夏が終わりに近づき、秋の風が吹きてきそうな今日この頃。
たまたま万事屋へ遊びにきていた私ですが、私がいた時に万事屋へ仕事の依頼が来た。

「はい、では依頼はなんでしょうか」

新八くんが依頼主の男性にお茶を出しながら話した。何故か私も居ていいと銀さんに言われてそばにいる。

「実は、秋冬にウエディングドレスのファッションショートがあるのですが、人数が集まらなくて万事屋さんに依頼しました。できれば女性に着ていただきたいのですが、大丈夫でしょうか…えっとそこのお嬢さんに…」

「…お嬢さんって…私!?」

「はい、万事屋さんの従業員ですよね?僕の目には狂いはない!君は美しくなれる!」

そういい男性は私をキラキラした目で見た。いやすごい、すごすぎる。

「えっと銀さん…」

「あー…まぁいいんじゃねぇの?」

「では社長がそう言いましたので大丈夫ですよ」

「なら!お願いします!ファッションショーで成功したら報酬も上乗せしますので!」

「よし任せな!」

そういい万事屋から帰っていった男性。
新八くんがいうには最近名前が売れて来たウエディングデザイナーらしく、ドレスも綺麗だそうだ。
ウエディングドレスなんて初めて着るから楽しみだな、とそわそわした。







ファッションショー当日、私は銀さんたちと会場に来ていた。人手が足りないかもしれないからとりあえずみんなで行こうと言われ向かった。

「お待たせしました…て、あなただけじゃないんですね」

「え、はい…お忙しいと思いまして…」

そう新八くんが答えると少し怪訝がな顔をされた。

「まあ、大丈夫です。ではあなたはこちらへ。万事屋さんたちは終わるまで待機室でお待ちください」

「はいはいーと」

「銀ちゃん!お菓子あるヨ!」

「なんだと!」

「では名前さん、僕たちここで待っていますので頑張ってくださいね!」

「うん!任せて!」

そういい銀さん達と別れた。依頼主の男性の後ろを歩き、ウエディングドレスが置いてある部屋に案内されて「じゃああとはよろしく」と女中達に任された。
女中達は顔が暗く、疲れた様子だった。

「よろしくお願いします!」

「…はい……」

忙しなく進む化粧とヘアセット、そして白いヒールを履かされガーターベルトもつけられた。いやすごい本格的じゃん!

「こ、これも付けるんですね…」

「…そうですね…そうされたほうが、喜びます故…」

「………」

ファッションショーなのにこれも見せるのか…まぁ…デザインが凝ってるように見えるから…

「………もう、やめましょうよ…!」

女中の1人がそう叫んだ。

「あなたもここに来てはいけない!」

「えっ…?」

「ここは…、天人に売られるためのショーなのよ!」

「売られる…?」

女中の話はこうだ。ウエディングドレスのファッションショーと題して地球人の女を天人に売り飛ばすそうだ。いわゆる人身売買…。そのあと天人達により買われた人たちはどうなったかは知らないそうだが、この女中達も脅されてやらされているそうだ。

「…そうですか…」

私1人だとできそうにないかもしれない。銀さん達に言わなくては…。でもこのドレス、動きずらい!重い!だから女達に着せたのか…。女中たちは窓から逃げてもらい、私は待機室で待ってる銀さんのところへ行くことにした。
重いドレスを引きずりながら歩く。重い…。しかもヒールで動きずらい…。早く行かねば…。
そう思い待機室まで行こうとしたら声をかけられた。

「おや、どこへ行くんですか?」

「…えっと…トイレ…」

「お手洗いはあちらですよ?」

「…………」

依頼主の男性が笑みを浮かべながらこちらへ近づく。

「…あなたは、悪い人だ。女の人たちを売って、悲しむ人がいるでしょう」

「あの女中から聞いたんだな…。まぁいい。俺たちは天人にお前らを売って金を稼いでいた。地球の女は高く売れるんだよ…。あいつらに渡ったあとは知らないね。こっちは金を稼げればいいんだよ」

「ひどい……」

「それとあんたはあいつらからご指名されたんだ。成功者だって」

「成功者…?」

「理由は知らんが、あんたを欲しがっている奴等はたくさんいるんだよ!」

男性は刀を抜いた。成功者…私はこちらに来たのを知っている奴らだ。

「…銀さん!!銀さん!」

そう叫んだが1人ところで響く声。刀を構えた男が私に近づき腹を殴られた。
痛い…!咳き込みながら意識が朦朧として来た。ダメだ、目を瞑ってはいけない…。そう思いながらも痛さで朦朧として目を閉じてしまった。ごめんなさい、銀さん…私助けを呼べなかった。








「名前さん遅いですね」

「んぁ?あーそうさなぁ…行ってみっか」

「銀ちゃん、お菓子無くなったネ!私も菓子せびりに行くアル!」

万事屋3人は名前の元へ行こうと動いていた。その時依頼主の男がウエディングドレス姿の女を抱き抱えて会場へ入っていった。

「あれ…名前アル!」

「え!なんで!?」

「なんかくせぇな…」








う…いたい…それと声が聞こえる…。

「これが………か!素晴らしい!」
「早く落札させろ!」

目を開けると天人たちが私を落札しているところにいた。天人の声が会場に響く。

「では、そちらの方で決定でいいですか?」

男性の声が響き、天人はニヤリと笑う。

「すいませーん、そちらの女性僕たちも欲しいでーす」

この声は…

「だって俺の女だから」

「ぎ、銀髪の侍!」
「こいつが!」

「銀さん…!」

「助けに来たぜ、名前」

銀さんはここの会場に潜入していたらしい。
そのあと天人たちが銀さんたちに気付き刀を交えることになってしまったがどうにか事件は解決した。
依頼主の男性も真選組へ身柄を渡された。その場にいた天人たちも人身売買ということで捕まった。

「…ありがとう銀さん」

「いや、まぁ、へーきだけどよ」

「名前ー!よかったアルー!無事でよかったネ、それにしてもドレス似合ってるネ!」

「ありがとう神楽ちゃん」

私のせいで少しボロボロになってしまった3人。万事屋へ帰る道のり、神楽ちゃんは喧嘩をしている最中テーブルにあるお菓子をちゃっかり持って来たらしく新八くんと話しながら食べていた。

「あのよー、えっとその」

「ん?」

銀さんが私をチラチラ見て来た。なんだろう。

「そのウエディングドレスのしたってガーターベルトついてんの?」

「え、ま、まぁ…なんかつけてって言われたよ?」

「ふーん…その、さ、取っていい?」

「え!?」

「なんかさ、取るんだってよ。新郎側が」

「え、え…」

「取っちまうぞ」

私の前に立ちドレスの中に手を入れた銀さん。足を指先で撫でながら太ももに触りガーターベルトをくいっと引っ張る。

「っ……」

するすると足首を通り銀さんの手に上質なレースのガーターベルトがあった。

「…取れた」

「ぎん、さん…」

「…………に、あったからよ」

「え?」

「AVに、そういうシーンあってよ、なんか気になっちまって」

「……………」

「名前ちゃん?そんな目向けないで」

「AVで我慢してくださいね」

私は神楽ちゃんと新八くんのところへ走り、早く帰ろうと言った。

「…っ、綺麗だっつーの…」

そんな呟きを私は知らない。



-恋は思案の外-
(男女の愛や恋といったものは、常識で説明できないという意味)






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