本日は曇りなり。冬の寒さが身に染みる今日この頃、私は風邪をひきました。

あのあと、万事屋まで行き、私はアパートへ戻った。次の日、お団子屋さんの親父さんと女将さんのところへ向かった。

「名前ちゃん!」

「名前ちゃん、大丈夫かい!?」

「はい…ご心配おかけしました…!」

「よかったよ…無事なら何よりだよ」

「そうそう、ところで名前ちゃん」

「はい?」

「あんた熱あるじゃないかい?」

親父さんの一言で、熱?と思ったが額に手を当てればまぁ熱い。やばいこれは、と思ったが、2人が帰りなさいと言うのでお言葉に甘えて帰宅して今部屋で休んでいるところだ。

銀さん達は平気だろうか…。あの時はそれどころじゃなく、濡れたままあったかいラーメン屋さんへ入り、万事屋へ向かった。帰る頃には少し乾いていたが風邪を引く始末とは…。

そんなことを考えていると、ピンポーンとなった。私は重い身体をベットから抜け出し、玄関を開けると銀さんがいた。

「…銀さん…?」

「ゴホゴホ…ごめん、風邪ひいたわ」

「……………え?」

「風邪ひいた」

「…私も風邪ひいてるけど…?」

「うん」

「あの…冷えピタ見えてる?ねえ」

「布団出していい?」

銀さんはマスクをしていて少し赤っぽい顔をしながら私の部屋に入って布団を出している。

「ま、待って?万事屋には帰らないの?」

「万事屋は新八と神楽が風邪ひいて寝込んでるんだが、お妙が来てな。それで俺は逃げてきたってことだ」

「そ、そう…」

多分お妙さんのことだ、新八くんや神楽ちゃんが風邪を引いてるからお見舞いにご飯も料理していたのだろう。しかし出来上がったものを見て再び寝込むだろうと予想してこちらへきたと…。

「ふぅ…いや、いいか…いいよ、銀さん…」

「まじ?ゴホゴホ!」

元々は私が原因で3人が風邪を引いたのだ。あとで新八くんと神楽ちゃんにはお見舞いを持っていこう。

「ん、名前ももう寝ろ」

「うん…」

ふらふらする意識の中、布団へ再び戻った。あぁ、なんか、気が抜ける。怠いよ。







しばらくしていい匂いで目を覚ました。
銀さんがなんか食べてる…?ぼやけた目でそれを見るとテーブルに向かっている銀髪がいた。

「う…」

「お、起きたか」

「銀さん…?」

「適当に作った。食うか?」

「…うん…」

銀さんは鍋で雑炊を作っていた。少しお腹が空いたと思っていたから、ありがたい。
それをスプーンで掬って少し食べる。ホッとする味だ。

「ありがと、銀さん」

「ん、いいってことよ」

「あ、風邪薬、あるから飲んでね…」

「おう、ありがとうな」

そういい銀さんは私の頭を撫でる。
あぁ、この手だ。この手が私をダメにする。もっと、してほしい。もっと撫でてほしい、もっと近づきたい、もっと触れ合いたいと。

「銀さん…、ギュッてして…」

「え、お、おう…」

銀さんは一度驚いたようだったが、私を引き寄せ抱きしめた。安心する…風邪ひいてるからかな。

「ありがと…」

「…名前」

「ん…?」

そう呼ばれて銀さんの方へ顔を向けるとちゅ、とキスをされた。

「え…」

「ダメ?」

「そんなこと、ないけど…風邪うつっちゃうよ…」

「2人とも風邪ひいてるからヘーキ」

「ぅ…」

ちゅ、と再びキスをされた。熱い、顔も身体も熱いよ。口付けの時間が長くて、息ができなくなって口を開けたらその時、くちゅりと音がして舌が入ってきた。

「んん…」

口の中で動く舌と銀さんの吐息と私の心臓が動く。苦しい、熱いし、ドキドキするし、わけわからなくなってしまう。

「はぁ…」

「んぁ……」

「…おい、大丈夫か?」

「ん…なんか…、ダメかも…」

「え!マジで!?」

「ドキドキしすぎて、心臓痛いし…。あんなの、されたら私っ…変になっちゃうよ…」

「…それ、は…」

銀さんがさらに私をぎゅっと抱きしめた。
心臓の音聞こえちゃうよ…と思っていたら、銀さんもドキドキと音が聞こえた。

「…俺も、同じだ…」

「ほんとだ、同じ…」

風邪ひいて、ドキドキして、2人とも身体が熱くて、また熱が上がりそうだなって思った。そんな風邪を引いた話の午後だ。



-恋の病に薬なし-
(どんな薬をもってしても恋煩いを治すことはできない)





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