「トシ!初詣行こうよ!」
そんな声が真選組の屯所に響いた。その声の主は近藤。ニコニコしながら土方に言っている。
「ダメだ、正月こそ気は抜けねぇ」
「えぇーたまにはいいじゃん!なぁ総悟!」
「俺はどっちでもいいですぜ」
「だそうだ!行こう!」
「なんでだよ…」
はぁ…と頭を抱える土方と呑気に餅を食べる沖田、ただをこねる近藤という地獄絵図だ。大の大人が何をしているだ、とのツッコミも入れられない。
「…じゃあ行くか…すぐ帰ってくるぞ」
「おお!ありがとう!さぁ総悟も行くぞ!」
「ふぁーいー」
*
初詣で有名な神社についたがすごい人だった。派手な着物を着た女もいて活気が凄い。
「あれ?名前ちゃんじゃない?」
と近藤の声で土方、沖田は振り向く。そこには彼女の歳を考えても幾ばくか若めの振袖、そしていつもの化粧ではないよそ行きの化粧と髪を結っていた。
「名前ちゃんも女の子だなぁ、着飾れば女は沢山変わるから」
「あれ、苗字さんか?すげぇな」
「………」
呆然と見る土方と目を光らせる沖田。
名前の側には万事屋の3人も側にいた。
「万事屋も一緒なんだな、距離が離れているしまた今度会った時に着物のことを褒めようか」
「そ、そうだな」
「…なんでぃ…」
「どうした、総悟」
「いやなんでも」
沖田の目には、沖田があげたマフラーではなく、銀時が貸したであろうマフラーが巻かれていた。
「…使うって、いったじゃねェですかィ」
苦虫を潰したような顔をした沖田は名前に背を向ける形で屋台がある方へ消えた。
そんな気持ちなんて、冬の氷で固まらせてしまえれば良かったのにと考えていた沖田だった。
-小寒の氷大寒に解く-
(物事が必ず順に従って進むわけではないということのたとえ)
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