いつか君に伝えよう─番外編─

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──────・・・・



「……なーんで名前がここにいるわけ?」



あの後ナルトくんがカカシさんをお店に連れてきた。
そして既にお店で待っていた私を見つけると、彼は驚いた表情で問いかけてきて。

『あっ…えっと、ナルトくんに相談があると言われて…』

「名前も…?おいナルト、俺たち2人に相談って何?」

言いながら、私の隣に腰を下ろすカカシさん。

「まま、とりあえず団子でも食いながらさ…」

ナルトくんがお団子の乗ったお皿を差し出す。しかしカカシさんはそれに手をつけなかった。

「悪いナルト、俺甘いものダメなのよ。」

申し訳なさそうにするカカシさんを見て、
先程サクラちゃんから言われた事を思い出した。


―――――――・・・


「いい?名前さん。もし万が一、カカシ先生がお団子を食べなかった場合…その時は名前さんが頼みの綱なの。嫌かもしれないけど、これだけは協力して!!」


―――――――・・・



(…まさか、本当にやることになるなんて…)


気付かれないよう深呼吸し、カカシさんに向けて言葉を発した。

『あ、あの…カカシさん。』

「ん?どうした?」

『こっ、こっちのお団子なら醤油味ですから、甘くないと思うんです。だから、その……っ!』

意を決して、自身が持っているそのお団子をカカシさんの方へ差し出し、

『た……食べませんか?』

そう、言葉を溢した。
カカシさんを見ると目を大きく見開き固まっている。

それもそのはず、だって今私がしている行為は俗に言う「あーん」のポーズを取っているのだから。サクラちゃん曰く、女性からの「あーん」を断る男性なんていない!との事。

暫く沈黙し、やがてカカシさんが小さく呟いた。

「……じゃあ、折角だし頂こうかな。」

そう言うと、口布に手をかけながら私が持っているお団子へ顔を近づける。一気に緊張が高まり、お団子を持つ手が震える。


そして――――――………


急に目の前にいた鳩の群れがバサバサと飛び立った。
それにビックリした私とナルトくんはカカシさんから視線を逸らす。

それは、本当に一瞬のことだった。

はっとしてすぐに視線をカカシさんに戻したが、彼は既にお団子を口に頬張っており、口布もいつも通りしている状態だった。

「…ありがとう名前、美味しかったよ。」

彼はそう言うと、ニコリと微笑んでその場を去っていった。


カカシさんが去った後、隠れていたスケアさん達と合流して撮れた写真を確認していく。しかしどれも上手い具合に口元が隠れていて、その素顔を拝む事は叶わなかった。

『これだけ撮って無理なら…もう諦めた方がいいんじゃない?』

私が4人にそう伝えるが、ナルトくんは納得していない様子。

「いや……まだ諦めたくねぇってばよ!!あ〜でも、何かいい作戦ねぇか……あ!お前らいいところに!!」


そう言ってナルトくんが声をかけたのは、どうやら同期の子達らしい。なんだか話が大事になってきて、気付いたらその同期の子達も協力して次の作戦に移す為場所を移動することになった。






『……本当にこれで上手くいくのかな…?』

次の作戦を行う為、今私達は川の近くに来ている。女性に変化したナルトくんが川で溺れたように装い、カカシさんに人工呼吸をしてもらう作戦だ。皆それぞれの配置につき、私はスケアさんと2人で物陰に隠れカカシさんの到着を待っていると、

「……名前さんって、カカシさんの事が嫌いなんですか?」

唐突に、スケアさんが私に問いかけてきた。

『え?なんでですか?』

驚いてスケアさんの方を見ると、彼は私から視線を外して少しだけ言い淀んだ後、口を開いた。

「いえ…最初に会った時、あれだけキスを拒絶していたのでそうなのかと…。」

『あぁ…その事ですか。』

正直、触れられたくない気持ちだ。この想いは私の心の奥深くに眠っていてほしいもの。誰にも悟られちゃいけないものだから。


でも―――――………


『……男女間での好きとか嫌いとか…そういう括りにされてしまうのは寂しいです。』


それでも、私の中で彼の存在が
大きくなっているのは確かなことだから。


『私にとって、カカシさんは…そういった感情に左右されるものじゃありません。……ただ、大切な人……それだけです。』


そう伝えた瞬間、急に腕を掴まれ


「…っじゃあどうしてあんな…!」


苦しそうな表情で、何かを訴えかけてきたスケアさん。でもすぐに我に返ったのか「すみません…」と言葉を溢して掴んでいた腕を離して。


(……なんだろう、やっぱり似てる……)


彼の纏うソレが、私に向けている感情が、
何故かカカシさんのそれと同じに見えてしまう。


『スケアさんって…カカシさんに似てるって言われません?』

微かにスケアさんの肩が揺れる。

「…え?そんな事言われたことないですけど…何故ですか?」

『いえ…何故と言われると難しいんですけど…
なんでしょう、雰囲気が似てる…というか…』


私が見えている"気"の話をするわけにもいかず、どう答えようか迷っていたらスケアさんの慌てたような声が耳の届く。

「名前さん!僕達が話してる間にナルトくん達の作戦が失敗したみたいです!」

その言葉にナルトくん達の方を見ると、カカシさんが女性(ナルトくん)を抱えてどこかに向かおうとしていた。

「たぶん、病院に連れて行くようですね…僕達も後を追いましょう。」


そう言われ、先程の話を中断すると2人でカカシさんの後を追った。


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