*赤に染まる
※現代学パロ
「ま、待ってくださいっ」
「もう待てない。」
夕方、放課後、二人きり。
他には誰もいない教室の中、二人の男子生徒がくんずほぐれず倒れこんでいた。
「一週間。一週間も猶予があったじゃないか。」
「で、でもまだ答えが…」
「それは真面目に考えていなかったんじゃないの?」
辛辣な言葉に聞こえるかしれない。だがそれほどの苦痛をエース自身も受けたのだ。一週間前。エースがマキナに想いを告げた。
接点など部活でしかない。優しくしてもらったことはあるが、まさか「好きだ。」と言われるとは思わなかった。
エースはため息をつく。図星、というわけではないが困った顔のマキナに対し。
「さっきから、視線が合わないけど。」
「いや、そっそれは。…先輩が…」
「僕のせい?言いがかりだなあ。」
「だって、だって……」
夕日に照らされたエースの顔が、綺麗だったから。白と赤と、青が綺麗だったから。
運動はするクセに白い肌が、今は血色よく見えつられて顔が赤くなる。勉強も出来るし、頼れるしリーダーシップを発揮するし、女子にも人気のある理由がわかる。
(こんなに、綺麗なんだもの)
そんな人気の先輩を奪うなんて、出来ない。女子が怖い、ではなく恐れ多いから。
「ねえ、こっち見てよ。」
「嫌、ですっ」
「返事もくれないし、お願いも聞いてくれないのか。」
「そう、じゃなくて…」
今見てしまったら、首肯してしまいそうで。
何も知らないエースは無邪気にもせがんでくる。
「ねえマキナ、」
「嫌…ですって…」
「あと一週間。」
「え?」
「一週間、また待つよ。答えが出せたら、いつでも声かけてくれていいから。」
いつでも、ね。
悪戯に笑う目を見て、後悔。
答えなんてでているのに。
++++
敬語マキナリベンジ…になってない
12.4.1
[ 111/792 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]