えふえふ | ナノ



*気付けるよ

※入れ替わり


「え、」

ジタンが間の抜けた声を上げた。

「え゛」

バッツが間の抜けた声を上げた。

「え゛ぇぇぇぇぇぇ!?」

続いて二人の声が絶叫で大合唱。周囲の仲間は唖然と二人の様子を見ているしかなかった。

「オレ(俺)がいるぅぅぅぅぅぅ!?」

ベタながら二人は入れ代わってしまったのだ。

事の始まりは至極簡単。サーカスのような身のこなしで遊び回っていたジタンが、あろうことか木にぶら下がって落っこちたのだ。
これぞまさに猿も木から落ちる。
真下にはバッツがいたが、重力に逆らって避けることも、叫びを上げても聞こえず、そのまま割れるのではと疑われるほど大きな音を立てて二人は頭をぶつけたのだ。
ベタだが、これが入れ代わりの真実であり。

「オイ!!お前バッツか!?」
「あぁじゃあジタンが俺か!」

端から聞けば訳のわからない会話を交わしつつ騒ぐ二人。保護者と事件現場にいたスコールは、二人が気にしないならと退散しようとしていたが、そうはいかなかった。

「ジータンっ!!!」
「うわっ!!」

やってきました噂のブラコン。いや最早ストーカーと化したクジャが。
ジタン、中身はバッツの腰に勢いよく抱きつくと、しばらく笑顔が引っ込み硬直した。いかがわしい手付きで体を撫で回しだして首を傾げ出した。

「どうしたんだ?」
「・・・・違う。」
「え?」

尻尾を掴み、上目遣いというより単に睨み上げてくる。

「調子悪い?」
「全然?」
「オイバッ」

本物のジタンが口を開いた瞬間、バッツが手で押さえた。
横顔が楽しそうに笑っているのが見えた。この男は。

「何してるの?」

怪訝な顔でバッツ、いや中はジタンなのだが、を睨み付けた。


「いや〜?なぁ"バッツ"?」
「・・・・・あぁ。」

納得したジタンに「ふーん?」と短く返せば、またバッツの詮索を開始する。

「やっぱりいつもと違う・・・・・」
「オレはオレだろ?な。」

天然がタラシの体に入り、派生技の笑顔を使えば正に兵器。真っ赤になったクジャにスコールは顔を覆って嘆く他ない。

「何が違うんだ?」
「尻尾が動いてないし、ボクのこと避けないし。」
「尻尾は調子悪くてな〜。」

笑いながら突然優しく抱き締めたのに、ジタンが驚いた。相変わらず真っ赤なクジャの顔がさらに赤くなった。

「避けないのは素直になったからだぜ?」
「ジタン・・・・」

今にもキスし始めそうな二人の間に入ろうとしたジタンだが、それは防がれた。クジャが突然フッと笑ったと思えば距離をおき、ジタンへ方向転換。

「やっぱりジタンじゃない。見た目や音色が誤魔化せても仕草や癖は誤魔化せないね。」

楽しそうに笑い、ジタンに抱きついた。

「君バッツだっけ?何?魔法で入れ換わったの?物真似師も大したことないね。」
「ちぇっ。何が違うんだよー。」
「ジタンは誰かいる時にボクをその気にさせないよ。」
「お前、嘘つくなよ!!!」
「冗談。最初にちゃんと名前呼んでくれるもの。」

ボクの名前は彼だけには特別。ニッコリ笑って姿に戸惑わずジタンに口づけた。

++++
ベタシリーズ入れ換わりネタ。バツクジャに見える

09.9.14

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