頭のグリグリから解放された奈緒と四人は、放課後の教室で緊急会議を開いていた。
…とは言っても、緊急会議という名の奈緒への尋問なのだが。
陽子「んで、どうすんだよ?アイツら、ファンクラブとかまじ意味不明なモンまであるんだぞ?ファンクラブとかの奴ら敵に回したら面倒だって」
春子「良い、恋した女と理性が飛んだ男は何するか分かんないわよ。特に、恋した女はね」
二人の顔は真剣そのものだ。
それほど二人が心配なのだろう。
そこに、天真爛漫な笑顔を浮かべた奈緒が爆弾発言を落とす。
奈緒「大丈夫だって!七瀬のことはゆっきーが何とかしてくれるよ。だって、ゆっきーは七瀬にベタ惚れなんだもん!」
陽子「ハイッ!?」
七瀬「……え、何で自分を?」
春子「問題大アリじゃない!幸村精市に目を付けられたなんて、一ヶ月以内に七瀬が食べられちゃうわよ!」
絵里「それはダメー!絶対やだ!」
陽子「幸村、アイツ覚えとけよ」
一番問題のある七瀬を放ってギャアギャアと騒ぐ三人。
七瀬は逆に、いたって冷静である。
七瀬「大丈夫大丈夫。そんなこと、自分が絶対させないから。だいたい、そうなっても、自分が逃げれば良いんだからさー」
陽子「とは言っても、男の力には勝てないだろ?」
そこで黙りこむ七瀬。
もう高校二年生にもなると、男女の力の差はあって当然だ。
陽子はほらな、と言いたげな表情で七瀬を見つめる。
陽子「よし、そうと決まれば、男テニの部室に乗り込みに行くぞ!」
春子「いつ行くのよ?」
絵里「今に決まってるでしょ!」
七瀬「……え、ちょっと!」
陽子を筆頭に走り出した四人。
彼女たちは、男子テニス部の部室へまっしぐらだろう。
奈緒「え!?ちょっと待って!ってか、ウチへの心配はー?」
奈緒も四人を追いかけ、男子テニス部の部室へと走り出す。
彼女は何やら一波乱起きそうだと、のんびりと考えていた。
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