(絵里視点)
丸井「うまそう!絵里、ありがとな」
お弁当を広げて満面の笑みを見せる丸井くん。
この笑顔を見ると、張り切っていつもより少しだけ早起きして作ったかいがあったと思った。
絵里「私も丸井くんに喜んでもらえたなら嬉しい!」
素直に自分の気持ちを伝えると、丸井くんはまた笑った顔を見せた。
丸井くんの笑顔は暖かくてなんだかお日様みたいだ。
絵里「そういえば、仁王くんは?」
私は自分のお弁当を持つ手とは反対の手に持ったお弁当をかかげながらそう聞いた。
早く渡してしまいたいのに、仁王くんがさっきから見つからないのだ。
丸井「仁王なら、奈緒と陽子のこと呼びに行ったぜ?」
丸井くんがそう言ったタイミングでちょうど仁王くんが戻ってきた。
しかし、戻ってきたのは仁王くん一人で、奈緒と陽子の姿はそこにはなかった。
仁王「奈緒も陽子も氷帝メンバーと向こうで弁当食べるらしいぜよ」
絵里「そっか……、残念。でも、それって奈緒と陽子が氷帝の人たちと仲良く出来てるってことだもんね!仁王くんも一緒にお弁当食べよ?はい、これ仁王くんの分」
私がそう言ってお弁当を仁王くんの目の前に差し出すと、仁王くんはパッと顔色を明るくさせた。
仁王「本当に作ってくれたんか?三人分も作るんは大変じゃったろうに。ありがとう」
ふわりといつもとは違う笑顔で笑う仁王くんに心臓がドキリと音を立てる。
……イケメンってズルいなぁ。
今なら仁王くんに恋する女の子の気持ちが分かる気がする。
こんなことを思っていると、仁王くんが今度は意地悪そうにニヤリと笑う。
仁王「今、俺にときめいたじゃろ?」
絵里「そ、そんなことないよ!!」
図星だったので、とっさに言い返すけどなんだか説得力はゼロな気がする。
仁王くんはきっと分かっているだろう。
丸井「仁王!絵里のこといじめるなよな!ほら、メシ食おうぜ」
とりあえず、私はドキドキする心臓の音を無視するために、丸井くんの隣に避難したのだった。
|