「
みんなのうたうたい」
いぬのおまわりさん
お巡りさん×家出っこ
襲い受け、15禁
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通勤路。
公園を横切る。
ショートカットと警邏を兼ねて。
駅に近いから、たまに酔っ払いが寝てたり、学生がたむろしてたりするんだよね。
外灯がカバーしきれない暗闇は犯罪の温床。
あ、正義漢ぶってるわけじゃないんで、よろしく。
ただの職業病。
ご近所で何かあったらかり出されるじゃん?
プライベートな時間、邪魔されるのって、嫌だよね?
そういうこと。
「──っ!────・・・」
植え込みの影から声が聞こえた。
複数……?
何だ?
にゃんにゃん中?
カップルかなぁ。
レイプみたいな雰囲気はない。
できたら放置したいけど、危ないんだよね。
ほら、盗撮とか。
ヤッてる最中に絡まれてリンチとか。
あるからさ。
わざと足音を立てながら近づく。
けど、気づかないらしい。
……やだなあ。
「あの〜、すみません」
植え込みの手前から大きな声を出すと、勢い良く人影が飛び出してきた。
二人。
思わずその二人を捕らえる。
や。
逃げる人ってさ、捕まえたくなっちゃうんだよね。
本能っての?
ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人の若い男を押さえつけていると、小さな頭がそっとのぞいた。
「だれ?」
「おまわりさんです」
げ、マジかよ、という呟きが男たちから漏れる。
あれ〜。
やっぱりマズイことしてたのかな?
めんどくせーなー。
チョコチョコと人影が近づいてきた。
乱れた着衣が生々しいその人物はどう見ても……
「君、未成年、だよねー」
しかも男の子。
うわ。
めんどくせー。
「名前と住所、おまわりさんにおせーてくれるかな」
「にゃー」
「……」
うわ。
「……君たち、この子の身元は?」
「さーね」
「俺らそこで誘われただけだし」
うわ。
「にゃー」
「おわわわわわわわ!」
何故か突然体当たりをかましてきた小さな体に、バランスを崩してしりもちを付く。
その間に、二人の若い男は姿をくらましていた。
うわ。
めんどくせー。
「っと……ン……む」
ちっちゃい口が俺の口を塞ぐ。
呆気にとられていると、舌がにゅるりと差し込まれて、いやらしく誘いをかけて来た。
まあ、無視ですが。
「……なんなの?」
「おまわりさん?」
「なんでしょう」
「ボク、保護してくれない? 交番じゃなくて、おまわりさん家に」
「……うっわー」
なーんか、とんでもなく面倒なものを拾っちゃった気がする。
泣いてばかりいるこねこちゃん
「……名前は?」
「にゃー」
「にゃーね」
「え? それでいいの?」
「ん? 違うの?」
「……違わない」
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ちなみに、逃げ出したお兄さんたちは「カラス」と「スズメ」です。