「
みんなのうたうたい」
きみのこえ
不良×平凡
18禁 溺愛
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幾分涼しさを増した風が銀糸のような髪の毛を靡かせる。
授業中とは違って、昼休みの校内は騒がしい。
フェンスに凭れかけて、目を閉じた。
……。
あ。
いた。
……。
……元気なヤツ。
「何? ご機嫌?」
「……」
隣のウザい存在を視線で黙らせると、口を尖らせながらも黙ってパンを頬張る。
俺の顔に出ていたのか、このツレが鋭いのか。
ご機嫌……ではある。
校庭からあいつの声が聞こえた。
意味を成さないざわめきの中、あいつの声だけがはっきりと耳に届く。
その声を聞くだけで、ご機嫌とか、まあ、自分でもアレだけど。
楽しそうな笑い声。
興奮を孕んだ歓声。
友人を呼ぶ声。
……。
呼んでんじゃねえよ。
俺以外の名前を。
「あれ? ご機嫌ナナメ?」
「……」
「いっだっ! い、よ! ちょっと、いきなり殴るとか! 横暴!」
うるせえよ。
◇ ◇
自宅のベッドの上、恋人が上目遣いで俺を見上げている。
「ン? 誘ってんの?」
「なっ! ちがっ! しつこいって、言ったの!」
真っ赤になった顔じゅうにキスを落とすと、へにゃりと眉が下がる。
潤んだ瞳に、汗ばんだ額に張り付く前髪。
事後の色気が立ち上っている。
堪らない。
「も、や、だ。今日、腰痛かったんだから……! も、しない!」
後唇を貫いたままの俺が、再び高ぶりだしたのに気づいた恋人があせった顔で首を横に振る。
可愛いわがまま。
思わず口元が緩んでしまう。
「休み時間、サッカーできるくらいには元気だったろ?」
「!」
「昨日は2回だっけ? 3回はイケルな」
「っ! アアっ、ん! っぁ……あ、あ、っむ、りいぃぃっ!!」
「っは! もっと、声、聞かせろ!」
きみのこえがいちばんすき
「すきだっ」
「──! オレ、だっ、て……」
「「すき」」