二択のQ
※アニメネタ
「さて、ベッドは一つしかないんだ。」
冥王星の掌から逃げ出したくてQの家に転がり込んだ流。Qの母は、何も言わず受け入れてくれ、一息をついた時。
さて。夕飯、風呂、ときたらあとは就寝である。そこで問題が起きた。
「…一緒に寝ようか、リュウ。」
Qの思いがけない言葉に、流は驚いた。ベッドが一つしかないなら仕方ない。自分たちは中学生だ、二人で寝れないこともない。だが男同士なのだ、そこがどうしても引っかかる。
「キュウがそう言うなら。」
決して嫌なわけではないから。その旨を笑顔に込めて答えるが、Qは納得がいかない、と顔に書いてある。流もその意味がわからず小首を傾げ、見つめ合うこと数秒。先に動いたQの、悪戯を思いついた子供の笑みがあった。
「冗談だよ!ちゃんと布団を布くから、リュウはそっちで寝なよ!」
枕を押し付けられ、少し拍子抜けをした流だった。素直に頷けばQは楽しそうに笑う。
「でもリュウが『一緒がいい』って言うなら、布かない!」
流は驚愕に目を見開いた。
いつものQがいる、だが無邪気さの中に事件を解決している時の強引さがある。Qは何かを望んでいることはわかるが、それが何かは流にはわからない。
「…キュウ?」
「ねえリュウ。どっち?」
「キュウは、一人の方がいい?」
「俺はリュウに聞いてるの!」
「僕は客人だから決められないよ。」
「リュウのしたいことを言ってくれたらいいんだよ。」
Qは強要はしない。だがそれが流にとって困惑する原因になる事を知らない。流に『Qに対して遠慮するな』、なんて無理な話なのだから。
「やっぱり決められないな。」
「んーと、んと。じゃあベッドと布団だとどっちがいい?」
「どっちでもいいよ。」
「朝は和食と洋食、どっち?」
「どちらでも。」
どっちつかずな返答が続き、Qは頭を乱暴にかいた。首を傾げる流にQは真剣な目で身を乗り出した。
「俺の事は好き!?嫌い!?」
死の宣告でもしそうな面もちだったため、流は虚をつかれ目を瞬かせる。
「勿論好きだよ。」
「それは友達という意味で?」
「えっ」
真っ直ぐなQの目に、流は息をのんだ。ああ、この目に流は惹かれたのだ。真っ直ぐで、強引ではないながらも強い力のある目に。
「それはどういう…」
「特別な意味だと、俺、嬉しい!」
純粋な好意で抱きつかれては、男同士と言えども赤面してしまう。
「俺はリュウのことが好き、大好きだよ!」
+END
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淡い恋心
13.12.13
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