リオラという人


ーー泣くのはこれで最後にしよう。
これから先、何があっても、もう泣かない。
強くなろう。
ーー友の死に涙を流すのは、これで最後にしよう。


レイラの死からそう決意したあの日から、リオが、クリュミケールが涙を流すことはなくなった。
大事な人を喪った今も、悲しいけれど涙は出ない。

この手から消えた温もりを感じ、クリュミケールはゆっくりと手のひらを握る。
それから、凛としたエメラルド色の目をして、仲間達に振り返った。

「それにしても、なんで皆ここに?」

何事もなかったようにクリュミケールが言うので、

「えっ‥‥あれ?あの、クリュミケールさん、彼はいったい‥‥」

ラズが疑問げに尋ねると、

「‥‥八年間も忘れてしまっていた、リオのーー大事な人だ。ちゃんと話すよ、後で」

クリュミケールはそう答える。
すると、アドルの側でリウスが泣いているのが目に入った。そういえば、シェイアードと彼女は一体どのような関係性だったのだろうか。

「そっ、そんなことより、一体なにがあったの?」

アドルはシュイアとカシルを横目に見て、

「そっ、そうよ!イラホーって女神に連れられてスノウライナ大陸に来たのよ。シュイア様とカシルが決着をつけるとか‥‥クリュミケールちゃんがそれを止めに行ったとか‥‥」

フィレアが困惑気味にそう話す。

「そうだな‥‥一度、落ち着いた場所で話を‥‥って、そういえば、なんでカルトルートとレムズまでいるんだ?」

クリュミケールが二人に気づくと、

「あ、あはは‥‥久し振り、お姉さん‥‥って、なんかお兄さんみたいになったね?ちょっと、偶然ラズ達に会って、そしたら成り行きで‥‥」
「巻き込まれた」

困ったようなカルトルートの言葉に、レムズが一言付け足した。クリュミケールは「そっ、そうか」と、納得し、

「なあ、一旦ここから出ようぜ。さっきから、ハトネの様子がおかしいんだ」

キャンドルが言い、彼は俯いて青い顔をしているハトネの体を支えている。
クリュミケールは、さっき会った神様を思い出した。

(この場所にハトネは封印されていた。理由はわからない。でも、この場所がハトネに悪影響をもたらしているのか?)

クリュミケールはキャンドルに頷き、シュイアとカシルに振り向く。

「二人も、色々と話をしよう。だから、今度は二人とも逃げずに‥‥オレももう、逃げないから」

いつも、シュイアもカシルもどこかへ行ってしまった。それはクリュミケールも同じだった。
でも、もうその必要はないはずだ。

◆◆◆◆◆

一行は遺跡を出て、少し離れた場所にあるホワイトルヤーの街に入り、宿をとった。
雪空のせいで年中暗い街には、昼夜、街灯が灯っている。

シュイアもカシルも、そしてリウスも来てくれた。
アドルにラズにフィレア、そして無関係なカルトルートとレムズは困惑しつつ、キャンドルは体調の悪そうなハトネを気遣っていた。

ハトネをベッドで休め、残りの一行はテーブルを囲み、椅子に腰掛ける。

「それで?話を聞かせてくれる?クリュミケールちゃん、なんで何も言わず一人でここに来たの?」

フィレアに聞かれ、

「それは‥‥違う。私達がクリュミケールに一人で行くように言った。大人数だと、すぐに勘づかれるから‥‥でも、ロナス達にすぐ見つかった」

リウスが俯いて答えた。

「まあ、わかることはオレが話すよ」

クリュミケールはロナスとクナイというフードの男と対峙したことを話す。それからシェイアードのことを話した。
失われた八年前の、本の世界の話をした。
不死鳥が封印されたこと、その封印が解けたことを話す。

