銀さんと付き合い始めて1週間くらいたった。関係は普段通りというもので、変わらないことが多々あるが、たまに「手を繋ぎたい」とか「抱きしめたい」とか言ってくれて私もよく抱きつくようになった。
私から新八くんと神楽ちゃんに付き合ってることを言うか、銀さんに相談したらいずれわかることなら…といい、2人に付き合ってる事を言った。そうしたら
「「え!」」
「そ、そうなんですね!?いや、なんか雰囲気変わったなと思ってたんですけど…名前さん、銀さんでいいんですか?」
「そうネ、このロクでもないクソ野郎でいいアルか!?」
「ねぇ2人ともひどくない?銀さん泣いちゃうよ」
「うん、私銀さんがいいの。でもあなたたちのリーダーは銀さん本人であるし、私がいるからと言って仲良くするの事を遠慮しないで欲しい…です。…私は本来居てはいけない存在だからこそ、普段通りで居て欲しいな」
「名前さん…」
「名前…。そうアルネ、夢小説だからってそんな遠慮してたら物語進まないし、かと言って居なくなるとおざなりになってるみたいで大変だよね、これは難しい問題だって私わかる」
「まって神楽ちゃん、なんでこんな難しい話題に切り込んだの?しかも語尾どうしたの?」
「夢小説あるあるネ」
なんか…普通に受け入れてもらって安心した。よかった…。
ここ最近の事を思い出して少し笑ってしまった。
「何笑ってるんでィ」
「いらっしゃいませ…、沖田さん…」
「みたらし2本」
「は、はい…」
私はみたらし2本を皿に置き、茶をテーブルへ運んだ。
「お待たせしました。ごゆっくり」
「おい新人」
「は、はい!」
「ほら座れ」
「えっ…いや仕事中なので…」
「女将からは俺が言っておいた」
「は、はぁ…」
女将さん!あなた買収されてるよ!?待って私を見てニコニコ笑うのやめてください!まってそのお金、なんですかそれ!
「…それでなんですか、沖田さん」
「なぁ、俺お前のことよくしらねぇから教えろィ」
「え…それだけ、ですか?」
「なんでィ、なんか文句あんのか」
「い、いえ!」
私は沖田さんから質問された事をただ答えた。どうして江戸に来たのか、なんで万事屋の旦那と仲がいいのか、真選組での土方さんが私のことを気にしていたなど、色々話してくれたし、話をした。
意外と沖田さんも優しい人なのかもしれない。
「んじゃ、またな」
「あ、はい…あの!」
「なんでィ」
「…私、沖田さんが怖かったんです。その、ずっと名前で呼んでくれないし…でも、今日話をして楽しかったです。また、いらしてくださいね!」
「…へいへい、またな、新人」
「…はい」
今日は、仲良くなる一歩を踏み出したかな、と思った1日だった。
*
仕事帰り、大江戸マートで買い物をしていると銀さんにあった。いちご牛乳とジャンプを買いに来たそうだ。
「あれ、仕事帰り?お疲れ様」
「うん、お疲れ様です」
「…………」
「…何?」
「いや、今日の夜ご飯何かなーて」
「え、今日は少し寒いから湯豆腐とお魚にしようかなって思って」
「へー……あ、いや、一緒に食べたいとかそんなんじゃないんだからね!か、勘違いしないでよね!」
「…今日は1人じゃ食べきれない量だなー、だれか食べてくれないかなー」
「し、仕方ねぇな!俺が食ってやるよ」
「…ふふ、じゃああと3人分だね」
「おう」
銀さんと買い物をしながらこれは入れよう、これはいらないなどの普通の会話ができることが幸せだ。
材料を持って万事屋へ行く、その道のりを2人で歩くことが幸せだと感じる日々だ。
-鴨が葱を背負ってくる-
(好都合であること、おあつらえむきであることのたとえ)
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