秋風が心地よく吹き、冬の兆しが見えてきた今日この頃、もうすぐハロウィンです!
ハロウィンなんて…と考えていたが、神楽ちゃんは一緒に遊ぶ人からハロウィンのことを聞き、やりたい!と言い出した。

「じゃあ仮装しようか!」

「仮装アルカ?」

「そう!仮装してお菓子をくれー、っていうんだよ」

「おお!ただ菓子食い放題ネ!」

「そ、そうだね」

神楽ちゃんはワクワクしながら仮装かー!なんて話している。
私はもちろん多量にお菓子を用意するつもりだ。

「大変です!」

そうか買い物袋を片手に新八くんは買い物から帰ってきた。

「ど、どうしたの新八くん」

「どうした、新八!」

「これ見てください!」

そういいテーブルにパン!とおいた紙。
そこには、真選組の皆さんが笑っている写真付きの紙だった。

「なになに?"真選組で素敵なハロウィンをやります、皆さんきてね!"ってなんだこれ!」

「あいつらでハロウィンアルか!?」

「先程山崎さんからこの紙をもらって…。なんでも松平さんの突然の思いつきと、ここ最近真選組の評判が悪く、イメージアップのためって言ってました」

「な、なるほど…」

あの松平のとっつぁんのことだ、多分上に色々言われてとりあえず流行に乗れ!て言われたんだろうな、と想像がついた。
紙の内容はハロウィン当日、昼ごろから夕方まで屯所前に隊士たちが待っているので、トリックオアトリート!と言うと、真選組限定のおまんじゅうがもらえるというものだった。

真選組…沖田さんもいるのかな…。いや、いないか。沖田さんや土方さんが居たら攘夷浪士や危ない人に、どうぞ首を切れって言ってるようなもんだもんね。

「これ行くアル!あいつらからたんまりまんじゅうもらうネ!」

「そうだな神楽、たんまりもらってこようか」

銀さんと神楽ちゃんはニヤニヤ笑いながら、真選組の人たちから配られるおまんじゅうをもらおうとしているらしい。すごいよ、2人とも…

「名前も行きますか?」

「え、うーん…どうしようかな…私は配る方かな」

「そうなんですね、僕も配るように回ろうとしてました。では一緒に行きますか」

「え、いいの?よかった、ありがとう新八くん」

「2人とも行かないアルカ?」

「私と新八くんは配る方に回ろうと思って。だから神楽ちゃんからのトリックオアトリートっていうの楽しみに待ってるよ!」

そういうと目をキラキラと輝かせて私と新八くんを見た。かわいい、可愛すぎる…!

「当日楽しみネ!」

わいわいと話して楽しい日だった。






真選組に行くのか…、沖田さんと顔合わせるの気まずいな、と思いつつハロウィン当日になってしまった。
そうだ、話さなければいい!そう覚悟を決めて、多量のお菓子をバックに詰め込みアパートを出た。

万事屋に到着すると神楽ちゃんと銀さんは仮装をしていた。神楽ちゃんは猫耳チャイナさん、銀さんはおばけの格好だ。おばけ…て言えるのかな…。

「あ、名前さん!おはようございます」

「おはようございます、新八くん。2人とも気合入ってるね」

「おうヨ!今日はかぶき町のお菓子全部もらうネ!」

「俺たちのトリックオアトリート舐めんなよ!」

「なんですかその別の意味のトリックオアトリートは」

「ってわけで、名前」

「「トリックオアトリート!」」

銀さんと神楽ちゃんはニヤニヤしながら手を出した。
私はどうぞ!とお菓子を個別に包んだものを2人にあげた。

「うおお!お菓子アル!しかも酢昆布入ってるネ!」

「お!これは俺の好きないちごの菓子じゃねぇか!」

「2人とも特別仕様だよ」

銀さんと神楽ちゃんは親子のようにお菓子の袋を開けてわいわい話している。よかった、2人専用に包んで。
バックを探り、新八くんにもあげた。

「はいこれ、新八くんに」

「え、僕ですか?」

「うん、新八くんもお菓子欲しいかなって思って…迷惑だった?」

「い、いえ!嬉しいです!わぁ、メガネチョコ!」

「新八もよかったな」

そう銀さんに言われた新八くんは年相応の顔をして微笑んでいた。よかった、これを渡せたならもう今日の仕事の8割終わったもんだ、と思った。

「あ、じゃあ俺たちからもはい、名前」

「え!」

銀さんの手にはリボンがしてあるお菓子が入っているであろう袋をもらった。
受け取り、その中身を見るとかわいいうさぎのチョコレートや、いちごの飴、クッキーなど入っていた。

