えふえふ | ナノ



服従宣言

※先天的女体化



互いの命運を賭けた大勝負。いや、こんな大袈裟な言い方をしたが、実際内容は子供同士の遊びのようなものだ。
手加減無用な戦いを始め、敗者は勝者の言うことを聞く。あまりに無茶無謀ではない限り、だ。
別に命がかかってるわけではない。だが負ければ何を言われるかわかったものではない。
手を抜いたつもりはないが、結果は敗北。殆ど攻撃が当たらないという酷い戦果だ。

「当然ながらボクの勝ちだね」
「・・・・・・ほら、命令」
「味気のない。今日1日ボクの奴隷になってもらおうか」
「奴隷かよ・・・・・・」
「ペットがいいかい?」
「どっちにしろ嫌な予感しかしないな。まぁ、男に二言はないさ、好きにしろ」

嬉しそうに笑うと、そのまま腰を捕まれて彼女の部屋に連れ込まれた。
ここまでは予想していたが、ここから先は全くの予測不可能。気紛れな女王様は何を企んでいるのやら。思案しているうちに、豪華な椅子に座る彼女の膝に乗せられた。首に何かが回っては皮膚を時折掠めて擽られる。
もう覚悟は決めた。諦めてブスッと膨れていると「ボクといて何が不満なのさ」と尻尾を引っ張られた。
待つこと数分。

「出来た。」
「首輪か?」
「似合ってるよ。うん、すごく」
「鈴までつけやがって。悪趣味」
「ペットの証さ」

首を振ればチリチリと高く澄んだ鈴の音が響く。何故こんなものを持ってるか聞きたいが、怖いからやめておこう。
今日は特に刺激しないに越したことはない。
満足したのか笑顔を浮かべて、対面させられた。

「さて。早速1つお願いだ」
「命令の間違いだろ」
「わかりきったことだね。毛繕いをしてよ。」
「あぁわかっ・・・・・・は?」

咄嗟に肯定したが、この命令は予想外、予測不可能だった。唖然と固まっていると床に降ろされて彼女はベッドへ向かう。
うつ伏せで足をパタパタ動かして待っている。まだ機嫌はいいなら大丈夫だ。
どうしようかと試案していれば、我慢がきれて目を細める。トランスした、と言うことは相当不機嫌な証拠。全く沸点が低い。
急いで駆け寄りベッドの端に座ったが、さてどうしたものだろう。

「毛繕い、か?」
「自分の尻尾の手入れも出来ないのかな?」
「いや出来るけど」
「その要領でいいの」

力を抜いて寝転ぶ彼女の方を向き、普段見ることのない尻尾に手を伸ばす。
余計なゴミや抜け毛を本業で鍛えた目で見つけ出し、摘んでは取るの繰り返し。
文句も悪態も吐かずユラユラ揺れる尻尾の毛並みも綺麗になってきた。
片手に持てる抜け毛が限界になった時、そう本当に無意識だった。

「わっ! なにするのさ!!」

自分の尾にもやるように、ゴミを捨てようとしてクジャの尾を口にくわえてしまったのだ。
小さく反応を示す体に、白い頬まで赤くしたクジャが何とも言えないほど扇情的で。慌てて口を離せば悪態をつかれたが、聞こえないくらいの声量だった。

「全く…そこ終わったら他もね」
「え? 体も?」
「早くしなよ!! 口じゃなくて手を動かす!!」

鋭い声だが、照れ隠しがばればれだ。また正面を向いたのをいいことにこっそり笑いを浮かべ、背中に手を這わせた。

(細いなぁ、病的に白いし、体も丸い)

トランス状態は裸と大差ないほど体のラインがわかる。だからくびれた腰や丸い骨盤、胸の大きさが嫌でもわかってしまう。

(だからお前は戦いにくいんだ。ティナよりも、特に)

手を抜いていないが、本気が出せるはずがない。
傷をつけるのが怖い。言い訳と言われれば反論はできない。
また無意識に体が動いた。毛繕いしていたはずの手が白い肌を滑る。手との体温の違いに震える体が愛おしい。今度は驚きより困惑の表情を浮かべたクジャが振り返ってきたので、安心させるように微笑みで返事をすれば視線を泳がせ始めた。

「可愛い」

耳元で囁けば短く悲鳴が上がった。しばらく表情を楽しみながら様子を伺えば唇を噛み締めて耐える表情。
いきなり寝返りをうって、女性特有な柔らかな胸が視界に入る。大切な所は足を折って隠す姿にフリオニールじゃないが、ゴクリと音がするんじゃないかと思った。
真っ赤な顔で睨むようにジタンを写す、今は紅い綺麗な瞳を見つめ返すと吐き捨てるように言った。

「レディが男を部屋に招き入れて、身体に触れることまで許してるんだよ。・・・・・・察しなよ」

あぁそうか、と彼は納得した。要するにこの上から目線の彼女は彼女なりに誘っていたらしい。命令、という機会を利用して。
しかし素直になれない彼女にはもう少し焦らしが必要か。ニヤリと笑うとまた耳元に唇を寄せた。

「今のオレは命令される身だぜ。ちゃんと"命令"してくれないとな」

泣きそうに見えるのは気のせいじゃないだろうと確信できる。だが強がる姿勢を崩さないのは彼女らしい。しばらく返答を待っていると、折れたようだ。

「ボクのこと、スキにしていいよ・・・・・・」

(やれやれ、どっちが"本当"の勝者かわからない)

つけられた首輪は彼女の首に移された。

+END

++++
相互記念リクエスト「ジタクジャ♀甘小説」

10.1.19
修正16.11.24

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