ぜろいの | ナノ


◆破棄された実験記録  




被験体名: 讚帷セ?涵險?逾
状態:両目の欠損により基本的に家の蔵から出ることが出来ないため、周囲に被害が及ばない場合はその蔵で実行すること。もし蔵から出る場合には被験体の両親に許可を取ること。

実験内容:【異能増幅機を使用した筆記】
筆記する文字:【爆破】

実験結果:人型の的の消滅確認。
TNT換算で莠コ蝙倶ク?莠コ蛻程度の爆発を確認。
軽度の兵器としての使用は可能とする。
また、被験体は【人型の的】の安否を確認しようとやっきになっていたため、即座に鎮静剤を注入。
その後目覚めた後に異能による記憶処理を実行した。
別実験機関に渡さないように注意すべし。特に【学園】からの監視の目から逃さなくてはならない。

実験内容:【異能増幅機を使用しない筆記】
筆記する文字:【爆破】

実験結果:僅かな焦げのみ。異能の発動のみ確認。
増幅機を用いない場合、兵器としての使用不可能。
被験体は何度も繰り返し研究員に対し謝罪。遅れてやってきた【両親】からの折檻で様子は元に戻る。
鎮静剤の繰り返しの使用は被験体の精神および記憶を損なう作用があるため、今後は両親立会いの元で実験を敢行する。

実験内容:【意味を教えていない文字の筆記】
筆記する文字:【】(治癒)

実験結果:両手足を切断した他者に対して使用。異能は不発となる。
血も止まらず、怪我も治らない状態の他者に罵られ発狂状態となる。両親不在であったため、鎮静剤を投与。
被験体の精神状態はかなり悪く、幻覚・幻聴などの作用が出ていることを確認。その場にいない両親に対して繰り返し謝罪するなどの状態が見られたため、強制的に気絶させた。

実験内容:【意味を教えた文字の筆記】
筆記する文字:【ansuz(ルーン文字)】

実験結果:情報・専門知識を意味する言葉だと教える。その後筆記し、他者に対してその文字をぶつけると一時的にだが他者があらゆる専門知識を有するようになった。
しかし、脳の容量が足りなかったのか両目・鼻から血を流し失神。被験者は眼球が存在しないため、その光景を見ることはなかったが、なにかがあったことは察したらしい。

実験内容:【■■■■■■■■■■■■】
筆記する文字:【■■■■】

実験結果:対象の異能の暴走により実験中止。
対象は【不開】の文字を書き蔵に閉じこもるが、両親の呼びかけにより異能を解除。その後厳しい折檻を受ける。

実験内容:【想像上の言語の筆記】
筆記する文字:【書類上に筆記不可、意味合いは死】

実験結果:対象の死亡を確認。
意味を教えた上での筆記であったため、被験体はかなりの抵抗を示した。両親による暴行の後、実行。
被験体は泣き叫び、実験不可能となったためその他の実験は後日となった。

実験内容:【縺企。倥>繧ゅ≧繧?a縺ヲ】
筆記する文字:【縺薙m縺励◆縺上↑縺】

実験結果: 縺翫→縺?&繧薙♀縺九≠縺輔s蜉ゥ縺代※
繧ゅ≧縺ェ縺ォ繧ゅ@縺溘¥縺ェ縺
縺ゥ縺?@縺ヲ縺薙s縺ェ縺薙→蜒輔↓繧?i縺帙k縺ョ?

繧ゅ≧繧?a縺ヲ
縺溘☆縺代※

縺?繧後°縺溘☆縺代※

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 柔らかいものが手に触れた気がした。気が狂いそうなほどに頭が痛かった。泣いてるのかそれとも別の何かなのか一切理解ができなくて、苦しくなった。
 手が痛い。殴られた体が痛い。
 えぐられた眼球は痛くも何ともないのが救いだったが、暗く閉ざされた僕の世界の中には救いになるようなものはなにもなかった。閉じ込められた蔵の中にある何か硬いものに体を寄せる。冷たくて硬いものであったとしても、今この瞬間そばに何かがないと死んでしまいそうだった。父も母もきっと僕のことは助けてくれないのだろう、と思う。
 地獄のような毎日だった。実験に連れ回され、そのたびに血の匂いがして目の前が真っ白になる。失敗すれば父親と母親に厳しく折檻された。研究員の落胆の声が僕の体にまとわりつくたびに死にたくなってしまっていた。
 こんな人生に何かの意味があるのだろうか。
 はやく死んでしまったほうが楽なのかもしれない。
 そういうときいつも、楽しい未来を想像する。がっこうに行くのだ。他の子達と一緒に遊んだり、何か美味しいものを食べたりする。暖かい世界で日向ぼっこをしたり、後輩というものができるのであればその子たちの世話を焼くのもいいかもしれない。そうやって毎日を過ごして。
 無理だ、と思った。
 異能を何度も使うと気絶するということは、きっと何かもっと大切なものを削っているのかもしれない。研究員の人たちは気絶した僕を叩き起こし、なんども使わせた。きっと僕はそんな未来に行く前に何かひどく大切なものが擦り切れてしまうかもしれない。きっと、そうなのだと思ってまた涙が溢れてきた。
 そのとき。頬に柔らかいものが触れた。周りに柔らかいものなんてないはずなのに、膝の上に暖かくて柔らかくて優しいものがのっていた。それは肩の上にもいて、僕の涙をぬぐっていた。
「……おかあさん?」
 答えはない。
「おとうさん?」
 答えはない。
「かみさま?」
 偶然か何かはわからないが、それが僕の頬に擦り寄った。それでもそれを偶然と思いたくなくて、僕は膝に乗ったそれのことをぎゅっと抱きしめた。
「かみさまがいるなら、僕を助けて」
 その声が届いたかはわからない。それでも、それはよしよしと僕を撫でる。優しい感覚に、胸が苦しくなるのがわかった。その胸の苦しさを抑えるように、僕はそれを抱えて眠りに落ちた。

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実験内容:【人工的な兵器への転用】
筆記する文字:【服従】

実験結果:自身に【服従】の文字を書かせることにより、機関に対しての絶対服従を

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「迎えにきたよ、言祝くん」


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