変化とは突然現れるから、変化というと思う。今回の変化は如何に。

本日も晴天なり、じゃない間違えた曇りです。雨が降りそうです。秋風が冬の風に近づく今日この頃、仕事終わりに外に出るとモジャモジャがいた。

「あはは、ここは何処かのぉ!」

さ、坂本辰馬ー!坂本さんがいる!背高い!細い!かわいい、モジャモジャだ!
そう思いじっと見ていたら目があってしまった。

「おお、そこの女子!ちくと聞いてええかの?」

「え、はい!」

「えぇと、万事屋、の金時くんに会いたいんじゃが、どこへいけばええかのぉ」

「銀さんですね、そうしたら案内しますよ!」

「ありがとう!わしは坂本辰馬ぜよ!」

「私は苗字名前です、よろしくお願いします、坂本さん」

坂本さんと道中話しながら万事屋へ向かった。坂本さんは現在どんな仕事をしているかや、宇宙のこと、陸奥さんのことなど話していたら、万事屋へすぐついた。

「銀さーん!お客様ですよ!」

「はーい!」

と元気よく返事が返ってきたのは新八くんの声だ。

「あ!坂本さん!」

「おお!久々じゃなぁ、金時はいるかの」

「銀時だっつってんだろ」

「おお!金時!」

新八くんの後ろから歩いてきた銀さん。私を見ると、え?という顔をしていた。

「…仕事の帰りたまたまあってね」

「あ、そうなの?てか辰馬は何しに来たんだ」

「えぇと、これ!土産じゃ!」

坂本さんは懐から小さめの箱を出した。銀さんはそれを受け取り後ろを見ると、「お!」と喜んだようだった。

「宇宙の酒じゃ!とある星の酒で、飲み口と味がまっこと最高の逸品でな、たまたま地球による予定があったき、あげるかーと思っての」

「辰馬やるじゃん、ありがとよ。じゃあこっちからも」

銀さんは自分の後ろにいる人物に話しかけた。その瞬間ガシャン!と音を立てて坂本さんが倒れた。待って何が!?と目線をやると、陸奥さんがいた。

「む、陸奥!」

「このバカ、地球に降り立った瞬間いなくなりおって…、それでここに来てみればおんしは居ないと…、どこまで手間をかければ済むんじゃ!」

「こげな怒らんでも…!」

「じゃ、帰った帰った」

銀さんは鼻をほじりながらしっし、と手をやる。

「き、金時!ひどかろう!あああああ陸奥ひきずらなアアアアア」

「では失礼した、またな」

「おう」

小柄な陸奥さんが坂本さんを引きずりながら万事屋へ出て行った。さすが夜兎…力持ちだ…。
銀さんは受け取った箱をワクワクそうに見ている。

「では、僕も帰りますね」

「え、新八くん帰るの?」

「えぇ、今夜はお通ちゃんのライブDVD観賞会があるんです!楽しみなんですよね」

「そうなんだね、楽しんでね!」

「はい!ではまた」

ガラリと出て行く新八くんと、それに続く神楽ちゃん。

「あれ、神楽ちゃんも居ないの?」

「私も今日そよちゃんとお泊まり会ネ!酢昆布とかお菓子持ってパーティーするアル!」

「そよちゃんってそよ姫?いいなー楽しそう!」

神楽ちゃんはニヤァとして私を引っ張って耳元でこう言った。

「今夜は私も新八も居ないアル、だから名前は銀ちゃんと仲良くやるネ!いつも一歩引いてちゃ女はモテないアルよ!」

そういう時にこり、として「じゃあねぇー!」と出て行った。
気を利かせてくれた、と思うと同時にまた2人きり!と緊張してしまう。

「あ、名前」

「は、はい!!」

「今夜泊まれば?」

「え、え!」

「嫌ならいいけどよ…」

「いえ!泊まりたいです!」

「よし、じゃあ荷物持ってこいよ。送ってくわ」

銀さんがヘルメットを取りにリビングへ向かった。待って待って待って!なにこの夢小説みたいな展開!ど、どうしよう…またキスされるのかな、まって!ムダ毛…ううだめだかんがえても考えてもぐるぐるしちゃう…。

考えながらアパートへいき、寝巻きの着物とかスキンケアとか、いろいろなものを持って万事屋へ向かった。それも覚えていないくらい緊張していた。

万事屋へ着くと、風呂入ってくれば?と、促されお風呂へ入り、髪を乾かし、そして今。ソファーで銀さんがお風呂に出るのを待っているのだ。
待ってこれはどうしよう、え、待って…!
そんなことを考えていると銀さんがお風呂から出てきた。髪をわしゃわしゃとタオルで拭いており、私と向かい合う形でソファーは座った。
私の顔を見ると、ぷっ…と吹き出して笑った。

