えふえふ | ナノ



*続尻尾

この前は酷い目にあった。
求められるのは嫌いじゃない。それでも気絶するまで抱き潰されるとは思っていなかった。
むくれていると、必死で謝られたからついつい許してしまったが、プライドが「このままで終わらせるものか」と訴えてくる。
だから今回はやり返してみようと思う。

「ジタン」
「何だよ」

今日もジタンの部屋に潜入中。宝で煩雑とした部屋の中、ダガーを大切に磨く彼が、顔だけ振り返った。
ゆらゆら揺れる尻尾を見て、心の中でこっそり笑いを浮かべる。勢いのまま尻尾を掴もうとすれば、ヒラリと避けられてしまった。
兄の奇怪な行動を見て、ジタンは目を丸くしたが、状況を理解したようだ。ニヤリと笑うと、ダガーを床において今度こそ振り返った。

「何だ。前の仕返しか」
「気付いたなら話が早いねっと!」

隙を見て乱暴に尾を掴めば、今度は手中に収まった。
まずはヤワヤワと揉んでみる。マッサージ気分で気持ちよさそうだが、効き目はなさそうだ。くすぐったくて抵抗を始めたジタンを嘲笑い、根元に細い指を滑らす。
弱点を見つけるまでは絶対に離してやらない。

「〜〜〜〜っ」
「どうだいジタン」

耳元で囁き長髪すれば、体が震えた。
もしかして耳のほうが弱点なのだろうか。楽しくなって、尾と耳の両方に刺激を加えていると、いきなり唇が塞がれた。

「んっ」

だんだんとキスがうまくなってきたジタンには、翻弄されるしかない。舌を入れる深いキスに体の力が抜けた頃にやっと離してもらえた。
涙目で不満を訴えるが、真っ赤な顔で見下ろしてくる。押し倒されたとわかった頃には負けを悟るしかなかった。

「さぁ〜て、お仕置きの時間だな。覚悟しろよ?」
「え、待ってよジタン」

謝るがもう遅かった。
仕返しをするつもりが、昨日よりも酷い目に合ってしまった。
仕返しにならなかった。どうやら一生彼には敵わないらしい。

+END

++++
襲い受け

修正16.8.1

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