銀魂はサザエさん方式で年は取らないって感じですけど、とりあえずです!」
2人に手を引かれて、万事屋のリビングのテーブルへ行くとそこには豪華な料理が並べてあった。
「わぁ…!凄い!これって」
「僕と、銀さんで作りました」
「…銀さん…も?」
ソファーに座ってる銀さんを見ると頭をぽりぽりと掻いている。
「おう…」
「…銀さん…、神楽ちゃん、新八くん…」
やだな、もう。
私は、私は。
「あれ、名前…?泣いてるアル…」
「ぅ、うっ…」
此処に居てもいいと思えることと、万事屋に私と言う存在が迷惑をかけているとか、そんなこと考える方がバカだったのかもしれない。なんだ、もっと素直に寄りかかって良かったのかもしれない。もっと、関わっていいのかもしれない。
「名前さん、ご飯冷めちゃいますよ。さ、座ってください」
新八くんが私の背中をさすって銀さんの隣を指さす。ぼやけた視界でソファーを目指し歩く。
「ブサイクなツラしてンなよ、今日は名前のために俺や新八、神楽も飾り付け頑張ったのによ。主役は笑えって」
銀さんは私の頭をぽんぽんと撫でて柔らかく微笑んだ。嗚呼、この人の隣は、周りはこんなにも暖かいのかと、思い知らさせる。
「うん…!」
涙を拭いて、歪な笑顔で笑う。そんな私をみて神楽ちゃんや新八くん、銀さんに定春も笑う。私は此処にいて、毎日楽しいです。
「んじゃ、食うか!」
「私唐揚げ食べるネ!」
「こら、名前さんが先でしょ」
「ふふ、お腹すいた!」
「いただきます!」
そう声が響いた万事屋は、今日も満点の星空の下、賑やか声が聞こえる。
-我が上の星は見えぬ-
(誰にも自分の運命はわからないということ。「星」は運命の意)
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