デコボッコ神がウイルスをばら撒き、男女が逆転した。
己の性別という難しさと凄さを感じていた。その時、再びピンク色の光にかぶき町は包まれ、全員元に戻っていた。短い時の刹那だったが、全員喜んでいた。
私もお団子屋についた直後、その光に包まれ、元の姿に戻っていた。

「わぁ!戻った!」
「やったー!」
「よかったー!ありがとうー!」

と店の人たちは各々声を出して喜んでいた。私も例外なく女性に戻り、一安心していた。
かぶき町の町内放送が「町内の皆様にお知らせします。地球に狙いを定めていた、攻撃型人工衛星は無事破壊されました。これより特別戒厳令は解除されます。繰り返します…」と放送を聞き安心した。
よかった…元に戻った。
はやく銀さんに会ってありがとうと言いたい。








仕事が終わったあと、万事屋へ向かった。

「お邪魔しまーす!銀さーん、神楽ちゃーん、新八くーん」

玄関で声をかけたが、返事がなかった。しかし靴があるので申し訳ないがリビングへ向かう。

「こんにちわ…!?」

「お…おう、名前…仕事お疲れ…」

「銀さんってなんでまだ女の子!?」

「地下に居てな…」

「ふふ…はは…」

自傷の念を込めて笑う銀子さんと新八くん。神楽ちゃんは「仕方ない!これも孔明の罠!」と叫んでいた。いや孔明関係ないよっていうか神楽ちゃんは語尾はどうしたの。

「じゃあ…どうするの…?」

「…見つけ出す。奴らは多分散り散りになったのち、再び集まるであろう。集まった瞬間根絶やしにしてやるよ」

「…そっか。じゃあ暫くは見つける作業?」

「おう」

銀子さんはどこか考えている様子だった。多分、今回の引き金を引いた九兵衛さんのことを気にしているのだと思う。
私は懐に入っているスマートフォンで検索した。

「現在、デコボッコ神は逃走中。しかし標的にする星は男性と女性の境界線が曖昧なところを刺激するやり方、だってさ。銀子さん」

「あー?」

私は銀子さんにスマホを渡し、記事を見せた。銀子さんはふむ…と考えていた。

「とりあえずこいつらが見つかるまで万事屋は一時休業!って事でよろしくな」

「はい」
「わかった!」

銀子さんたちが探している時私も微力ながら手伝いをした。気になったもの、標的になる星を片っ端からピックアップして銀子さんに教えた。

数日後、やっと尻尾を掴んだらしく、その星に行くチケットを買ってきた。
私は気をつけてね、と背中を押して送り出した。


これでようやく解決した話だ。
性とは男性女性と決めるものではなく、自分でこう生きたいから生きる、という曖昧でもなんでも生きているのだ。だからこそ、自分も周りも寛大に、尚且つ判断をしなくてはいけない。

後日、九兵衛さんに会った。彼女は私に頭をあげて謝った。

「え!なんでどうしたんですか、とりあえず頭をあげてください」

「…銀時に聞いた。君が、名前さんが協力してくれたと。君の協力なしではこんなにはやく解決はしていなかったよ。本当にありがとう…」

「…いえ、私は楽しかったです。男性も女性も経験して。だからこそ、今の性別に満足しています。人は比較をしないと生きてはいけないモノです。だからそこ今回のことで比較をして自分に素直に、生きると決めました。だから、九兵衛さんも素直になってください」

「……あぁ、ありがとう…」

「では、失礼します!今度遊びましょう!」

手を振って万事屋へ急ぐ。足取りは軽い。


そんな彼女を見送る九兵衛。

「君は、つよくしなやかな人だ」

そう呟いた言葉は風に乗って消えた。




-恐れ入谷の鬼子母神-
(恐れ入谷の鬼子母神とは、「恐れ入りました」という意味で使うしゃれ言葉)







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