「その様子だと、カシルも思い出したんだな。たぶん、ハトネも‥‥」

カシルが深刻な表情をしていた為、クリュミケールはそう言い、ベッドで眠るハトネを横目に見た。

それから、過去の話をする。
先程の遺跡で、幼きシュイアとカシル、サジャエルに出会ったことを話した。

「シュイアさんは‥‥あの後、どうしていたんですか?」

クリュミケールの問いに、シュイアは静かに目を閉じ、

「サジャエルに剣を教わり、サジャエルの元でそんな生活を何十年も繰り返したある日‥‥サジャエルがリオラを連れて来た。‥‥驚いたさ。お前と同じ顔をしていたからな。歳は私と同じくらいで、私達はすぐに打ち解け、共に過ごした」

シュイアの話を聞いていると、クリュミケールは隣に座るフィレアの手が膝の上で小刻みに震えていることに気づく。もしかしたら‥‥ここから先は、フィレアにとっては辛い内容なのかもしれない。
しかし、そこで一室は眩く光る。
カルトルートの後ろに、いつの間にかイラホーが立っていたので「うわぁっ!?」と、カルトルートは叫んだ。

「実際に見た方が早いでしょう。私は女神【回想する者】。過去の記憶を甦らせることができます」

いきなり現れたイラホーがそう言うと、彼女の体が眩しく光り出す。問い掛ける間もなく、それぞれの脳裏には同じ光景が映し出された。


どこかの森の景色。
そこにはサジャエルが立っていた。
木の幹に籠が置かれ、その中には赤ん坊がいて、

「可哀想に‥‥捨て子ですか。でも‥‥ちょうど良い。あなたに祝福の名を与えましょう。リオ‥‥いいえ、【リオラ】。かつて失われた神の名です」

サジャエルは赤子を抱き上げ、森から姿を消す。

再び景色は変わり、サジャエルはどこかの塔にいた。

「あなたがもう少し大きくなったら、先日連れてきたシュイアに会わせてあげましょう。あの女神の大切な者を奪う為に。あなたはあの女神になりきるのです。この血で、あなたにあの女神と同じ力を与えましょう」

リオラと名付けられた赤子は、水色の液体に浸されている。その液体に、サジャエルは少量の血を注いだ。

「ふふ。この血の持ち主は本当に愚かでした。リオラ‥‥あなたはあの愚かな女神を越えた本当の女神になるのです。私の考えが理解出来ないあんな未来の女神など必要ないのだから」

次の景色は、子供部屋。成長した少女ーーリオラが一人、人形で遊んでいる。
金の肩まで伸びる髪と、エメラルド色の瞳。
まるで心が抜け切ったような、暗い暗い表情をしていた。
しばらくその部屋の光景が続き、食事や生活に必要なことーー全てがその部屋だけで済まされていた。
まるで、監禁されているようだ。

