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というより、僕すら食べたことのない"お袋の味"料理が、正しいかどうかなんて…機械は教えてくれないし。

これが本当に美味しいのか、本当に正しい作り方なのか…判らなくなってきて。

そんな時、助けてくれたのが…大根特売日でいつも顔を合わせていたおばさん達だった。


――玲ちゃん、それ持ってきなさい。皆で教えてあげるから。


大根の特売日が品評会。

僕はタッパに入れた料理を持参して、近くの喫茶店で味見して貰って、何処がいけないかとか改善点を色々教わった。


――玲ちゃん、おダシはしっかりとらないと!!

――玲ちゃん、ここはお砂糖を入れなさい。


僕は必死にメモを取った。


――おばさん、見本作ってきてあげるわ。

――やはり実演は大切だわね。


その内、喫茶店のマスターまで僕に興味を持ったらしく、協力的となり、おばさんを先生にして、お魚の裁き方や、野菜の切り方を始めとした…お料理教室まで提供してくれた。
ちゃっかり、僕と同じ生徒になって。


――玲ちゃん。いつでもお嫁にいけるように、和食をしっかり作れるようになりなさい。

――玲ちゃん。今の時代、世界の料理も必要だよ。

――御菓子やパンの方が必要!!!


おばさん達の趣味は一環しておらず、皆口々に好き勝手なことをいうこともあったけれど。

とにかく僕は、ありがたい教えを吸収して行った。

ちなみにその喫茶店は今、和洋中の…お惣菜屋さんになっていて、おばさん達がパートで料理を作ったり売り子をしている。

更にその隣では、マスターと…おばさんが、ケーキを始めとした菓子とパンを売っている。

おばさん達は皆、料理好きで料理が上手い、気さくな人達だった。


――料理は、愛を込めるのが基本。食べて貰いたい人が嬉しそうに、おいしそうに食べる瞬間を想像して作るんだよ?


おばさん達は、それだけは同じことを言った。


だから僕は、大切な者達の笑顔だけを考えて、料理をしている。



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