JAM | ナノ
 



暗い部屋で一人、矢野七瀬は机に向かい座っていた。
机上には、一冊のアルバムが開いてある。
開いたページには、制服に身を包んだ10人の男女がそれぞれ輝かしい笑みを浮かべていた。
桜を背景にしたその写真は、おそらく卒業式のものだろう。


彼女はその写真を見て、薄く笑みを浮かべると、そのままアルバムを閉じ、着ていたスカートのポケットから、携帯電話を取り出した。



七瀬「あ、もしもし絵里?いよいよ明日だけど、スピーチの用意は出来てるの?」


絵里「バッチリだよ!もう、絶対泣かせるって決めてるんだから!それより、七瀬こそ、余興の準備は大丈夫なの?」


七瀬「それこそ余裕だよ。でもさー、まさか奈緒が一番最初に結婚するなんて、思ってもみなかったよ」


絵里「本当だよね。私は春子のとこが一番かな、って思ってたんだけど。時間が経つのって、早いよね。ついこの前まで高校生だった気がするよ」


七瀬「そうだね。この前、陽子に会ったんだけど、そろそろ結婚するんだって。奈緒に先越されたって笑ってた。最近、みんな忙しくて、なかなか会えなかったけど、明日は久しぶりにみんな揃うでしょ?」


絵里「うん!本当に楽しみ!でも、懐かしいなぁ、高校生の頃が!」



絵里との電話を切り、七瀬は携帯電話を机の上に置いた。
そして、目を閉じ、彼女は大切な人たちとの日々を思い出していた。





 


△ ススム




 
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