次にまた、同じ部屋の光景だったが、そこにいたのは美しく成長したリオラだった。

ーーコンコン‥‥と、ドアがノックされ、開かれる。

「リオラ、あなたに会わせたい者がいます」

そう言って部屋に入って来たのはサジャエルで、彼女はリオラについて来るように言った。
何年か振りに部屋から出たリオラは、塔の中を不思議そうに歩く。

連れて来られた場所は、塔の外にある庭だった。多くの緑と花に囲まれた、美しい場所だ。
そこには、剣の鍛練に励む一人の少年がいる。

「彼の名はシュイア。あなたと歳は近いでしょう。きっと、良い話し相手になる」

それだけ言い、サジャエルは塔に戻って行く。その場に取り残されたリオラは、静かにシュイアを見つめた。
シュイアはようやくその視線に気付き、一瞬大きく目を見開かせ、

「お姉ちゃ‥‥」

そこまで言い掛けて言葉を止め、

「君、は?」

そう、聞いた。

「私は‥‥サジャエル様に女神と呼ばれる者。リオラ」

まるで無機質な声で、リオラはそう名乗る。

「女神‥‥そうか。君が扉の向こうの神様だったのか」

シュイアの言葉にリオラは首を傾げた。

「サジャエルに、絶対に入ってはいけないと言われていた部屋があった。ここには女神がいるからって」

まだ幼い印象を残すシュイアは微笑んで言い、

「俺はシュイア。よろしく、リオラ」

リオラは困ったような顔をしてシュイアを見るので、そんな彼女の様子に首を傾げる。

「サジャエル以外と話すの‥‥初めてだから」

ーーそれから、二人は話をした。
他愛もない、普通の少年少女の会話だ。
世界を何も知らないリオラに、シュイアは色々と世界のことを話した。

ーーそして、季節は変わり、今現在の二人の姿になった。

「シュイア。出会ってからもう、十年ですね」

リオラは微笑み、

「そうだな。リオラ‥‥この塔での生活、辛くはないか?」

シュイアが尋ねれば、

「サジャエルと二人きりだったら‥‥きっと辛かったのかも。でも、あなたが居てくれるから‥‥毎日が楽しくなった」

リオラは微かに頬を赤らめながら微笑む。

「そうか‥‥最初は、昔出会った人に似ていたから、リオラのことが気になった」

シュイアの言葉を聞き「それは?」と、リオラは尋ねた。

「小さい頃‥‥いきなり現れた旅人がいたんだ。リオラはその人に凄く似てて‥‥最初、ビックリしたな‥‥」

懐かしそうに、寂しそうに話すシュイアを見つめ、

「‥‥好きな人、だったの?」

リオラは静かに聞く。

「どう、かな‥‥そうだったのかもしれない。短い日々だったけど、凄く‥‥大好きな人だった」

シュイアはその人に、クリュミケールに渡された長剣を見つめ、それからリオラに振り向き、

「でも、今は違うよ。今は、君の方が大切で、大好きだ」

十年ーーこの寂しい場所で共に過ごして来た二人。お互いに大切になるのは、当たり前のことだった。
しかし、リオラは急に涙を流す。

「シュイア‥‥私、恐いの。女神ってなんなのかしら?私は人間じゃないの?ずっとサジャエルに‥‥この塔に閉じ込められて暮らさなきゃダメなの?外の世界を知らないまま‥‥」

サジャエルはリオラを女神と呼ぶ。しかし、シュイアもリオラ自身も、それがなんなのかはわからなかった。
俯き、涙を流すリオラの体を抱き寄せ、シュイアは空を見上げながら、

「リオラ。一緒に外の世界に行こう。俺が君を守るから、だからこの塔から逃げ出そう」
「‥‥!」

掛けられた言葉に、リオラは顔を上げる。

「でも‥‥そんな、シュイアに迷惑が‥‥」
「俺は強くなる為にサジャエルについて来ただけだ。そして今は、君がいるからここに留まったまでだ。俺はもう、昔みたいに弱くない‥‥だから、君を守りたい。君の望みを叶えて、共に生きたい」

シュイアは微笑み、リオラに手を差し出した。
リオラは涙を拭って笑顔になり、本当に嬉しそうにその手を握り返す。

ーーだが、外の世界は荒れていた。人間達が戦争を繰り広げていたのだ。

「‥‥知らなかった。人は、争いながら生きているのね」

リオラは血生臭い光景に胸を痛める。

「大丈夫。平和な場所もあるから、そこに‥‥」
「シュイア‥‥私、止めてくるわ」

シュイアの言葉の途中でリオラがそんなことを言うので、

「は‥‥?り、リオラ、何を」
「争いは嫌だわ。これからあなたと過ごして行く世界だもの‥‥それに、これが女神の力かどうかわからないけど、私には力がある」

リオラは微笑み、戦地の渦中へと転移してしまう。シュイアは慌ててそれを追った。

ーーリオラは空に手を翳し、呪文を唱える。
激しい剣声の中、空から光の槍が降り、戦いを繰り広げる人間達はその光を凝視した。
しかし、その光の槍は誰も貫かない、傷付けない。ただ、地面に突き刺さるのみで‥‥
人々はその場に立つリオラを見た。

