「そんなに嫌? 玲くんとのおでかけ」
「……。"お試し"まで復活させるなんて非道過ぎだ」
「そこまで、玲くんが好きなの?」
「……は?」
「玲くんも櫂が大好きなんだよね。櫂も玲くん好きじゃない? 妬けちゃうなあ」
やはり――芹霞の思考回路はよく判らない。
「俺…お前が好きだって言ったよな?」
途端、ぽっと顔を赤らめて芹霞は頷く。
理解はしているらしい。
「で、何故に俺が芹霞に嫉妬されねばならないんだ?」
「え? 櫂が玲くん大好きだから」
こいつは…強敵だ。
普通、判るだろうよ。
頭が痛くなってきた。眼鏡を外して目頭を指で押さえながら聞いてみる。
「お前は、何でそんなに玲とおでかけしたいんだ?」
「え? 玲くん、楽しい処とかイロイロ知ってそうだし、何より玲くんとのおでかけっていうの、したことないし」
そりゃあイロイロ知っているだろうさ。
完全引き籠りはここ数年で…あいつは何も言わないだけで、影で付き合っていた女は結構いる。
電脳世界を今でも隈無く走査して情報集めているし、おまけにフェミニストだから、女の悦ぶものを多く見知っているだろう。
それにあの美貌だ。
安い大根を買いに行って、スーパーのおばさん達から色々のものを貰って帰って来る様だし、ペロペロキャンディーが家にあったこともある。
あれは子供から貰ったものだろう。
やはり…女経験が必須なんだろうか。
「それにね、玲くん…おいしいスイーツの店とかって詳しいから、お店回りしたいんだよね…」
芹霞の顔は完全オトメモードで。
面白くない。
俺が此処に居るのに。
今、俺と2人なのに。
自分でフッた話題だけれど、何だか釈然としない。
「スイーツ!!? そんなもの…俺が連れて行ってやる!!!」
実はこっそり、忍ばせていた雑誌は…
"彼女と行きたいスイーツ店特集"。
俺をなめるなよ。
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