*欲しいもの
※先天的にょた
久しぶりに、休みがとれたから皆で町にでた時のこと。皆が思い思いのところへ散ってしまったから暇を持て余していたら、見慣れた朱と青を見つけた。何をしているわけでもなく、じっと壁を見て動かない。
「マキナ。何見てるんだ?」
「え、いや、何でもない……」
マキナはショーウインドウを眺めていたようではあるが、一体なんなのだろう。本人は逃げるように立ち去ってしまったが、今度はエースがそこに立ち止まる。
彼女の目線が、知りたかった。
(人形?)
抱き枕になるであろうサイズの、巨大なチョコボのぬいぐるみがそこに鎮座していた。値段ははるが成る程、チョコボ好きにはたまらない一品だろう。正直、エースも惹かれてしまう。
普段重い剣を手に男装までして、戦場を翔るマキナも、可愛らしいぬいぐるみが気になるとは女の子らしいところがあるではないか。不思議と暖かい気持ちになった。
「マーキナ。」
「うわっ」
未練で足が重くなっているマキナへ一気に距離を詰め、巨大な包み紙で攻撃する。勿論本人は驚き尻餅までついてしまった。
「ホラ、プレゼント。」
「え?」
袋の穴から覗く、つぶらな瞳。睨めっこでもするかのように、驚き瞬きしながらマキナも見つめ返している。
「オレ、に?」
「欲しかったんだろ?」
「でも、お金…」
「マザーに貰ったお小遣いが余ってたから。」
喜んでくれると思った。しかしマキナは恨めしそうな瞳を向けてくるだけ。ありがとう、とは聞こえたのだが…
「なんだ?いらないのか?」
「そうじゃないが…」
チョコボの頬を撫で、しかしまだムスッとしている。
「エースも喜ぶと思ってたのに……」
「じゃ、二人のものにしよう。」
ああ、なんて可愛いことを言うのだろう。この天然は。思わず公共の面前ながら抱きついてしまった。
「一緒の部屋に居れば問題ないだろ?」
「…バーカ…」
++++
らぶらぶ
12.2.6
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