「私は女神リオラ。こんな愚かな戦いはおよしなさい。平和に生きるべきではないのですか」

リオラは人々にそう言ったが、今まで争っていた人々は一斉にざわつき始める。

「女神だって?」
「いっ‥‥今の力、見たか?」
「古の魔術!?」
「そっ、そんなもの本当に!?恐ろしい‥‥!」
「ひいっ‥‥殺される!?」

戦争は、人間同士の戦いだ。しかし、女神‥‥それは得体の知れない存在。人間は当然、リオラを恐れた。だから、それは一瞬の出来事だった。


ーードスッ‥‥

深い音と共に、リオラは目を見開かせる。

「ーーリオラ!!」

ようやくリオラに追い付いたシュイアは腕を伸ばし、叫んだ。リオラの胸に、一本の矢が刺さっていたのだ。
リオラは胸に突き刺さるそれを、放心するように見つめる。

「‥‥きっ‥‥貴様らぁぁぁああああーー!!」

シュイアは怒り、叫んだ。クリュミケールに渡された剣を抜き、振るい、人々を斬りつけた。
それはもう、何人も、何十人も‥‥
血飛沫が舞い、悲鳴が響く。己が内から熱い何かが込み上げ、その手から炎が吹き出た。
それは魔術。一体いつから使えるようになったのかはわからない。しかし、シュイアは剣と魔術を駆使し、誰も逃がしはしなかった。
リオラは虚ろげな意識の中で、「やめて‥‥」と、悲痛な声で訴える。だが、怒り狂った彼の耳には届かない。

ーー辺りは静かになった。
その場に立つのはシュイアだけ。彼の周りは、無数の亡骸で埋め尽くされていた。
シュイアは荒い呼吸を整え、血を被った体のまま、その場に膝をついたリオラの元に足を進める。

「り‥‥リオラ‥‥」

貫かれた胸からじわじわと血が出続け、彼女の肌からは血の気が引いていた。

「シュ、イア‥‥こんな、ことになるなんて‥‥だって‥‥この力を見せ付けたら、戦いは終わるんじゃないかって‥‥思って‥‥私って、無知ね‥‥何も、知らな‥‥」

ごほごほと咳をする彼女の肩を支え、

「リオラは悪くない。君を気味悪がった人間が悪いんだ‥‥愚かな争いをしていた奴等が悪いんだ」

そう言って、シュイアはリオラを抱き締める。彼の腕の中で、リオラは安心するように微笑み、

「‥‥シュイア‥‥一緒に、いろんな、ところに‥‥」

そう、小さく言って、言葉の途中で、彼女の全身から力が抜けた。
シュイアは声を殺して泣き、

「嘘、だろ?こんな、簡単に‥‥リオラ、リオラ‥‥!?ーーッ‥‥すまない‥‥俺が、俺が逃げ出そうだなんて、言ったばかりに‥‥俺の、せいで‥‥」

動かなくなった彼女を強く強く抱き締め、泣き崩れる。

「違いますよ、シュイア」

すると、よく知っている声が降り注いだ。いつの間にか、目の前にサジャエルが立っていたのだ。

「リオラの体は元より弱かった。まだ、完全ではなかった。でも、リオラは助かります。私が作った魔力の水晶の中に彼女を入れれば、彼女の肉体は保存されます」
「‥‥完全じゃ、ない?助かる‥‥?どういう‥‥」

涙に濡れた顔を上げ、シュイアはサジャエルを見上げる。

「話していませんでしたね。リオラには、彼女によく似た器がいます。あなたが以前出会った‥‥リオラにそっくりな人を覚えていますか?」
「お姉、ちゃん‥‥?」

サジャエルはにこりと微笑み、

「そう。その人は、リオラの細胞を与えられ、リオラの力を持った少女。彼女がリオラの力を奪っています。彼女がいるからリオラは苦しんで来たのです。女神は二人も要らないのですから‥‥放っておけばあの少女が女神になり、リオラは永遠に喪われるでしょう」

