お団子屋さんへ働いて1ヶ月以上はたったらそんなある日、材料を買ってきて欲しいと親父さんに頼まれ大江戸ストアへ行くことになった。
ここ数日やっとこの生活にも慣れ始め大江戸ストアへいく道のりのほかにも簪やピアスが売っているお店、雑貨が売ってるお店など他のところにも目をつけることがあった。これも万事屋のみんなの協力があってのことだ。
大江戸ストアが目の前に迫ってきた時、大きな声で「よけろ!!」と声が聞こえた。避けろって誰のことだろうと呑気に考えていたら爆風に飛ばされた。

「いった…」

え!?なに!?なにが起こったの!?周りを見ると私の周りには人がいなく、私に避けろと言ったのだと確信した。いやなにが起こった。

「おい!大丈夫か!」

「ぅ…」

爆発の爆風なのか埃のせいでうまく声が出ない。どうしよう、咳も止まらない。ゴホゴホ!と激しい咳をして大丈夫か、と言った相手を見た。

「おい!しっかりしろ!」

「ぅ…ゴホゴホっ!」

土方十四郎、鬼の副長だ。まじかで見るとサラサラの髪にかっちり着込んだ隊服、それにほのかにタバコの匂いがした。

「あーあ土方さんどうしてくれたんでィ、一般人にあたっちやしたよ」

「総悟!お前覚えてろよ!」

「…あ、お団子屋さんの新人さんじゃありやせんか」

「おきた、さ、」

「土方さんちゃんと介抱してください」

「おい総悟オオオ!」

ゴホゴホと咳き込みながら土方さんに立たされて「病院に行こう」と言われた。いいえと言う意思で横に首を振ったがパトカーへ乗せられ大江戸病院に向かわされた。その道中水をもらい、どうにか咳がおさまった。

「おい、大丈夫か…。申し訳ねぇ、攘夷志士を追っていたら総悟…あの茶髪がバズーカを打ってな、それがたまたまあんたにあたっちまった。申し訳ねぇ…」

「いえ…あの私が避けきれなかったので…申し訳ないです。あとその、大江戸病院には行かなくて大丈夫ですよ」

「は…?でもあんた怪我をしているから…」

「怪我…?」

私は言われるまで気が付かなかった。腕や着物から出た足、頬、手のひらまで擦りむいた跡がたくさんあった。血はあまり出ていないものの、怪我の場所が多かった。それでも私はまだお使い中、新人が仕事を中断なんてできない。

「実は私お団子屋さんの親父さんに買い物を頼まれまして…。それが終わったら大江戸病院に行きます、だからおろしてください」

「…でもよ…」

「私は平気です!すみません止めてください」

「はいっ…」

運転していた方に話しかけ降りた。

「おい待て!」

「はい?」

「俺は真選組副長土方十四郎だ、怪我のことで何かあったら俺に言ってくれ」

「…わかりました」

そういいパトカーから降りた。はやくお団子屋さんへ戻らねば。そう思い小走りにお団子屋さんへ戻ると沖田さんが説明をしていた。

「名前ちゃん!大丈夫かい!?」

「え、えぇ、大丈夫です!でもすみませんお使い遅くなりそうで…」

「ちょ、え!?そんな大丈夫だよ!?」

親父さんが混乱してそう言った。親父さん、意外と若者言葉使うんですね…

「名前ちゃん」

「女将さん…」

「女に傷でも入ったら大変だよ、まだ嫁入り前なのに。だからちゃんと」

「…だから、ちゃんと…?」

「土方さん名義で治療費たくさんかけな!」

「お、女将さん!?」

「と、言うことでィ。ほら病院行け新人」

「えっえ!?」

混乱しているうちに女将さんが私の荷物を持ってきて渡し、ちゃんと治療して来んのよ!とバイトを上らせてくれた。女将さん…土方さんとなにかあったのかな…というか沖田さんがなんか吹き込んだのかも…。
後日弁解をしなくてはと考えながら大江戸病院へ向かった。
まって…?私大江戸病院わからないじゃん!
ど、どうしよう!うーん!タクシー?タクシー…て周りいないし!どうしよう…

うんうん考えていると、あれ名前?
と声をかけられた

「はい?、て銀さん!」

「お前どうした…ていうかすごい怪我だぞ!?すっころんだのか!?」

「え!いや!そうではなく…」

「ならどうしたよ」

うーん…ここは銀さんに話して案内してもらおうとことの経緯を話した。



「は!?あの税金ドロボー!くそかよ!本当人でなしだな!あのクソマヨラー!」

「ぎ、銀さん落ち着いて…」

「名前も名前だ!ちゃんと送って貰えばよかったろ!」

「だって…まだバイト始めたばかりなのに休んでられないよ」

「だからってなぁ……。たく…万事屋行くぞ、付き添う」

「え!いいの?ありがとう」

「病院終わったら慰謝料あのクソ方に請求式行くぞ」

「えぇ!?」







検査では何もなくただの打撲と切り傷で終わった。お医者さんからは「奇跡ですね、よかったです」と言われほっとした。
そして今、どこにいるかと言うと。

「本当に!申し訳なかった!一般人まで被害が広がるとは思わなんだ…」

近藤勲局長が私に土下座している。

「や、やめてください…私も避けられなかったので…」

「でも…」

「ほらくそゴリラァ、もっと名前に謝れ」

「銀さん!…私は平気ですよ。不注意は誰にもあることです。逆に私しか被害がなくてよかったです」

「…苗字さん…、うっ…俺近藤勲!この恩にきります!」

近藤さんは顔を上げてくれて私を見てそう言った。よかった顔を上げてくれて。

「はぁ…名前も優しすぎんだよ」

「そんなことないよ」

「おい近藤さん…て、お前!おい!怪我どうした!」

ガラッと戸を開けて入ってきた土方さんが私の肩を揺らして叫んだ。

「う、ひじ、かたさっ、ゆらさないでぇ…」

「お、おう…わりぃ…」

「平気です…あ、そうそう土方さんにこれを」

ずっと出したのは大江戸病院でかかった治療代だ。

「おう、任せ…て、10万!?」

「なんか色々とられて…」

「………ま、まぁ…いいぞ…」

「沖田さんに言われて持ってきたんですが…」

そういうと土方さんの顔が一気に引き攣った。大江戸病院の領収書を手に震えている。

「あんのクソ総悟オオオオオオ!!」

「ぷぷーざまあみろ」







そのあと屯所で沖田くんと会い「お、ちゃんと行ったんですね、よかったでさァ」と言い私たちの横を過ぎていった。
後ろで土方さんと沖田さんがわいわい話していて、これも今しか聞けない光景…とソワソワしながら屯所を後にした。

「今日は災難だったな」

「はは…でも、土方さんに会えて嬉しかったです!やはりかっこいいですね」

「なに名前ちゃんはああいう男が好きなの?」

「うーん…わからないですけど、私は銀さんのファンなのは変わらないですよ!」

「……そーかい」

夕陽に向かって帰る私たちは笑い合って万事屋へ向かった。楽しいな、この日々は。



-口八丁手八丁-
(口もうまく、やることも達者な人)





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