さて、今日は万事屋に呼ばれています。
理由は、銀さんのドッキリが終わったから来てくださいと言われたからだ。
私が万事屋についた頃、みんなはひとしきりVTRを見終わったあとだった。
「おや名前も見に来たのかい」
「はい、新八くんに呼ばれて」
お登勢さんはニヤニヤしながら私に話しかけた。さっきの映像が面白かったのだろう。
「あ、あんた。銀さんの可愛い姿見に来たのね、ぶふっ…」
猿飛さんや、九兵衛さん、お妙さんに月詠さんまでいた。そうそうたるメンバーだ。
「ではわっちらはここで帰るぞ、またな」
「はい、また」
「名前ちゃん、今度お団子屋さんに行くわね」
そういいみなさんは万事屋を出ていった。
新八くんや神楽ちゃんも涙を拭きながら思い出し笑いしてたほどだ。
私にも実際の映像を見せてくれて、失礼ながら笑ってしまった。
「面白いよなぁ」
そう話しかけられて顔をあげていたのは全蔵さんだった。
「…おや、嬢ちゃんはなんだ?」
服部全蔵!からかっこいいが服装似合い過ぎませんか?大丈夫ですか?似合い過ぎて頭抱えるレベルだよ!
「あ、えっと…」
「名前アル。銀ちゃんの彼女」
「…あいつの、彼女?」
「はい。あ、名前さんは、服部さんにお会いするのは初めてでしたよね」
新八くんと神楽ちゃんがそう言ってくれたが、服部さんはスペースネコみたいな空間でそんな顔をしていた。
「…カノジョ」
「あ、あの…」
「お前!彼氏がそんなことされてて平気なのかよ!」
私の肩をもち揺さぶる服部さん。
なんでだよ!とか、ええ!?とか色々言っていた。
「あ、あのっ…ゆさぶるの、やめっ…」
「す、すまねぇ…」
「いえ…」
「…あの、マジ?」
「マジです…すみません…」
「彼氏というか、あいつが彼氏っつーのが笑っちまうけどよ、その、大丈夫か?嘘といえどその、女達といたりするの見て」
「…正直、私は関わらないと思っていたのですが、たまたま銀さんが居酒屋さんを出たところを見てしまって。なんかモヤッとしてしまいました」
「そりゃそうだ」
「でも平気です、よかったです銀さんの酒癖治りそうで」
「まぁ、な…。でも今夜気をつけろよ」
「え?」
「多分、しつこいぞ奴は」
「え?」
服部さんに言われた言葉も分からずいたが、やっと合致した。
万事屋に帰ってくるなりかなり酔っ払っていたから。ちなみに神楽ちゃんと新八くんは「関わるのはごめんなので」と言われた。待って私は?私のことは?なんで聞いたら「銀ちゃんの世話をするのもカノジョの役目アル」と言われた。待って何その目、やめてください服部さんも。なんてことは言えず、今に至る。
「…うぁ…名前?」
「銀さん、おかえりなさい」
「…あー…なんか飲み過ぎて幻覚見えてんのかなァ…俺の可愛い可愛い名前ちゃんがいるような気がしてたまんねェな」
「私いるよ、銀さん」
「えーかわいいー」
「酔っ払ってるね、銀さん」
「うん、銀さん酔っ払ってるぅ」
そういい銀さんは靴を寝ながら脱ぎ、私の胸元に顔を埋めた。
「はぁー!いい匂いー!しかもおっぱいやらけー」
すーはーと私の胸に顔を埋めて息をすう銀さん。なんか変態っぽいよ。
「そんなことないでしょ、ほらお布団敷いてあるから行こう?」
「ええ?やだぁ!銀さん今までドッキリかけられてよォ、それで大変な思いしてたんだぜ、名前にどう謝ろうとか、まだ名前に手ェ出してねぇーのに、やべぇよとかー」
「はいはい」
「俺はさー」
「うん」
銀さんは私の胸から顔を離し、私のことを真剣に見た。
「俺はさ、名前のことが好きなのにって」
「…ぎん、さん…」
「俺は、名前が好きで、キスもしたいし、えっちなことだってしたいし、元の世界に帰るって言ったら笑顔で送る自信はねぇし、こんなに、恋に落ちるなんて、思ってなかったからよ」
「…うん…」
「だから、離れないでくれよ…」
「銀さん…」
そうして銀さんは私に抱きつきながら寝てしまった。
ドッキリといえど、私も嫉妬をしたのは事実だ。それに、羨ましいと思ったことも事実だ。あぁ、なんて私は欲深い女だと自負の念に陥ることも多々ある。
それでも、銀さんのこの言葉があるから大丈夫だよ。
「私こそ、そばにいてください」
私は銀さんを抱きしめながらそう呟いた。
熱い銀さんの体温と、すこし冷たい私の体温が混ざる、深夜12時の話。
-悋気は恋の命-
(やきもちを焼くのは、恋をしている証拠で焼かれなくなったらお終いだということ)
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