えふえふ | ナノ



*子供遊び

遠くから聞こえる喧騒をくぐり抜けるように、裏側を走り抜ける影が二つ。
右へ左へ、まるで忍者と呼ばれる者を見ているかのような見事な動きである。

「こっちこっち!」

「ちょっと、あんまり引っ張るなよっ」

誰も知らないような裏道へ裏道へ、身軽に走り抜けるナギの身体能力は相変わらずすごい。まるで自然と一体

「ホラエース、遅いぞ!」

時折、ナギに手を引かれながらも険しいコンクリートを登っていく。

「別に急がなくてもいいだろ?もう追ってきてないし。」

「だって面白いだろ!!」

無邪気に笑うナギを見て、やれやれと笑う。しかしこの出来事の発端はなんだっただろうか。
ああ、確か今日はナギと会う約束をしていたのだ。何も予定はいれていなかったのに、いきなり演習へ行こう、とマキナから呼ばれてナギと口論になったのだ。
別にエースでなければいけない理由はないが、マキナもなかなか食い下がらず…今に至る。

「0組なのに情けないぞ!もうすぐなんだから、な?」

軽々と手を引き上げられ、バランスを崩しそうになったのは秘密だ。階段なのかもわからない古いコンクリートを駆け上がると、灰色が晴れて青空が広がった。

「うわぁ……」

誰もいない、屋根の上。空が近く、頭上を鳥が飛び去っていくのが見える。

「ここが、俺のお気に入りの場所。」

「いい場所だな。」

「お前だけに教えたんだからな、特別、だ。」

悪戯が成功した子供は、指を立てた。これは内緒の合図。エースも真似して、人差し指を口へと当てた。
子供の頃の記憶とは、曖昧なものだ。何も覚えていないわけではないが、嫌な事を楽しい事しか覚えていない。都合がいいものだ。
でも、エースにはその二つの記憶すらない。ただマザーに会うまでは、空っぽで退屈で、覚える価値もなかったのだろう。

(今の気持ちを子供の頃に見つけたら、どうなっていたのだろう)

流れる雲を見つめながら、ふと過ぎる思い。
戦争がなかったら?
マザーに会わなかったら?
0組に会わなかったら?
朱雀に来なかったら?
候補生にならなかったら?
戦わなかったら?

ナギに、会わなかったら?

空っぽな心は、満たされただろうか。今のように不安定にはならなかっただろうか。

「エース。」

ふと名前を呼ばれた気がした。

「無視するなよ〜。」

あ、ナギの顔だ。理解した瞬間に触れた唇の暖かさだけを強く意識してしまう。

「な、なんだよ…」

「また、こような。今度はもっと新しい、楽しいものを見せてやるから。」

明るく笑うナギに、心が揺らいだ。
もっと知りたい、もっと見たい。いろんなものを。ナギのことを。

「あぁ。頼むよ。」

「だから、次は…来週。一週間後なんてどうだ?」

「わかった。開けておくよ。」

「決まりだな。」

指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。
指切った!

++++
呪、100個目/呪ってやる!\

大人であり子供なエースと死と生の境にいるナギは、不安定コンビ
ジャックもか

地味にマキ→エ

12.2.28

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