よんアザ | ナノ



飲んでも飲まれるな


※ネタ募集品


「オラァアザゼル!わたしの酒が飲めねえのか!?」

「ちょ、さく、ワシそこまで酒好きちゃうゴボボッ!」

いつもの優しい彼女は一体どこへ行ってしまったのか…目の前の同僚に降りかかる災難を、ベルゼブブは明日は我が身という思いで眺めるしかなかった。机の上には空の缶。見間違いで無ければ、シンプルなデザインと色合いの缶には『アルコール』という単語が小さくも存在を主張している。
苦手な癖に飲むわ絡むわ、わかってはいるがいつもこの危機を未然に回避することは出来ない。運が悪いのか自己責任か、最早天災の如く訪れる災難が早く過ぎることを祈るしかない。

「ッチ、もうダウンかよ。なっさけねえ……」

酔いつぶれた、というよりはいきなりの一升瓶を口にぶち込まれては気絶くらいするだろう。そんなことは佐隈には関係ない。自分を楽しませないなら用はない、と台風は進路を変えて安全地帯と思われた対岸へと接近を開始した。

「オイベルゼブブ。」

「は、はひぃ!?」

「ちょっとこい…」

向かいのソファーの影から顔を出しているペンギンを目ざとく見つけ、座った目と有無を言わせぬオーラを飛ばしてくる。
逃げたい、とベルゼブブは一心に願った。だが契約を結んでいる以上、グリモアを握られている以上彼女に逆らうことは悪魔たちの死を表す。パラパラと紙が捲られ始めた。音が止まった時がタイムリミットである。

「は、はいはい!今いきますから!」

いつもよりぎこちない羽の動きも、上擦った声も関係ない。白いぬいぐるみを手にした佐隈は上機嫌に空の缶を増やす。

「脱げ。」

「なんですと?」

「聞こえてんだろ。服を脱げ。」

てっきり酒を流し込まれると思った。だが契約者の望みは"脱衣"。ふざけるな、誰がそんなことしてやるか変態が!!普段の彼女になら何だって言った。しかし今は刺激してはいけない、危険レベルが鬼雇用者に匹敵するほどなのだ。

「え、ええっと…寒いのですか?」

「脱げ。」

「う、上着でよろしいですか?」

「全部だ。脱げ。」

ダメだ。佐隈の目は完全に座っている。何を考えているかなんて、今までの経験を元にしても予測すら出来ない。自分は男であるために気にすることはない、そんなことはベルゼブブにもわかってはいるが、得体の知れない空間に、装備なしで挑む無謀な冒険者にはなりたくはない。

「…わかりましたよ。」

渋々と服を一枚、また一枚と脱ぎおき白い羽毛のみで彼女の手をとった。
モギュ、と鷲掴みにされた尻。悲鳴を上げることもままならず、指が割れ目を刺激する。

「あ、そ、そこは……っ」

「男同士だとココに入れるんだろ〜?」

元よりコレが目的でやっているというわけではないのだが、ベルゼブブの反応に好感を持ったらしい。ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて指の行動範囲を広くしていく。

「お腹はどこだ〜?どこからが胸だ〜?」

「や、止めなさいッ!」

「男ならしゃんと構えとけコノヤロウ。」

刺激は弱まったが、体が他の体温には敏感なのは変わりはない。胸肉をつつかれるわ羽毛に顔をこすりつけられるわ、静物を扱うようで生物のを扱う、奇妙な動きが変な刺激を呼び起こす。

「あ〜柔らかい……」

地肌に触れる佐隈の肌と、そこから伝わる奇妙な感覚には呻くしかない。わざとやっているのならば立派なセクハラだ。だが今の佐隈は酒という不純物が介入してテンションが上がってはいるが、異常というわけではないのだ。

「さ、さくまさん…」

「あ?」

仕返しも怖いために強くでることも阻まれる。

「ぬいぐるみ代わりならアザゼル君でもいいでしょうッ」

「柔らかさが足りん。あんなもんお断りだ」

切り捨てられてはしては何も言えまい。ああそうですか、と力ない返事しか返すことはできなかった。

「なんだ、ベルゼブブ。わたしのことが嫌いなのか。そうなのか。」

「い、いえいえ決してそのようなことはこざいません!!」

座る目、缶から跳ねる飛沫、低い音色。佐隈の機嫌は最底辺。これは赤い未来は免れない。

「わたしは、好きですよ。ベルゼブブさんのこと。」

完全に予想外だった。いつものような、優しい音色に呆気にとられ、思わず相手を確かめる意味で凝視してしまった。

「さ、さくまさん、わたしも…」

「だから…」

「だから?」

「いろんなベルゼブブが見たいんだよぉ!」

天使の顔は悪魔によるカモフラージュ。獲物がかかったことに勢いづいた佐隈の魔の手が無防備な肢体に襲い来る。

「まずは処女なのかどうか…」

「お、お待ちなさい!貴女は一応でも女性でしょう!はしたないことはお止めなさい、いや止めろ!」

「へ〜ぇ?この状態で抵抗するんですか〜?」

悪魔の笑みを浮かべて手にしたものは、この空間を生み出した元凶。反射よりも先に体格差がものをいい、ガツンと嘴にぶつかり液体が口へと注がれた瞬間、他の何かを失った気がした。

+END

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『酔ったさくちゃんにセクハラされまくるべーやん(初な反応で)』というネタをいただきました……うわぁぁぁぁぁさくべーだぁぁぁぁぁぁぁぁ/////
始めさく♂べー♀で書きそうになったのは秘密ゲフンゲフン

確実に、事後です事後

11.9.30
修正:11.10.14

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