7.笑われた、本当の気持ち
(アザゼル視点)
※(6.友達だって悪くないけど)の別視点
※べーやん女体&微裏
「ベルゼブブさん、服変えました?」
「ええ、何か?」
「似合ってますよ!可愛いですね〜」
ベルゼブブが服を変えた。いつのも燕尾服ではない、もっと薄い布の多いヒラヒラしたものだ。彼にしては珍しい、いや珍しいというかなにかあったのだろうか。疑問と不思議な匂いに誘われてちょこちょこと距離を詰めると、目があった。
「べーやん、どないしたん?何で女装しとるん?」
「女装ではない、節穴アイを見開いて目の前くらいちゃんと見えるようにしなさい。」
ベルゼブブに指摘され改めて姿を凝視すると、彼になくてはならないものとあってはならないものが逆転していることに気がついた。
「べ、べーやんっ!ホンマどないしてん!」
(魔界でも見たことないのに!)
たまに女除けのために女体となることは知っていた。学生時代に聞いた噂であるが、直接目にしたことはない。そりゃ淫奔を司り女友達を悉く食い物にするアザゼルに好き好んで女体は晒さないだろうが。
「…今日はいつもの服をクリーニングに出したから気分転換です。」
嘘だ、彼がそんな理由で、佐隈も芥辺いる場所でこのような姿を見せるものか。佐隈は楽しそうにベルゼブブの服を眺めているがアザゼルは混乱しきっていてゆっくり姿を見る余裕もない。
「アザゼル君?どうしました?」
なのに彼女は煽るようにからかうように愛くるしさを振りまいてくる。天然かワザとか、いや天然だと質が悪すぎる。
ふと彼女の足に目がいき、フワフワしたお尻が見えた瞬間に興奮に鼻息が荒くなった。
(は、はいとらへん……っ)
いつもなら気にしない。だが彼女を女だと理解した瞬間に誘惑としてアザゼルの本能を刺激した。
動物の姿だから仕方ないのだが、下半身には何も身につけていない…勝手にそう判断した脳が魔界でのベルゼブブが、下半身を露わに誘惑してくる姿が妄想する。金髪の、テレビでも見たことのない美女がアザゼルを涙目と上目遣いで見つめてくる姿を。
(べーやん…処女やろな…)
初々しい女を汚す瞬間はたまらない。アザゼルのテクニックに翻弄されて、よがり泣き叫ぶ姿は絶景である。
彼女は、この親友はどんな声で鳴いてくれるだろう。どんな淫乱な一面をもって…
(あ、あかんッ)
「…服着ぃや。」
「は?」
「そんなに無防備にされたら、ワシ、我慢出来へん……」
意味のわからないのは仕方ないだろう。だけど、これが精一杯の抵抗。彼女を離さないために出来ること。
手を出せば触れる前に返り討ち、挙げ句友達という座から引き下ろされ、二度と近付くことも許されない。ならば遠くからでも辛くても、彼を眺めていられたらそれどいい。
そんな健全な思いをあざ笑うように溜め息にも混ざった吐き捨てられたら息の音が聞こえた。
「…あぁ我慢してろ。触れてくれるなよ。穢らしい欲望と性病が移る。」
傷付くほど繊細な心は持ち合わせていないから気にはしないが、問題は彼。
何故、悲しい目をしている。
(笑われた、本当の気持ち)
+END
++++
さくちゃんは飽きてどっかいった
11.8.5
修正:11.10.17
[ 111/174 ][*prev] [next#]
[目次]
[しおりを挟む]