「…ありがとう、みんな…」

「おうよ」

「名前がもってるこのうさぎのやつ、私が選んだネ!かわいいでしょ?」

「うん、可愛い!食べるのもったいないよー」

これは大切においておこう、せっかくのプレゼントだから。
銀さんは、さて真選組に行くか!と言い、万事屋を出た。
真選組まで行く道中、ポツポツとハロウィン関係のイベントごとをやっていた。対象年齢は基本神楽ちゃんのような子供向けだが、銀さんは俺にもくれや、と脅し、おっと…それは言わないでおこう。

なんだかんだしていて真選組に着いた。結構人がいてわいわいと賑わっている。これは松平のとっつぁん大成功じゃない?と思っていると、お菓子を受け取った人たちから「あの人かっこよかったね!」「まじやばい!」「あんたどっち派?私は黒髪の人派」なんて声が聞こえてきた。

まさか…まさか!

「はい次の人って…げ…万事屋…」

「うげ…多串くん」

「誰が多串だ!」

「あり、旦那じゃねぇですかィ。それとクソチャイナ」

「クソってなんだお前!クソはお前アル!」

まじでバチバチに喧嘩してるじゃん!犬猿の仲じゃん!す、すごい…よく見るやつだ!と感心してしまった。
って沖田さんだ…えぇと、隠れよう…。いやなんで私悪いことしてないのに隠れようって思ったわけ!

「おい名前」

「は、はい!え…」

「なんでィ、お前は名前だろィ」

「そ、そうですけど…」

「トリックオアトリート、はやく菓子よこせ、さもなくば逮捕する」

「待ってください!あげますから!」

沖田さんは手錠をじゃりじゃり音を立てながら見せつけている。こ、怖い!

「おいおい、沖田くん、名前にちょっかい出さないでくれる?」

「…旦那には関係ないでしょう」

「名前は俺たち万事屋のもんだ」

「へぇ…じゃあちゃんと所有物だって名前書いといてくだせェ」

「ぎ、銀さん…?」

なんか怖い話してる…。いや待って私がいつ万事屋の所有物なの!?沖田さんの目つきと銀さんの目つきが怖い。

「おい総悟、やめろ。なんだお前らしくねぇぞ」

「…けっ…土方死ね」

「沖田死ね。なんだ、あー…苗字さん悪かったな。これ持ってけ」

そういい土方さんは私に真選組まんじゅうを2つ持たせてくれた。

「あ、ありがとうございます…」

「いいってことよ。ほらお前らは行け」

「ケッ!これだけアルか、ケチネ!」

「神楽ちゃん、軽く30個くらいあるからね」

神楽ちゃんはもっさもっさと食べながら新八くんに連れて行かれた。私も後を追おうとした時、沖田さんに腕を掴まれた。

「え…」

「また団子屋行くから」

「…沖田さん…」

「あんなやつより俺の方がいいって言わせてやらァ」

「っ…」

手をパッと離し、私を見つめる沖田さん。
表情が分からなくて混乱する。
立ち止まっているとぐいっと引っ張られた。銀さんだ。

「俺のモンにちょっかい出すんじゃねぇ」

そう沖田さんに言い放ち、腕を引かれて新八くんたちの元へ連れて行かれた。


それを見ている沖田と土方。

「おい総悟、お前またなんかしたのか」

「うるせぇな土方」

「はぁ…お前な、気になってる女がいるなら優しくしろよな。苗字さんお前のこと怖がってたじゃねぇかよ」

「…うるせぇ、土方死ね…」

そんなの頭ではわかっているが、それができないのだ。これが、恋というものか。

「いてぇ…」

そう呟いた沖田は切ない顔をしていた。








「銀さん…」

「…………」

怒ってるのかな…。銀さんは私の腕を掴み早歩きで歩いている。怖いよ…。

「銀さん!」

そういうと、銀さんは立ち止まり、私を見た。切なそうな顔をして。

「…悪りぃ…その、いらない一言言ったわ」

「そんなことないよ!その、言ってくれてありがとう」

「おう」

「帰ろっか」

「ん」

手を握りそばに行く。
なんでこんな夢小説みたいな展開が起きるんだろうと頭を抱える。見てる方はいいよ?実際こうなってみればわかる、私が不釣り合いなことがひしひしと。そう、私なんか、だ。

そんな心の想いを抱えて万事屋へ向かう。




-恋に師匠なし-
(恋は、人から教えてもらうものというより、時が来れば自然に学ぶようになるということ)










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