「え、え?」

「いや、名前緊張してる顔してるなって」

「そ、そりゃ!そうだよ!」

「安心しろ、今夜はこれだよこれ」

カタンと出したものは夕方、坂本さんにもらったお酒の箱を出した。

「この酒呑みたくてよ、名前と」

「銀さん…」

「前は酔っ払ってたから、ここならゆっくり呑めるんじゃねぇかなって思ってよ」

「…ありがとう!」

銀さんは私の頭を撫でて台所へ向かった。カチャカチャとお猪口と、ちょっとしたおつまみを持って戻ってきた。
銀さんは坂本さんにもらったお酒の蓋を開け私のお猪口に酒を注ぎ、自分のところにも注ぐ。

「ん、乾杯」

「乾杯!」

私はお猪口をコツンと合わせぐい、と呑んだ。口当たりが良くまろやかで美味しい。
銀さんが呑もうとした時、リリーンと電話がかかってきた。

「なんだよ、タイミング悪りぃ」

銀さんが電話に出て話をしている。

「…は!?ちょ、おま!」

なんか慌てている様だ。私はおつまみとお酒をちょこちょこ食べながら待っていた。

ガチャリと電話を切り、私のことを見る。

「名前さん…?」

「ん?」

「お前、これ呑んだよな?」

「え、うん」

「…もう呑むな!」

パシッと私が持っているお猪口を奪いテーブルへ置いた。

「え、ど、どうしたの?」

「あの坂本のバカがやらかした」

「や、やらかしたって?」

「これ…あのよ、その…」

「何…?」

「…なんつーか、あの、言っても怒んねぇ?」

「う、うん…」

「この酒、酒じゃなくて、違うやつで。その…これを呑んだ奴は、素直になっちゃうってやつらしい!」

「は、はぁ!?素直ってどういう意味!?」

「わ、わかんねぇよ…でもなんでも素直になるって…。すぐ抜けるらしいが、それでも素直になるってよ…」

「そ、そんなの…夢小説みたいで最高じゃん!てか普通媚薬落ちだろう!………え!!」

「名前…さん…?」

「ち、ちが…これ…」

話すと考えてること全部言っちゃう!待ってこれは、まずい!
私は顔を青ざめて銀さんを見た。銀さんは心配そうに見ている。

「あの、大丈夫か?」

「うん、大丈夫!私は全然平気!銀さんにそんなこと言ってもかっこいい!最高!ってああ!もう!」

口を閉じても話すとポロポロ言葉が落ちて行く。

「…なぁ、素直に今話してみろよ。いつも一歩引いているじゃん、いい機会だから話そうぜ」

「え…」

銀さんはソファーへ座りなおし私を優しく見ている。

「か、かっこいい…。いやでも迷惑じゃない?」

「迷惑なんかねぇよ、名前の本音が聞けて俺は嬉しいよ」

「…そう?」

「おう」

銀さんは優しく微笑み私の頭を撫でた。

「うわあああ!かっこいい!待って無理録画案件…てか控えめに言って私にだけに微笑んでくれるとかやばくない?これだからトリップは最高だよ!」

「名前…、その、素直に…」

「はい来ました私の名前を呼ぶ!最高!録音したい!そしてペンライト振りたいです!」

「素直になりすぎ、じゃね…」

「はー万事屋最高!だってまんまだもん!びっくりだわ!しかもわたし今ここにいる!ナウ!あー最高かよこれは死んでもいいねあたらしい世界開けるよこれは」

「…………」

「銀さんかっこいー!黙っててもカッコいい、戦っててもカッコいい、ボロボロになっててもかっこいい天才!声もいい、好き!大好き!………はっ…」

「名前…」

ひ、引かれたー!ごめんなさい!これはもうおしまいだ!


「ぷ、あはは!そんなこと思ってたのかよ!笑えるわ、いつも普通で控えめなくせによ!名前本来はこんな奴だったんだな!」

「ぎ、銀さん、引かない?」

「引くっつーか、珍しすぎて笑うわ」

笑っている銀さんを見て私も安心した。よかった、失礼なことしてない。

「んじゃこうしたらどうなる?」

銀さんは私をぎゅっと抱きしめた。待って待って!

「ままままって!無理無理好きなにこれ抱きしめられてる、無理…」

「え、ヤダ?」

「やだじゃない!緊張して倒れそう…」

よしよし、と笑いながら私の頭を撫でる。うわ…なんか、安心する…。

「…………」

「名前?」

「い、いや!平気!うん」

「ありゃ、もう効果薄まったかよ」

「うん……」

「素直になっていいんだぜ?」

「…素直に…」

私のことを優しく見る銀さんの目は、吸い込まれるような目の色をしていた。

「…もっと、その…」

「おう」

「抱きしめてください…」

「ん…」

ぎゅっと抱き締められる。私も背中へ腕を回し抱きつく。これがゼロ距離、というのか。
銀さんの背中は大きくそしていろんな人を守ってきた背中。昔この人が白夜叉と呼ばれていたのが信じられないくらいの、現在の静寂な環境と楽しい環境だ。
私は、そんな人達を影ながら見ていきたい、と思った。

「銀さん、これからもよろしくお願いします」

「おう」




-好いた水仙好かれた柳-
(お互いに好き合っている者同士の男女を水仙と柳に喩えて言ったもの)









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