さあ、うたおう
ユキとキラその後
お好きです? 02

頬を抓って引っ張ってやると、イケメンが台無しになって小気味良い。
王子様とか、ほんとガラじゃねえんだから。
超ハズカシくて、堪らなかった。
思い出させんじゃねえよ。

「いたいれふ、アキラはん」

王子ってあれだろ?
深雪みたいなのをいうんだろ?

「……どこ触ってんだよ」

「かわひーこひでふ」

「何言ってんのかわかんねー。おまえ反省してねえよな」

逃げられねえように深雪の膝に跨ったオレに、不埒な手のひらが触れる。
丁度くびれの辺りを何度も撫で擦られると、意思とは無関係にトクトクと鼓動が早まってくる。
だらしないオレの体。
深雪に愛されることを望んでやまない。

「つかさ、コスプレなんて、んなもんしねえとソノ気になんねえなら、シなきゃいいし……」

うぜえんだよ。
媚びなきゃ抱いてもらえないなんて。
そこまでして抱いてもらいたいなんて。
そんなの惨めだ。
それでもと情けを乞う自分が容易く想像できるだけに、余計うぜえ。

「アキラさん」

「シなくていいし」

「ああ、もうアキラさんそれは違います」

やんわりと両手を握られて、深雪の頬から指がはがれた。
眉を下げる深雪の頬は少し赤くなっていて、ふっと笑える。

「どんなアキラさんも好きですよ」

「……」

「どんな格好してたって、いつだって、ほんとはシたいです」

「……お盛んで」

「学生の性欲ナメないでくださいよ」

「ふん」

鼻先にキスされて反射的に目を閉じる。
再び明るくなった視界いっぱいにうつったのは、腹を空かせた獣の舌舐めずり。
ぞくり、と背筋が甘く痺れて、吐息を漏らす。

人の事言えねえか。
ってか、オレのが性質が悪ぃ。
若さとは違うタダレた欲望。

「全部、見たいんです」

「全部?」

「全部、欲しいんです。色んなアキラさんを、全て、独り占めしたい」

何言ってんだか。

「どんなアキラさんもぼくの物だって」

おまえんじゃねえし。

「だから」





「何ならOKですか?」





「ハ?」

「あ、その顔可愛い」

「ちょ……」

チュッと唇にキスされて戸惑っているうちに床に押し倒されてしまった。
ニコニコ微笑んでオレを見下ろす深雪に先程のシリアスな色はない。

「ナースは?」

「ハ?」

「チャイナ服」

「ネエだろ」

たまについてけねえよな、おまえ。
突然何な訳。

「バニーちゃん」

「……キモ、イ」

「ネコ耳はこの間やってもらったし」

「許可、ん、してねえけどな、ア……」

服の裾から侵入して来た手のひらに意識が分散される。

「婦警さん」

「逮捕されちまえ」

「ビキニ」

「寒ぃわ」

「あ、じゃあ制服」

「は?」

「学ラン」

学ラン?

って、学ランは学ランだよな?
あれ、他に学ランってあったか?

ん?

「学ランなら着てくれます?」

「……まあ」

あんなもの、別に、コスプレっていうか、十数年前には着てたわけで。

別に、深雪が嬉しそうだから、とかじゃねえけどさ。
まあ、別に、あんなもの着るだけなら。

「いいけど」


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