それは、サジャエルの嘘だった。
しかし、シュイアは何も知らない。だから当然それを信じた。

「そうだ‥‥面白いものを見つけたのですよ」

すると、サジャエルは声色を変え、楽しそうに遠くを指差す。シュイアが顔を向けると、誰かがこちらに駆けて来るのがぼんやりと見えた。
サジャエルは姿を消し、リオラを抱いたまま、シュイアは目を細める。
近付いてきたその人は、

「ーーシュイア‥‥なのか!?」

シュイアを見てそう驚いた。金の髪に青い目をした青年‥‥

「カシル‥‥なのか?」

それは、数十年振りに再会した、兄弟の姿だった。

「さっき‥‥あの女を見つけたんだ‥‥俺達の村を滅ぼした、あの女を‥‥そしたら、ここにお前が‥‥まさか‥‥お前、あの女と‥‥」

カシルはシュイアの周りに散らばる死体の数々を、眉間に皺を寄せて見回す。
それから、シュイアが腕に抱くリオラを見つめ、

「その女性は?なんだかお姉ちゃんに似ているが、別人だな」

カシルはそう言い、

「カシル‥‥俺達があの日出会った【お姉ちゃん】と呼んでいた人は‥‥このリオラの細胞を体に持っているらしい‥‥お姉ちゃんがいるから、リオラの力は弱まり‥‥苦しんできたんだ」
「は?」

シュイアが何を言っているのかわからず、カシルは首を傾げた。
シュイアは語る。カシルと別れ、サジャエルと共に、リオラと共に過ごした日々の話を。
そして今、サジャエルに聞かされたことを。

「俺は、リオラを救わなきゃいけない。約束したんだ‥‥リオラを守るって。一緒にいるって。だから‥‥俺は彼女を‥‥」
「お姉ちゃんを殺すとでも言うのか!?」

シュイアの目に憎悪の色が宿ったことに気づき、カシルは怒鳴った。

「どうしちまったんだよシュイア!あの日お前を連れ去ったあの女の言葉に惑わされているのか!?そんな馬鹿な話、あるかよ!細胞?俺は見たぞ、あの女、確かお姉ちゃんの血を‥‥」
「馬鹿な話なものか‥‥!これは俺の想いと意志だ!俺はリオラを愛している‥‥だから俺が、リオラを守るんだ」

カシルの言葉を聞こうとせず、シュイアはただ、死んでしまったリオラを見つめる。

「シュイア‥‥俺は、そのリオラという人のことを何も知らない。でも俺は‥‥どんな形であろうと、お姉ちゃんを裏切らない‥‥だって、俺も約束したから。お姉ちゃんより強くなって、お姉ちゃんを捜しに行くって」

カシルは真剣な表情でそう返した。シュイアはカシルの顔を見ないまま、

「ならば俺は‥‥いや、私は‥‥全てを棄てる。兄弟も、思い出も。私はこの、女神リオラの為だけに生きる。それ以外は、何もいらない」

シュイアはリオラを抱き上げながら立ち上がり、カシルの前から去って行く。
その背中を黙って見るしかできなくて、カシルは小さく舌打ちをした。

(やっと再会できたのに、なんだよ、これは‥‥じゃあなんで‥‥その剣をまだ、持ってるんだよ‥‥)

ーーそうして、一同は目を丸くした。
景色が元に戻り、視界に映ったのは宿屋の一室だったから。

「いっ‥‥今のは‥‥」

アドルは瞬きを繰り返し、

「えっ、あれ?おかしいんじゃない‥‥?だって、クリュミケールちゃんが、器、なんでしょ?今のだと、リオラが‥‥」

フィレアの疑問に、クリュミケールは口を開いた。

「本物の女神【見届ける者】というのは、オレ‥‥らしいんだ」

ーーと。


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